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【企業の電気料金 #1】電気料金はどう決まるのか|設備オーナーが最初に押さえるべき3つの構成要素

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#電気の基礎知識

キュービクルの更新や省エネ設備の導入を検討する際、「そもそも自社の電気料金がどのように決まっているか」を正確に把握できている担当者の方は、意外と少ないのではないでしょうか。

電気料金は「使った分だけ払う」という単純な仕組みではなく、複数の要素が組み合わさって決まります。その構造を知らないまま設備投資や省エネ対策を進めると、効果の薄い対策に費用をかけてしまったり、コスト削減の本質的なポイントを見逃してしまうことがあります。

加えて、高圧受電の電気料金制度は近年大きく変化しており、近年(2022年以降)は、契約メニューの選択肢そのものが刷新されています。料金の全体像を正確に把握することが、適切な設備投資・契約判断の前提となります。

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本記事は、電気料金の仕組みについて専門家が解説した動画・記事をもとに、高圧受電設備を持つ法人の設備オーナー・設備担当者向けに再編集したものです。

要約

電気料金は「3層構造」で成り立っている
企業が支払う電気料金は、大きく「基本料金」「電力量料金」「その他(再エネ賦課金・燃料費調整額)」の3つで構成されます。それぞれ決まり方の仕組みが異なるため、コスト管理においても対策の打ち方が変わります。

基本料金は「使用量の合計」ではなく「ピーク」で決まる
基本料金の算出基準となるのは、月間の電力使用量の合計ではありません。1か月のうちで最も電力を使った「30分間」の値(最大需要電力=デマンド)が基準となります。この仕組みを把握しているかどうかが、設備運用コストの管理精度に直結します。詳細は#2で解説します。

「制御できるコスト」と「制御できないコスト」を区別して把握する
電力量料金は契約メニューの選び方や使い方の工夫で改善できる余地があります。一方、再エネ賦課金や燃料費調整額は企業側では直接コントロールできない変動コストです。この区別を意識することが、実効性のあるコスト管理の出発点になります。詳細は#3で解説します。

電気料金を構成する3つの要素

電気料金の請求書は一見複雑に見えますが、構造を分解すると以下の3つの要素で成り立っています。

構成要素決まり方の原則制御の可否
基本料金最大需要電力(デマンド)に基づいて算出△(設備・運用の工夫で改善できる余地あり)
電力量料金使用量×単価。契約メニューによって異なる△(メニュー選択・使い方の工夫で改善できる余地あり)
再エネ賦課金燃料費等調整額燃料市場・国の制度によって決まる✕(企業側では制御不可)

それぞれの概要を順に整理します。

基本料金

基本料金は、毎月の電力使用量の「合計」ではなく、1か月のうちで最も電力を多く使った30分間の値(最大需要電力)をもとに算出されます。この値は「デマンド」とも呼ばれます。

「ほとんどの時間帯は省エネで運用しているのに、特定の時間帯だけ電力が集中してしまっている」という状況でも、そのピークが基本料金の基準となります。使用量の「平均」ではなく「最大値」が基準になる点が、この仕組みの大きな特徴です。

また、基本料金の契約基準は年間で最も最大需要電力が高かった月の値が適用されます。節電に取り組んでいても、1か月だけピークが上がってしまうと、その値が翌年の基本料金の基準になる可能性があります。

デマンドの詳しい仕組みと、設備オーナーが取るべき対策については、「【企業の電気料金 #2】「デマンド」とは何か|基本料金を左右する最大需要電力の仕組みと、設備オーナーが知るべき非対称なルール」で解説します。

電力量料金

電力量料金は、実際に使用した電力量(kWh)に単価を掛けた従量制の料金です。基本料金と異なり、使った量に比例してコストが増減します。

単価は契約プランによって異なります。2022年以降、高圧・特別高圧の標準メニューは段階的に変更され、現在は以下のような3プランが基本となっています。

プラン電力量料金への調整特徴
ベーシックプラン燃料費調整+市場価格調整旧来の標準メニューに近い位置づけ。市場価格の変動が一定程度反映される
市場調整ゼロプラン燃料費調整のみ卸電力市場価格の影響を受けず、料金変動が比較的安定しやすい
市場価格連動プラン市場価格調整のみJEPXのスポット市場価格に連動。市場が安定している時期はメリットが出やすいが、高騰時のリスクも大きい
※名称や詳細は電力会社によって異なります

なお、現在では多くの高圧契約が上記いずれかのプランへ移行しており、従来メニューは新規受付が終了しています。

また、電力量料金を考えるうえで重要な概念が「負荷率」です。負荷率とは、ピーク時の使用量に対する平均使用量の割合を指します。負荷率が低い(ピーク時と平常時の使用量の差が大きい)状態は、契約電力に対して電気を効率よく使えていないことを意味し、コストパフォーマンスが低くなる傾向があります。

さらに2025年4月以降の料金改定では、ベーシックプランと市場調整ゼロプランにおいて基本料金単価が引き上げられ、電力量料金単価が引き下げられる方向に見直しが行われました。これにより、負荷率が低い施設ほど電気代が上がりやすい構造になっています。

契約プランの選び方・負荷率の考え方については、【企業の電気料金 #3】電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金とは|”制御できるコスト”と”制御できないコスト”を整理する」で解説します。

