【LBSとは? #4】LBS更新工事の流れ|停電調整から復旧まで完全ガイド
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LBS(高圧負荷開閉器)の更新工事は、停電を伴う工事であることから、設備管理者にとって不安や疑問が多く、判断に迷いやすい工事のひとつです。
- 「停電時間はどのくらい必要なのか」
- 「工場ラインや店舗営業への影響はあるのか」
- 「事前にどのような準備が必要なのか」
こうした疑問を事前に把握しておくことで、工事をよりスムーズに進めることができます。
本記事は、LBSの維持管理に必要な知識を体系的に解説する連載シリーズ「LBSとは?」の第4回です。今回は、停電調整から工事、復旧までのLBS更新工事の全体の流れを、設備担当者の視点で分かりやすく解説します。
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目次
要約
工事全体像
LBS更新工事は、現地調査から設計、停電計画、工事、試験、復旧までの6ステップで進行します。特に初期の現地確認では、ケーブル端末の状態や作業条件を把握することで、停電時間や工事内容の精度が大きく左右されます。
停電と事前準備
LBS更新は必ず停電を伴うため、工場停止や店舗営業への影響を考慮した調整が必要です。交換作業のみの場合は通常2〜3時間程度ですが、ケーブル端末再施工や、屋外・狭隘作業、雨天対応などの条件によって半日〜終日になるケースもあります。
更新の意義
更新工事は単なる機器更新ではなく、保護装置やキュービクル内部の状態を見直す重要な機会です。GRなどの保護装置や周辺設備を含めて確認することで、設備全体の安全性向上と将来的なトラブルリスクの低減につながります。
LBS更新工事の全体フロー(6ステップ)
LBSの更新工事は、大きく以下の6つの工程に分けられます。
- 現地確認
- 工事設計・積算
- 停電計画の作成・保安法人との調整
- 停電作業・LBS更新工事
- 試験・点検(耐圧・絶抵抗など)
- 受電復旧・動作確認
それぞれの工程について、順を追って説明します。
【1.現地確認】更新内容の確定とリスク確認
まず最初に実施されるのが現地調査です。この段階で、既設設備の状態や作業条件を確認し、工事内容・停電時間・施工可否を具体化します。
主な調査項目
- 既設LBSのメーカー・型式
- 設置環境(屋内・屋外、湿気、腐食状況)
- ケーブル端末の劣化状態
- キュービクル内部の寸法・機器配置
- 作業スペースの確保状況
- 機器搬入経路、作業車両スペース
- 工場ラインやテナントへの影響
また、LBS自体の状態だけでなく、ケーブル端末が再利用できるかどうかも重要な点です。端末の再施工が必要になる場合、停電時間や工事費用が大きく変動し、場合によっては工事工程自体が変わる可能性があります。
これらの項目を確認することで、工事の安全性と作業時間の見積精度が大きく向上します。
【2.工事設計】必要部材・工法・日程を決定
現地調査の結果をもとに、具体的な工事設計を行います。設備管理者の方が最も気になるポイントは、停電時間の見込みではないでしょうか。この段階で、作業内容や工法を検討し、おおよその停電時間を算出します。
工事設計の主な内容
- LBS本体の選定(定格・メーカー・端子形状)
- ケーブル端末の再施工の有無
- 新設機器の取り付け方法
- 耐圧試験や動作試験の実施内容
- 停電時間の見積もり
- 作業時間帯(昼間作業/夜間作業)
夜間工事のメリット・デメリット
工場や店舗、商業施設などでは、営業や生産活動への影響を最小限に抑えるため、夜間工事が選択されるケースもあります。夜間に工事を行うことで、昼間の営業を停止する必要がなくなり、工場においては生産ラインの停止時間を最小限に抑えることが可能です。
また、冷蔵・冷凍設備への影響も軽減できるため、品質管理の観点からも有効な手段といえます。テナントが入居するビルにおいても、各テナントとの調整がしやすい点もメリットの一つです。
一方で、夜間工事にはいくつかの注意点もあります。例えば、作業を安全に進めるための夜間照明の確保が必要となるほか、通常よりも工事にかかる費用(人件費など)が加算される場合があります。
日中か夜間か、どちらの経済合理性が高いか判断する必要があります。
【3.停電計画】工場停止・店舗休業の調整が必要
LBS更新工事は必ず停電作業を伴います。そのため、設備管理者側では以下のような事前調整が必要になります。
