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デマンド(最大需要電力)とは?計算方法と基本料金が決まる仕組みを設備オーナー向けに解説

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#電気の基礎知識
投稿日:2026年3月31日
更新日:2026年10月22日
デマンド(最大需要電力)とは?基本料金を下げる仕組みを設備オーナー向けに解説

企業の電気代について深ぼる本シリーズ。今回は基本料金を理解するうえで重要な「デマンド」という概念を取り上げ、解説します。

「節電に取り組んでいるのに、基本料金がなかなか下がらない」——そのような経験をお持ちの設備担当者の方も少なくないのではないでしょうか。

実は、契約電力が500kW未満の高圧の契約では、「1か月のうちのたった30分」の使い方が、最大1年間、基本料金の基準となる契約電力を左右する仕組みになっています。しかも、節電の効果が契約電力に反映されるまでには最長で1年かかる一方、当月の最大需要電力が前月の契約電力を上回った場合は、その月から契約電力が上がります。この非対称なルールを知っているかどうかが、設備運用コストの管理精度に直結します。

この記事では、契約電力の決め方を、東京電力エナジーパートナーの高圧・契約電力500kW未満の実量制を対象に説明します(他の電力会社や契約では条件が異なる場合があります)。電力会社の料金メニューは見直しが続いていますが、実量制で最大需要電力の実績から契約電力が決まり、それが基本料金の基準になる仕組みは変わりません。企業が実効性のあるコスト対策を取るうえで、デマンドの仕組みを正確に理解しておくことは、その出発点となります。

電気料金の内訳の全体像や、高圧受電と低圧受電の違いから知りたい方は、以下の記事もご参考ください。

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本記事は、電気料金の仕組みについて専門家が解説した動画・記事をもとに、高圧受電設備を持つ法人の設備オーナー・設備担当者向けに再編集したものです。

要約

基本料金はデマンド(最大需要電力)で決まる
基本料金の算出基準となるのは、月間の電力使用量の合計ではありません。30分ごとの平均使用電力のうち、1か月で最も大きかった値が「最大需要電力(デマンド)」です。契約電力500kW未満の高圧の契約(実量制)では、当月を含む過去1年間の最大需要電力のうち最も大きい値が契約電力となり、基本料金の基準になります。月間の使用電力量や月間平均ではなく、30分ごとの平均使用電力の月間最大値が基準になる点が、この仕組みの大きな特徴です。

下がるのは最長1年後、上がるのはその月からという非対称なルール
節電や省エネに取り組み、当月の最大需要電力が下がっても、契約電力は当月を含む12か月の最大値までしか下がりません。一方、当月の最大需要電力が前月の契約電力を上回った場合は、その月から契約電力が上がります。この非対称性を前提とした設備運用の計画が重要です。

料金単価は見直しが続く。だからこそデマンドの把握が出発点
東京電力エナジーパートナーの高圧のベーシックプラン・市場調整ゼロプランでは、2025年4月に基本料金を高く・電力量料金を低く設定する見直しが行われ、2026年4月には(関東エリアの単価で確認すると)基本料金単価が引き下げられ、電力量料金単価が引き上げられました。2025年と2026年の見直しでは変更の方向が異なっていたため、最新の単価を確認しながら、デマンドの抑制と使用量の削減を組み合わせて考えることが大切です。

デマンド(最大需要電力)とは

「デマンド」とは、最大需要電力のことを指します。高圧受電の契約では、このデマンドの実績が契約電力を通じて基本料金に影響します。ただし契約電力の決め方は契約規模によって異なり、東京電力エナジーパートナーの高圧の契約では、契約電力500kW未満は実際の最大需要電力にもとづいて契約電力を決める「実量制」、500kW以上は協議により決める方式です。この記事では、主に実量制の仕組みを解説します。

1か月1,440回の計測と最大需要電力の算出

電力会社は、需要家(契約者)の電力使用量を30分ごとに計量しています。1日24時間を30分ごとに区切ると48回、1か月(30日)では1,440回の区切りがあります。

