【VCBとは?#2】VCBの寿命と交換時期、LBSとの違いを徹底解説
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前回の記事では、キュービクルの“最後の砦”ともいえる「真空遮断器(VCB)」の基本的な役割について解説しました。
VCBは非常に堅牢な機器ですが、永遠に使えるわけではありません。設置から年数が経過すれば、当然「交換(更新)」が必要となります。その際、電力の使用状況によっては、コストダウンのために「LBS(高圧交流負荷開閉器)への変更」を検討されるお客様もいらっしゃいますが、機種変更には注意が必要です。
今回は、VCBの寿命や交換のタイミング、そして更新工事における業者選びのポイントについて詳しく解説します。
目次
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要約
VCBの重要性と保護範囲:
VCBはキュービクルの入口に設置される主遮断器で、設備全体を守る「主幹ブレーカー」の役割を担います。故障すると全停電や波及事故に直結するため、壊れてから交換するのではなく、点検を前提に計画的な更新判断が重要です。
寿命目安と交換判断:
VCBの寿命は一般的に15〜20年が目安ですが、開閉頻度や粉じん・塩害など環境条件によって前後します。動作異常、絶縁低下、端子変色や錆などの兆候があれば、年数に関わらず更新を検討し、事故リスクを低減すべきです。
更新工事と業者選定:
VCB更新は機器を入れ替えるだけでありません。キュービクル全体の設計を理解したうえでの、施工品質が安全性を左右します。見積金額だけで選ばず、有資格者の関与、電力会社との協議や試験まで含む一貫対応、更新後の長期的なメンテナンス対応ができる業者が望ましいです。
LBS変更の判断基準:
300kVA未満ならLBS+ヒューズへの変更も可能ですが、VCBは遮断性能・試験性・復旧性で優位です。コスト優先で安易にダウングレードすると復旧遅延や運用リスクが増えるため、BCPや事故履歴、将来計画を踏まえて方式を選ぶ必要があります。
VCBの寿命と点検・交換周期の考え方
VCBの故障は「全停電」や「波及事故(近隣への停電被害)」に直結します。「壊れてから交換すれば良い」と考えるのではなく、適切な時期に交換計画を立てることが重要です。
一般的な寿命の目安
メーカー各社の技術資料によると、VCBの寿命はおおよそ15〜20年程度とされています。ただし、開閉頻度が高い設備や、粉じん・塩害がある地域では、より早期の更新が必要です。
特に、年次点検などで以下の症状が見られた場合、メーカー推奨期間内であっても交換を検討してください。
- 絶縁性能の低下:絶縁抵抗値が基準を下回っている。
- 動作試験での異常:開閉動作が遅い。異音がする。投入・遮断が不安定。
- 外観の劣化:端子部の変色(熱によるもの)、錆、ひび割れ。
- 周辺機器の劣化:連動するVT/CTやメーターが劣化して数値が読めない場合、同じ回路にあるVCBも同様に寿命を迎えている可能性が高いです。
VCB交換工事のポイントと工事会社選び
VCBの交換は、単に新しい機械をポンと置けば終わりではありません。設備全体のバランスを考えた「設計」と、安全確実な「施工」が求められます。
信頼できる工事会社選びのチェックリスト
業者を選定する際は、見積金額だけでなく、以下の技術的な対応力を確認しましょう。
- 保護協調の知識があるか:VCBだけでなく、設備全体(OCR、LBS、VT/CTなど)の整合性をチェックできるか。
- 有資格者が関与しているか: 電気主任技術者や第一種電気工事士が計画段階から携わっているか。
- ワンストップ対応か: 事前調査〜設計〜電力会社との協議〜施工〜試験まで一貫して任せられるか。
- アフターフォロー: 交換後の年次点検や月次点検まで見据えた提案になっているか。
保護協調とは?
電力系統の異常によって引き起こされる事故を防ぎ、万が一事故が発生した場合でも、事故が発生した回路のみを切り離し、トラブルの拡大を防止する役目を持つ保護機器間の調整を行うこと。
VCBとLBSの比較:なぜ「下位機種」への交換をしないのか?