- 作業日程の決定
- 工場ライン停止・店舗休業の調整
- 冷蔵・冷凍設備の温度管理(店舗・食品工場)
- ICT機器・サーバのシャットダウン
- テナントへの停電周知
また、停電を伴う作業においては、電気主任技術者との連携が欠かせません。電気主任技術者は、工事の安全性と適正な手順を確保するために重要な役割を担っており、作業当日の立会いを行うとともに、停電範囲が適切であるかの確認を行います。
さらに、作業完了後には設備の状態を確認したうえで、受電を再開して良いかどうかの最終的な判断・許可を行うなど、停電作業全体の安全管理において中心的な役割を果たします。
【4.工事当日】LBS更新作業の流れ
工事当日は、停電後に安全措置を行ったうえで、交換作業を進めます。
停電時間は現場条件によって異なりますが、一般的には1〜2時間程度が目安です(ケーブル端末の再施工や作業条件によっては半日程度かかる場合があります)。
主な作業手順
- 停電作業(高圧開閉器の開放)
- 安全措置(検電による無電圧確認・短絡接地)
- 既設LBSの取り外し
- 新設LBSの設置・固定
- ケーブル接続(必要に応じて再端末処理)
- 清掃・トルク管理・絶縁処理
- 耐圧試験・絶縁抵抗測定

【5.試験・点検】安全に受電できる状態かを確認
機器の設置が完了した後は、受電復旧前に、各種試験を実施します。主な点検内容は以下の通りです。
- 絶縁抵抗測定
- 耐圧試験(必要に応じて)
- 導通確認
- 動作確認(開閉操作・リンク機構・トリップ動作)
- 締結トルクの再確認
試験結果に問題がなければ、電気主任技術者の立会いのもと受電復旧へ進みます。
【6.受電復旧】電源投入後の最終確認
受電後は、設備が正常に動作しているかを最終確認します。以下のような問題がなければ、LBS更新工事は完了となります。
- 異音や振動の有無
- 電圧・電流値の確認
- 下流設備(モーター・空調・製造設備)の起動状態
- キュービクル内の温度や異臭
電気工事士に聞く、LBS更新と一緒に検討されやすい更新項目
解説者
インタビュアー
ーーーLBSと一緒に交換・更新されることが多い設備はありますか?
LBSには「必ず一緒に交換する設備」というものは特にありません。LBSは基本的に単体で動作するため、更新の必要がある場合には、単体で入れ替えるケースも少なくありません。
ただし、状況によっては保護装置の状態をあわせて確認することがあります。代表的なのはGR(地絡継電器)です。GRは、漏電や地絡事故が発生した際にそれを検知し、その信号によってLBSのトリップコイルを動作させ、回路を遮断する保護装置です。つまり、事故が起きたときに回路を遮断し、被害の拡大を防ぐための保護装置です。
ーーーLBSと連携する役割があるのですね。
そうですね。ただし、これも必ず同時交換というわけではありません。キュービクル内には複数の保護装置があり、それぞれが異なる事故(地絡・短絡など)を検知する役割を持っています。
電気事故はどこで発生するか分からないため、複数の保護装置によって段階的に設備を守る仕組みになっています。
ーーーLBS更新は設備全体を見直す機会にもなるということですね。
その通りです。LBSは、電気設備全体の安全性に関わる重要なポイントでもあります。
更新工事のタイミングで、保護装置の状態、キュービクル内部の劣化状況、周辺機器の更新時期などを確認しておくことで、設備全体の安全性向上につながります。
施工事例
まとめ|LBS更新は“事前準備”がスムーズな更新の鍵
LBS更新工事は停電を伴うため、設備担当者にとっては大きなイベントのように感じられるかもしれません。しかし、実際の工事は現地調査・停電計画・工事・試験・復旧という明確な手順に沿って進められます。
特に重要なのは、停電計画の事前調整、電気主任技術者との連携、工場や店舗への影響の整理といった事前準備です。
また、LBS更新は単なる機器交換ではなく、電気設備全体の安全性を見直す機会でもあります。保護装置やキュービクル内部の状態をあわせて確認することで、将来的な設備トラブルのリスク低減にもつながります。
LBSの更新工事や停電作業についてご不明な点がある場合は、設備状況に応じた工事計画のご提案も可能です。LBS更新をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
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