この30分ごとの平均使用電力のうち、1か月の中で最も大きかった値が「最大需要電力」です。

最大需要電力の求め方(計算方法)
30分間に使った電力量(kWh)を2倍すると、その30分間の平均使用電力(kW)になります。たとえば、ある30分間に200kWhを使った場合、その30分間の平均使用電力は200kWh×2=400kWです。1か月のうち、この値が最も大きかった30分の値が、その月の最大需要電力になります。

最大需要電力(デマンド)の求め方の図。30分ごとの平均電力のイメージの棒グラフで、1か月で最も大きい30分を最大需要電力として示し、30分の平均電力(kW)=30分間の使用電力量(kWh)×2、例として30分間に200kWhなら200×2=400kWと説明している

つまり、ある月に「1,439回はほぼ省エネで運用できていたが、特定の30分だけ電力使用が集中した」という場合でも、その1回の値が基本料金の基準となります。月間の使用電力量や月間平均ではなく、30分ごとの平均使用電力の月間最大値が基準になる点を、まず押さえておく必要があります。

年間で最も高かった月が契約基準になる

さらに重要なのが、年間を通じた最大需要電力の扱いです。

実量制では、当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうち、最も大きい値がその月の契約電力になります。なお、電気の使用開始から1年間は、使用開始月から当月までの最大需要電力のうち最も大きい値で決まります(東京電力エナジーパートナー「契約電力の決定方法(実量制)」)

例えば、夏場の冷房使用が集中する月に最大需要電力が突出して高くなった場合、そのピークは発生月を含む12か月の算定対象に残り、その間、契約電力はその値を下回りません(さらに大きいピークが出れば更新されます)。「普段はほとんど電力を使っていない」という企業でも、特定の30分間だけ使用量が多ければ、その影響が1年間の基本料金に反映される点には注意が必要です。

夏はデマンドのピークが出やすい時期

冷房負荷が大きい施設では、夏に最大需要電力が大きくなる場合があります。実量制では、夏に出たピークは発生月を含む12か月の算定対象に残るため、夏場の運用がその期間の契約電力を左右します。

なお、電力量料金の単価が季節や時間帯で分かれているかどうかは、料金プランによって異なります。たとえば東京電力エナジーパートナーの高圧の標準メニュー(2026年4月実施の単価表)では、ベーシックプラン・市場調整ゼロプランの電力量料金は季節で分かれておらず、市場価格連動プランには夏季の時間帯別単価があります。ご自身の契約の単価表を確認しておくと安心です。

「下がるのは最長1年後、上がるのはその月から」非対称なルール

デマンドの仕組みで特に押さえておきたいのが、基本料金が「下がる場合」と「上がる場合」で反映のタイミングが大きく異なるという点です。

下がる場合:過去1年間の最大値が外れるまで待つ
節電に取り組み、当月の最大需要電力が下がったとしても、契約電力は当月を含む12か月の最大値までしか下がりません。例えば、3月に100kWだった最大需要電力が、4月以降80kWに下がったとします。この場合、契約電力が80kWになるのは、3月の100kWが過去1年間の範囲から外れる翌年3月です。

上がる場合:その月から反映
一方、当月の最大需要電力が前月の契約電力を上回った場合は、その月の契約電力にすぐ反映されます(当月の値がそのまま当月の契約電力になります)。例えば、翌年4月に契約電力が80kWになっていたところ、5月に最大需要電力が100kWになると、5月の契約電力は100kWになります。

月当月の最大需要電力契約電力(当月を含む過去1年間の最大)
3月100kW100kW
4月〜翌年2月80kW100kW(3月の100kWが残る)
翌年3月80kW80kW(3月の100kWが外れる)
翌年4月80kW80kW
翌年5月100kW100kW(その月から上がる)
実量制の契約電力の動き(記事の例。過去1年間に他の月で100kWを超える値がない場合)

