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VCB(真空遮断器)とは?高圧受電設備(キュービクル)での役割と仕組みを電気工事士が解説

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#キュービクル
投稿日:2025年12月25日
更新日:2026年10月3日
VCB(真空遮断器)とは?キュービクルでの役割・交換費用の相場や寿命を解説

工場やビル、学校などで使われる「キュービクル(キュービクル式高圧受変電設備)」は、日々の業務を支える“電気の玄関口”ともいえる存在です。

その中で、短絡や地絡などの事故が起きたときに電気を自動で切り、設備を守る要となるのが、VCB(真空遮断器:Vacuum Circuit Breaker)です。

同じく高圧設備内で「スイッチ」として機能するLBS(負荷開閉器:Load Break Switch) との違いが分かりづらく、複数社から見積もりを取得した際に、

  • 「なぜA社はVCB、B社はLBSを提案しているのか」
  • 「どちらが正解なのか分からない」

と、提案内容の違いに疑問を覚えた設備オーナーの方も少なくないかもしれません。

本稿では、その判断の前提になる「VCBとは何か」「キュービクルの中での役割」「真空で電流を切る仕組み」「CB形とPF・S形の違い」と、寿命・点検の基本を整理します。

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VCBとLBSのどちらを選ぶかの判断基準、LBSそのものの仕組み、キュービクル全体の構成を先に知りたい方は、次の記事から読むと理解しやすくなります。

電気工事士に聞くVCBとLBSの違いを紹介するバナー、両機器の写真付き
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要約

VCBの役割:
VCB(真空遮断器)は、CB形のキュービクルで主遮断装置として使われる遮断器です。通常時は電気を通し、短絡や地絡などの事故が起きると、OCR(過電流継電器)や、必要に応じて組み合わせる地絡継電器(GR・DGR)からの信号を受けて回路を自動で遮断し、事故を起こした設備を電源から切り離します。

真空遮断器の仕組み:
電流を切るときに接点の間に発生するアークを、高真空に保った「真空バルブ」の中で消します。真空は空気や絶縁油などより絶縁耐力が高く、電流が零になると接点間の絶縁が素早く回復するため、小型で多数回の遮断ができます。

CB形とPF・S形の違い:
JIS C 4620:2018では、主遮断装置に遮断器を使うCB形と、限流ヒューズ(PF)とLBSを組み合わせるPF・S形に分け、表1でCB形を受電設備容量4,000kVA以下、PF・S形を300kVA以下と区分しています。この区分では、受電設備容量が300kVAを超えるキュービクルはPF・S形の対象になりません。

寿命と点検:
日本電機工業会(JEMA)は、高圧交流遮断器の更新推奨時期を「使用開始後20年又は規定開閉回数」としています(メーカーの保証値ではありません)。VCBが動作しないと事故を構内で切り離せず、周辺の需要家まで停電させる波及事故につながるおそれがあるため、点検結果を踏まえて計画的に更新することが大切です。

VCBの交換やキュービクルの更新を検討していて、工事の範囲や停電の段取りを知りたい方は、キュービクル工事のページをご覧ください。

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キュービクルの中で、VCBはどんな役割をしているのか?

VCBとは?

VCB(Vacuum Circuit Breaker)は、高圧受変電設備の主遮断装置(メインブレーカー)として使われる遮断器です。通常時は電気を安全に通電させ、短絡(ショート)や地絡など、異常電流が発生したときには、継電器からの信号を受けて自動で回路を遮断し、設備を保護します。日本語では「真空遮断器」と呼びます。

キュービクルで使われる高圧の遮断器(高圧交流遮断器)には、電流を切るときのアークを消す方式によって、真空遮断器(VCB)やガス遮断器(GCB)などがあります。日本電機工業会(JEMA)の報告書によると、1970年代から安全性と経済性(小形・軽量)の利点で真空遮断器の普及が進み、現在の高圧遮断器の主流になっています。JEMAの2023年3月の報告書では、かつて使われた油遮断器(OCB)や磁気遮断器は製造されていないとされています。