設備容量(トランス容量の合計)が300kVA未満の設備であれば、PF・S形(LBS+PF)で構成してもルール上は問題ありません。ただし、「法的に可能=運用上も最適」とは限りません。
機能的にはVCBの方が上位であり、設備の重要度・事故履歴・環境によっては、あえてVCBを使い続けた方が安全性が高いケースもあります。
詳しくはこちらの記事で説明していますので、ぜひお読みください。
VCBとLBSの技術的な違い
事故時の「復旧スピード」と「点検・試験のしやすさ」を重視するならVCBが優位なのは確かです。一方で、設備容量が小さく(300kVA未満)、停電リスクを許容できる運用で、初期コストを抑えたい場合はLBS(+PF)構成が合理的なケースもあります。
重要なのは「どちらが上位か」ではなく、施設の重要度(BCP)・復旧許容時間・将来計画に合わせて最適な方式を選ぶことです。
| 項目 | VCB(+OCR/ GR) | LBS(+PF) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 主遮断器 (設備全体の入口) | 分岐の開閉器/主遮断器(PF・S形の場合) |
| 事故時の動作 | 継電器が事故を検知し、VCBが遮断 | ヒューズが溶断して遮断 |
| 試験性 | リレー試験が可能 (模擬事故で動作確認) | 基本は 目視・導通確認レベル |
| 復旧性 | 点検のうえ再投入が 可能な場合が多い | ヒューズは 一度切れたら交換必須 |
| 本体・工事費 | 高いが、機能が豊富 | 比較的安価だが、 性能は限定的 |
| 適用容量の目安 | JISキュービクルで 〜4,000kVA | 合計300kVA以下 |
電気工事士に聞く、VCB交換工事のポイントと業者選定の基準
解説者
インタビュアー
―――VCB(真空遮断器)の更新において、発注者が業者を選定する際に重視すべき「基準」は何でしょうか?
結論はシンプルで、「見積もりの金額だけでなく、“なぜその構成なのか”を説明できる業者か否か」。これに尽きます。
単に「安いから」「法律で決まっているから」という理由だけで機器を選定する業者は、長期的にはお客様にリスクを負わせることになりかねません。設備運用の全体最適ができるか、具体的には、以下の3つの視点を持っているかどうかが、信頼できるパートナー選びの分水嶺となります。
「法的基準」と「機能的価値」のギャップを説明できるか
例えば、トランス容量が300kVA未満の施設であれば、法的にはVCB(真空遮断器)ではなく、より安価なLBS(高圧交流負荷開閉器)を主開閉器として使用することが認められています。そのため、コストダウンのみを重視して「LBSへのダウングレード」を提案する業者は少なくありません。
しかし、VCBとLBSでは「保護能力」と「復旧速度」に決定的な差があります。VCBは事故電流を即座に遮断し、点検後の再投入も容易ですが、LBSはヒューズ溶断により物理的に回路を絶つため、復旧にはヒューズの調達と交換工事が必要です。
「法律上OKだから安い方にしましょう」だけではなく、「スペックを下げることによる運用リスク」まで正しく開示し、お客様の事業継続性(BCP)と照らし合わせて提案できる業者を選ぶべきです。
施設の将来性を見据えた投資判断があるか
設備の更新は、必ずしも「新品への全交換」が正解とは限りません。例えば、数年後に建物の建て替え計画がある場合、数百万単位の投資を行って新品に入れ替えるのは過剰投資(オーバースペック)となる可能性があります。
そのため、工事会社には「今後の設備計画(移転・増設・建替)」も必ず共有したうえで、更新範囲を決めることが重要です。「使える既存機器(VCB)は点検して延命し、本当に危険な箇所に予算を集中させる」といった、お客様の施設計画に寄り添った柔軟なプランニングができるかどうかも、重要な選定ポイントです。
「隠れたリスク(VT/CT)」に対する洞察力があるか
私が現場を見る際に注意するのは主遮断器そのものだけでなく、その裏側にある計器用変成器(VT/ CT)などの周辺機器です。これらは高圧電流が常時流れる部位でありながら、メインの遮断器交換の影に隠れ、更新が見送られがちです。
しかし、経年劣化による絶縁破壊や発火事故のリスクは、主遮断器同様に存在します。特に「電圧計・電流計が動かない」といった予兆がある場合、計器の裏にあるVT/ CTも寿命を迎えている可能性が高いです。
表面的な機器の入れ替えだけでなく、こうした「見えないリスク」を専門家の視点で指摘し、事故を未然に防ぐ提案を含めているか。そこに、技術者としての誠実さと力量が表れると考えています。
施工事例
まとめ:キュービクルの安全は、確かな点検と提案から
VCBはキュービクルの入口に設置され、設備全体を守る「主幹ブレーカー」のような役割を担う機器です。事故発生時の遮断性能に優れ、試験のしやすさや復旧性の面でも、LBS+ヒューズ方式より安全性が高いとされています。
一般的な更新目安は約20年ですが、設置環境や開閉回数、点検結果によって前後するため、状態に応じた判断が必要です。そのため「壊れてから慌てて交換する」のではなく、年次点検で劣化状況を把握し、将来の設備計画も見据えたうえで、どこに予算を充てるべきかを検討することが重要になります。
「更新すべきか迷う」段階でも、まずは点検結果(絶縁・動作・外観)を整理し、保護協調を含めて相談できる会社に現地調査を依頼するのが最短ルートです。
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