この非対称なルールを把握していないと、「節電しているのに料金が下がらない」という状況に陥りやすくなります。また、設備の新設・更新工事や試運転など、一時的に電力使用が増える場面でも、そのピークも発生月を含む12か月の算定対象に残り、その間の契約電力はその値を下回らない点には注意が必要です。工事のタイミングや稼働スケジュールを検討する際にも、デマンドへの影響を事前に考慮することが重要です。

デマンド管理が設備投資判断に直結する理由

基本料金は「使い方」で動かせる部分

高圧の電気料金は、基本料金と電力量料金の合計に再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えた金額で、料金プランによって燃料費調整や市場価格調整が加わります(東京電力エナジーパートナーの標準メニューの場合)。このうち基本料金は、基本料金単価と契約電力を基準に算定されます。単価は電力会社や料金プランで決まりますが、実量制の契約電力は、自社の最大需要電力の実績で決まります。

電力会社や料金プランを見直すことも選択肢の一つですが、契約電力そのものを下げるには、ピークの出方を変える必要があります。デマンドの管理は、需要家が自ら取り組める手段の一つです。

料金改定の動きと、デマンド管理の位置づけ

東京電力エナジーパートナーは、2025年4月1日から高圧のベーシックプラン・市場調整ゼロプランについて、「省エネ等により契約電力を抑え効率的に電気をご使用いただいた場合にメリットが出るように、従来と比較して基本料金を高く、電力量料金を低く設定」する見直しを行いました(2024年9月30日発表)。

その後、2026年4月1日の見直しでは、基本料金単価が引き下げられ、電力量料金単価が引き上げられました。高圧・関東エリアのベーシックプランでは、基本料金が1kWあたり3,030円から2,530円へ、電力量料金が1kWhあたり16円56銭から17円43銭へ見直されています(税込、燃料費調整額などを含まない単価)。さらに、2026年11月1日からは託送料金の見直しを電気料金へ反映する予定と発表されています(東京電力エナジーパートナー「特別高圧・高圧のお客さま向けの電気料金プランについて」)。

このように、今回確認した2025年と2026年の見直しでは、基本料金と電力量料金の変更の方向が異なっていました。どちらの単価が上がっても、基本料金は基本料金単価と契約電力を基準に算定されるため、デマンドを抑える取り組みの意味はなくなりません。最新の単価表を確認しながら、デマンドの抑制と使用量の削減を組み合わせて考えることが大切です。

具体的には、以下の点を把握・改善することが基本料金の削減につながります。

  • ピークが発生している時間帯はいつか
  • どの設備がピーク電力の発生源になっているか
  • 設備の稼働スケジュールや起動タイミングの変更で、ピークを分散できるか

例えば、複数の大型設備が同じ時間帯に一斉起動することでピークが発生しているケースでは、起動タイミングをずらすだけで最大需要電力を抑えられる場合があります。また、設備の更新や新設を検討する際にも、その設備がデマンドにどう影響するかを事前に把握しておくことが、コスト管理の観点から重要です。キュービクルのトランスを更新する際に、実際の使われ方から容量を考える方法は、トランス容量の決め方を解説した記事で紹介しています。

解説|デマンドの仕組みと基本料金の関係

※本対談は、2023年5月に弊社で製作した動画コンテンツの内容をもとに再構成しています。動画内の情報は、一部最新のものと異なる部分がありますので、あらかじめご了承ください。

ーーー基本料金はどのように決まるのでしょうか。

基本料金は、最大でどれだけ電力を使用したか、つまり「最大需要電力」によって決まります。

具体的には、1日24時間の中で30分ごとの電力使用量を測定し、1か月の中で最も使用量が多かった30分が「最大需要電力」として算出されます。そして1年間で最も使用量が多かった月が、基本契約の基準となります。

そのため、基本料金は企業によって異なり、工場や業務用オフィスの場合、電気の使用パターンや休日の使用有無などによっても契約内容が変わります。普段ほとんど電気を使用しない企業でも、特定の30分間だけ多く使用すると、その使用量が1年間の基本料金に反映される点が重要です。