また、VCBは単独で動作するのではなく、設備内に設置されたOCR(過電流継電器)や、GR(地絡継電器)などの保護装置と連携して機能します。JIS C 4620:2018では、CB形の主遮断装置を「遮断器と過電流継電器とを組み合わせたもの、又は一体としたもの」とし、必要に応じて地絡継電装置を組み合わせるとしています。

  1. 継電器が短絡・地絡などの「異常」を検知
  2. VCBに「止めてください」という信号を出す(遮断信号)
  3. VCBが高圧回路を遮断する

このようにVCBは、「異常を検知して止める」システムの最終動作を担う、極めて重要な役割を果たしています。

真空遮断器の仕組み:真空バルブの中でアークを消す

VCBの大きな特徴は、電流遮断時に発生するアーク(放電)を、「真空バルブ」と呼ばれる真空容器の中で消す点にあります。

三菱電機の技術論文(三菱電機技報 2014年)によると、真空バルブは絶縁容器の中を高真空に保ち、固定側と可動側の接点、ベローズ、アークシールドなどで構成されています。可動側の電極棒は操作機構につながっていて、ベローズで真空を保ったまま接点を開閉します。

電流が流れている状態で接点が開くと、接点の間にアークが発生し、電流が零になるまで続きます。アークの熱で接点の材料が溶けて金属蒸気が出ますが、交流の電流が零になる時点を迎えると、金属蒸気は急速に拡散して接点の間が高真空の状態に戻り、絶縁が回復して電流の遮断が完了します。

同じ論文では、真空の絶縁耐力は空気・SF6ガス・絶縁油などより優れているため真空バルブを小さくでき、絶縁の回復が速いので短いアーク時間で大電流を遮断でき、アークのエネルギーが小さいので接点の消耗が少なく多数回の遮断ができる、と説明しています。

一方で、真空バルブは基本的に修理して使い続ける部品ではありません。JEMAの報告書は、真空漏れや電極からのガス放出で真空度が下がると耐電圧が低下し、遮断性能が落ちることを、遮断器の寿命を決める要因の一つに挙げています。

CB形(VCBなどの遮断器)とPF・S形(LBS+限流ヒューズ)の違い

キュービクルの受電用の遮断装置を「主遮断装置」と呼びます。JIS C 4620:2018では、主遮断装置を「電路に過負荷電流,短絡電流などが生じたとき,自動的に電路を遮断する能力をもつもの」と定義し、その形式によって次の2つに分けています。

CB形:
主遮断装置に遮断器(CB)を使う形式。遮断器と過電流継電器を組み合わせ、必要に応じて地絡継電装置も組み合わせます。遮断器には、現在の主流であるVCBが多く使われます。

PF・S形:
主遮断装置に限流ヒューズ(PF)とLBS(高圧交流負荷開閉器)を組み合わせて使う形式。高圧側の短絡は限流ヒューズが遮断し、地絡のときはLBSが自動で開きます。

違いの要点は、短絡のような大きな事故電流を何で切るかです。CB形では遮断器で遮断するため、事故原因を除去し、遮断器や設備の健全性を確認したうえで再投入できます。一方、PF・S形では限流ヒューズが溶けて切るため、JEMAの報告書が指摘するとおり、一度溶断したヒューズは再使用できず交換が必要です。PF・S形は遮断器と過電流継電器を使わない分、構成が簡素になります。

主遮断装置の方式主な使用機器受電設備容量
CB形遮断器(主にVCB)+過電流継電器(必要に応じ地絡継電装置)4,000kVA 以下
PF・S形限流ヒューズ(PF)+LBS(必要に応じ地絡継電装置)300kVA 以下
※JIS C 4620:2018の表1による(同規格が対象とするキュービクルの区分)。受電設備容量は、受電電圧で使用する変圧器や高圧引出し部分(電動機を含む)などの合計容量(kVA)です。高圧電動機は定格出力(kW)の数値を機器容量(kVA)として扱い、高圧進相コンデンサは含みません。JIS C 4620は2023年12月に改正されています。2023年版の適用範囲は、公称電圧6.6kV・周波数50Hz又は60Hz・系統短絡電流12.5kA以下の回路に用いる受電設備容量4,000kVA以下のキュービクルです(2023年版の表1は本記事では未確認)。