その他(再エネ賦課金・燃料費調整額)

電気料金の請求書には、基本料金・電力量料金に加えて、燃料費調整額と再エネ賦課金が含まれます。いずれも企業側では直接コントロールできない変動コストです。

燃料費調整額は、火力発電に使う燃料の市場価格の変動を電気料金に反映させる制度です。高圧・特別高圧の契約には上限が設けられておらず、燃料市場の変動がそのまま電気料金に影響します。また現在の高圧向け標準メニューでは、燃料費の変動に加えて卸電力市場(JEPX)の価格変動も反映させる「市場価格調整」が導入されており、変動要因が複合化しています。

再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの普及を支えるための費用を電力使用者が広く分担する仕組みで、使用量に応じて負担額が増えます。毎年度改定される国の制度で、2026年度の単価は1kWh当たり4.18円(2026年5月検針分〜2027年4月検針分適用)となっています。

これらは基本料金・電力量料金とは切り分けて、「制御できない変動コスト」として把握しておくことが重要です。詳細は同じく「#3」で解説します。

解説|電気料金の構造を正しく把握することの重要性

※本対談は、2023年5月に弊社で製作した動画コンテンツの内容をもとに再構成しています。動画内の情報は、一部最新のものと異なる部分がありますので、あらかじめご了承ください。

ーーー電気料金のそもそもの決まり方、そして仕組みについて教えていただけますか。

企業の電気料金の請求書には、さまざまな項目が並んでいます。その内訳の決まり方や、構造については、意外と知られていない部分もありますよね。ポイントは、企業の電気料金は、発電コスト・送配電コスト・小売会社の利益の積み上げで決まっているということです。

まず電力会社は、卸取引所などを通じて電気を調達します。そのコストが発電料です。さらに、その電気を需要家に届けるためには送配電網を使う必要があり、その対価として託送料金がかかります。そこに小売会社の利益が上乗せされ、最終的な電力量料金になります。

ーーーでは、実際に企業が毎月支払う電気料金は、どのようにして決まるのでしょうか?

電気料金は一見複雑そうに感じますが、基本的には「基本料金」と「電力量料金」、「その他」の3つの要素で構成されています。

電気は日常的に当たり前に使っているもので、その内訳について、あまり気にされない方も多いと思います。製造業など、電気を多く使う企業では、その料金を気にすることも多いと思いますが、主に総務部の担当者が関心を持っているだけで、すべての従業員が詳しく気にしているわけではないという実態もあると思います。

まずはこの3つの構成要素を理解することが、料金の全体像を把握する出発点になります。

ーーー「基本料金」はどのように決まるのでしょうか。

基本料金は、最大でどれだけ電力を使用したか——つまり「最大需要電力」によって決まります。

具体的には、1日24時間の中で30分ごとの電力使用量を測定し、1か月の中で最も使用量が多かった30分が「最大需要電力」として算出されます。そして1年間で最も使用量が多かった月が、基本契約の基準となります。

そのため、基本料金は企業によって異なり、工場や業務用オフィスの場合、電気の使用パターンや休日の使用有無などによっても契約内容が変わります。

ーーーでは、「電力量料金」はどのように決まるのでしょうか。

電力量料金は、実際に使用した電力量(kWh)に単価を掛けた従量制の料金です。基本料金と異なり、使った量に比例してコストが増減するシンプルな構造ですが、単価は契約メニューによって異なります。

時間帯や季節によって単価が変わるメニューも存在し、電力の使い方を工夫することでコストを抑えられる余地があります。


基本料金、電力量料金については、次の記事で詳しく説明していきます。

まとめ

  • 企業の電気料金は「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金・燃料費調整額」の3層構造で成り立っており、それぞれ決まり方の仕組みが異なる。
  • 基本料金は使用量の合計ではなく、1か月のうちで最も電力を使った30分間の値(最大需要電力=デマンド)が算出基準となる。年間で最も高かった月の値が1年間の契約基準になる点にも注意が必要。
  • 高圧向けの標準メニューは徐々に刷新され、旧メニューの新規受付は終了している。現在は卸電力市場価格の反映割合が異なる3プランが基本となっており、プランの選択が電力量料金のコストに直結する。

次の記事(#2)では、基本料金を決定するデマンド(最大需要電力)の仕組みと、設備オーナーが知っておくべき「非対称なルール」について詳しく解説します。

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出演

狩野 晶彦
株式会社エネリード 代表取締役

狩野 晶彦

電設資材卸会社勤務20年・家電業界専門誌リックの元専任講師・パナソニック客員講師。「ネット・ゼロ・エネルギーハウスとは」「知らないと損する電気料金セミナー」など、電力会社・大手企業・特約代理店等に向けて年間100 回以上の講演を行う。

恒石陣汰
第一種電気工事士/第二種電気工事士

恒石陣汰

日本における再生可能エネルギーの普及と、電力業界の脱炭素化へ大きな可能性を感じ、2020年に恒電社に入社。現在は、YouTubeなどを通じた、電力・エネルギー業界の情報提供をはじめ、電気工事設備工事の内容や流れを解説するなど、マクロからミクロ領域までを解説。第一種電気工事士・第二種電気工事士資格保有。

記事を書いた人

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

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