ーーーつまり、全体の使用量ではなく、最大使用量が基本料金を決める重要なポイントなのですね。

その通りです。そして特に意識していただきたいのが、電気料金を「下げる場合」と「上がる場合」で仕組みが非対称である点です。

企業が節電しても、すぐに翌月から電気料金が安くなるわけではありません。電力会社は節電状況を1年間観察し、12か月間の使用量が安定して下がった場合に限り、次の契約に反映されます。

例えば、3月に100kW使った後、4月以降80kWに下がったとします。この場合、次の契約は1年後に80kWが基準となります。一方で、使用量が上がる場合はどうでしょうか。例えば、1年後の4月に80kWまで下がったものの、5月に100kW使った場合、翌月にはすぐに100kWが基準となります。

下げるときは1年間かかりますが、上がるときは翌月に反映される——この非対称なルールを理解することが、基本料金の管理において重要です。

※補足:上記は2023年5月収録時の説明です。東京電力エナジーパートナーの実量制(契約電力500kW未満)では、契約電力は毎月「当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうち最も大きい値」で決まります。1年間の節電の様子を確認して判断する仕組みではなく、下がる場合は、12か月の範囲から大きい値が外れた月に、その時点の12か月の最大値まで下がります。上がる場合は、当月の最大需要電力が前月の契約電力を上回ったその月から反映されます。また、反映に時間がかかるのは契約電力(基本料金)の部分で、使用電力量を減らした分の電力量料金の削減とは別です。

まとめ

  • 最大需要電力(デマンド)は、30分ごとの平均使用電力のうち1か月で最も大きかった値。契約電力500kW未満の高圧の契約(実量制)では、当月を含む過去1年間の最大需要電力の最大値が契約電力となり、基本料金の基準になる。
  • 節電によって最大需要電力が下がっても、契約電力は当月を含む12か月の最大値までしか下がらない。一方、当月の最大需要電力が前月の契約電力を上回るとその月から契約電力が上がるという非対称なルールを前提に、設備の新設・更新・運用計画を立てることが重要。
  • 料金単価の見直しが続いている(東京電力エナジーパートナーの高圧のベーシックプラン・市場調整ゼロプランでは、2025年4月に基本料金を高く、2026年4月には関東エリアの両プランで基本料金単価を引き下げ。2025年と2026年で変更の方向が異なる)。最新の単価を確認しながら、デマンドの抑制と使用量の削減を組み合わせて考えることが大切。

次の記事(#3)では、電力量料金の契約メニュー・負荷率の考え方と、燃料費調整や再エネ賦課金の仕組みについて解説します。

出演

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株式会社エネリード 代表取締役

狩野 晶彦

電設資材卸会社勤務20年・家電業界専門誌リックの元専任講師・パナソニック客員講師。「ネット・ゼロ・エネルギーハウスとは」「知らないと損する電気料金セミナー」など、電力会社・大手企業・特約代理店等に向けて年間100 回以上の講演を行う。

第一種電気工事士/第二種電気工事士

jintaprofile
株式会社恒電社

恒石陣汰(ツネイシ ジンタ)

日本における再生可能エネルギーの普及と、電力業界の脱炭素化へ大きな可能性を感じ、2020年に恒電社に入社。現在は、YouTubeなどを通じた、電力・エネルギー業界の情報提供をはじめ、電気工事設備工事の内容や流れを解説するなど、マクロからミクロ領域までを解説。第一種電気工事士・第二種電気工事士資格保有。≫プロフィールはこちら

この記事を書いた人

Iwami
株式会社恒電社

岩見啓明

恒電社ではマーケティング(動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告)に加え、人事やインサイドセールスなど、事業部を横断して活動。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2024年に第二種電気工事士資格を取得。≫プロフィールはこちら

「どの設備がピークを作っているのか分からない」「設備更新で契約電力がどう変わるか知りたい」といった段階でも、高圧受電設備の工事を担う立場からご相談に応じます。

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