JIS C 4620:2018の区分では、受電設備容量が300kVAを超えるキュービクルはPF・S形の対象にならず、遮断器を使う「CB形」が対象になります。300kVA以下では、LBS+PFで構成される「PF・S形」も選択肢になります。

見積もりでVCBとLBSの提案が分かれたときの見分け方や、自社の設備ではどちらを選ぶべきかは、VCBとLBSの違いと選び方を解説した記事で詳しく説明しています。LBSがどのように電流を開閉するのかを知りたい方は、LBSの役割と仕組みを解説した記事もご参考ください。

電気工事士に聞く、VCBが正常に動作しないと何が起きるのか?

解説者

鷲巣 純一
株式会社恒電社

鷲巣 純一

通信工事や、オール電化など住宅の電気工事業などを経て、恒電社に入社。現在は、法人向け電気設備工事の提案から施工までを担うエンジニアリング事業部のマネージャー職に加え、技術者の視点から自家消費型太陽光発電システムの現場管理も行う。

インタビュアー

Iwami
株式会社恒電社

岩見啓明

恒電社ではマーケティング(動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告)に加え、人事やインサイドセールスなど、事業部を横断して活動。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2024年に第二種電気工事士資格を取得。≫プロフィールはこちら

ーーーVCBが正常に動作しなかった場合、どんな影響が出るのでしょうか?

VCBが動作しないと、止めるべき電気が止まらず、設備被害が連鎖的に拡大していく、非常に危険な状況になります。これは、事故電流が本来切り離されるべき区画から排除されず、設備全体へ流れ込み続けてしまうからです。

本来、ショートや地絡が起きた際には、VCBが瞬時にその区画を遮断して被害を最小限に抑えます。しかしVCBが動作しなければ、異常な大電流がケーブルや変圧器、配電盤といった設備に流れ続け、許容電流を超える負荷によって絶縁が劣化したり、機器が焼損したり、最悪は発火に至ることさえあります。

さらに停電も長期化し、工場であればライン停止、ビルならテナントの営業停止、病院なら治療の中断など、事業そのものへの深刻な影響が発生します。特別高圧設備では、障害が施設内にとどまらず周辺一帯へ停電が広がるケースもあり、社会的損失や損害賠償リスクも無視できません。

つまり、「VCBが効かない」という状態は、車で例えるなら“ブレーキペダルを踏んでも車が止まらない”のと同じで、安全を守る最後の装置が働かないことの危険性を意味します。普段は目に触れない機器ですが、いざというときに確実に機能させるため、日常的な点検や更新判断がいかに重要かが分かります。

※事故電流の大きさ・流れる範囲や遮断までの時間は、事故の種類、事故箇所、保護装置の構成・動作協調によって異なります。VCBが動作しなくても、上位の保護装置が動作して遮断される場合があります。高圧受電設備でも、構内の事故を主遮断装置で切り離せず、責任分界点の区分開閉器(PAS・UGSなど)でも切り離せない場合は、電力会社の配電用変電所の保護装置が動作し、同じ配電線につながる周辺の需要家も停電する「波及事故」になります。JIS C 4620:2018も、主遮断装置に、配電用変電所の保護装置との動作協調を保って電源側への波及事故を防止できることを求めています。

ーーー自社設備の外側への影響する場合もあるのでしょうか?

VCBだけではありませんが、高圧受変電設備で事故が起きると、場合によっては電力会社の配電線を通じて周辺エリアにも停電が波及する可能性があります。

近隣の工場、店舗、病院、交通機関などに影響が及んでしまった際は、結果として、以下のような経営に直結する影響も無視できません。

  • 損害賠償リスク
  • 企業イメージの低下
  • 利用者・顧客への信頼毀損

設備の更新には余裕を持って、早め早めに行動することをお勧めいたします。

責任分界点に設置する区分開閉器(PAS)が、自社設備の事故を配電線から切り離して波及事故を防ぐ仕組みは、PASの役割とSOGとの関係を解説した記事で詳しく説明しています。

VCBの寿命と点検・更新の目安

JEMAの「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(2023年3月改訂版)では、高圧交流遮断器の更新推奨時期を「20年又は規定開閉回数」としています。JEMAはこの年数を、標準使用状態で使用した場合に機能の低下が実用上支障ない程度と期待できる年数とし、メーカーの保証値ではないとしています。また、20年間正常に使用するためには、日常の巡視点検、普通点検手入れ、細密点検手入れが必要としています。同報告書は、工場電気設備のアンケート調査で寿命年数が約25〜35年(平均29.9年)だったことを踏まえ、計画的に運用するため、更新を考慮し始める時期として20年を更新推奨時期にしたと説明しています。

同報告書では、遮断器の保守・点検を、日常的な巡視点検、据付後1〜3年の初回点検、3年ごとの普通点検、6年ごとの細密点検、異常を見つけたときの臨時点検に分けています。普通点検と細密点検は、年数だけでなく規定の開閉回数に達したときにも行います。こうした点検は、キュービクルの保安管理を担う電気主任技術者(外部委託先を含む)の領域です。恒電社は、点検結果を踏まえたVCBの交換やキュービクル更新の工事を担当します。

また、同報告書では、油遮断器(OCB)や磁気遮断器は製造されておらず部品の調達や修理が難しくなっているとして、早めに真空遮断器などへの更新を検討することが望ましいとしています。

VCBの劣化のサインや交換時期の判断、更新費用の考え方は、VCBの寿命と交換時期の目安を解説した記事で詳しく説明しています。変圧器や保護継電器など、キュービクル全体の機器ごとの更新推奨時期は、キュービクルの耐用年数と更新推奨時期の記事にまとめています。

施工事例

恒電社の施工事例では、電気主任技術者様からのご依頼で、パネル取付形のVCBを単体で交換しました。据付・結線の後に絶縁抵抗測定、開閉動作の確認、保護継電器との連動試験を行い、電力会社が受電を再開しています。LBSを更新した事例とあわせて、実際の工事の流れをご覧ください。

まとめ|キュービクルにおけるVCB(真空遮断器)の役割と仕組み

本記事では、VCBを「よく分からない機器」ではなく「事業継続と安全を支える中核装置」として理解するために、役割・仕組み・CB形とPF・S形の違い・更新の目安を整理しました。

  1. VCBは高圧受変電設備を守る主遮断装置:
    VCBはキュービクル内のメインブレーカーとして、通常時の安定供給と、短絡・地絡など異常発生時の遮断を担います。継電器と連携し、事故を起こした設備を電源から切り離して被害の拡大を防ぎます。
  2. 真空バルブの中でアークを消す:
    接点が開くとアークが発生しますが、電流が零になると金属蒸気が急速に拡散し、接点間の絶縁が回復して電流の遮断が完了します。小型で多数回の遮断ができる一方、真空度の低下は寿命を決める要因になります。
  3. CB形とPF・S形は事故電流の切り方と対象容量が異なる:
    CB形はVCBなどの遮断器で事故電流を切り、PF・S形は短絡を限流ヒューズで切る方式です。JIS C 4620:2018の表1では、CB形は受電設備容量4,000kVA以下、PF・S形は300kVA以下と区分されています。
  4. VCBの不動作は事業リスクに直結する:
    VCBが動作しない場合、機器焼損や長期停電へと被害が拡大する可能性があります。自社設備にとどまらず、波及事故による周辺停電や損害賠償リスクにも発展し得るため、JEMAの更新推奨時期(使用開始後20年又は規定開閉回数)と点検結果を踏まえた更新判断が重要です。

VCBは普段意識されにくい設備ですが、万一の瞬間に確実に機能するかどうかが、設備の安全性だけでなく、事業そのものの信頼性を左右する重要な判断材料となります。

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自社のキュービクルがCB形かPF・S形か分からない、VCBの交換にどのくらいの停電が必要か知りたい、といったご相談はお問い合わせフォームから受け付けています。

この記事を書いた人

蕨川 真央
株式会社恒電社

蕨川 真央

教育・福祉などの業界を経て、2025年に恒電社に入社。カスタマーサクセスチームの一員として、採用やマーケティングを担当する。

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