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【法人向け|LED照明 #2】オフィス照明をLEDへ切り替え―工事手順・注意点を徹底解説

投稿日:2025年11月25日
更新日:2025年11月26日

2027年3月の蛍光灯製造禁止を前に、オフィスの照明を蛍光灯からLEDに切り替える企業が急増しています。

本記事は、企業におけるLED照明導入を体系的に整理する連載シリーズ「法人向け|LED照明」の第2回です。前回の基礎内容を踏まえ、オフィスの蛍光灯をLEDに更新する際の工事の流れや注意点を分かりやすく解説します。工事を検討している企業の総務担当者や施設管理者の方は、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

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要約

オフィスLED化の一番の効果は「省エネ」と「快適性向上」:
蛍光灯からLEDへ更新することで電気代削減に加え、明るさの安定性やオフィス全体の印象向上が期待できます。色温度調整や調光など制御性も高まり、業務エリアは集中しやすく、来客空間は演出性を高めるなど、働きやすさとブランド力向上の両面でメリットがあります。

工事の流れ(調査から引き渡しまで一貫対応):
現地調査で器具・配線・照度・用途を把握し、最適な器具選定・配置・照度シミュレーションで提案します。施工は夜間や休日対応も可能で、必要に応じて電源直結工事や天井補修も実施します。最後に点灯試験や照度確認を行い、異常がなければ引き渡しと保証手続きが行われます。

業務を止めない施工計画が重要:
日中の業務に影響を出さないため、夜間・休日施工やフロア分割施工などの工夫が有効です。明るさはJIS基準やグレア対策を踏まえ、モニター反射や将来のレイアウト変更まで見据えた設計が必要です。器具選定は明るさ、グレア、耐環境性、演色性、制御の5要素を総合的に判断します。

LED化成功には、早めの計画と最適設計が鍵:
電力会社の手続き不要で日程調整は比較的容易ですが、器具数が多いオフィスや停止できない業務がある場合は工期が長くなりがちです。蛍光灯の供給縮小もあり早期の現地調査が重要となります。

蛍光灯をLED照明に替えると何が変わる?

オフィスの蛍光灯をLED照明に交換することで、以下のような効果が期待できます。

  • 電気代の削減効果:
    従来の蛍光灯と比べ、40〜70%程度の消費電力削減が見込めます。照明本数が多いフロアほど、年間の削減額も大きくなります。
  • 明るさと照度の安定性:
    LEDは寿命末期まで比較的安定した明るさを保ちやすく、蛍光灯のような「じわじわ暗くなる」「ちらつく」といったストレスが減ります。
  • オフィス全体の印象向上:
    天井面のライン照明がスッキリ揃うことで、オフィスの印象が「古い雰囲気」から「クリーンで現代的」な雰囲気に変わります。採用・来客・社員満足度の面でもプラスに働きます。

工事の流れ(現地調査~施工~引き渡し)

ここでは、お問い合わせ後の流れを簡単にご紹介します。事前手続きの具体的な内容を含む詳細の流れは、ぜひ「こちらの記事」をご覧くださいませ。

① 現地調査

照明器具の数量・種類・設置高さ・天井構造などを確認し、既存配線の状態をチェックします。また、照度(明るさ)測定や、社員様の執務位置・用途別の照明配置のため、お客様のニーズを詳しくヒアリングさせていただきます。

② お見積り・設計提案

現地調査の結果をもとに、最適なLED器具の選定・配置図・照度シミュレーションを行います。
省エネ性能だけでなく、オフィスの用途(会議室・休憩室・エントランスなど)に合わせた照明計画をご提案いたします。

③ 施工

施工は、業務への支障を最小限にするため夜間や休日に実施されるケースが多いです。
既存の蛍光灯器具を取り外し、LED器具へ交換。必要に応じて配線や安定器の撤去・電源直結工事を行います。 照明器具の更新に合わせて天井の補修や清掃を行うと、仕上がりの印象が格段に良くなります。

④ 点灯確認・引き渡し

施工完了後は、点灯試験・照度確認を行い、明るさや点灯の異常がないかを最終確認します
問題がなければお客さま立会いのもとで引き渡しとなります。その後、保証書の発行や、メーカーによる製品保証も付与されます。

電気工事士に聞く、LEDへの切り替えを行う際のチェックポイント

解説者

高橋 宏武
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士

高橋 宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。プロフィールはこちら

インタビュアー

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

ーーーオフィスの照明を蛍光灯からLEDに切り替える際、注意すべき点は何ですか?

最重要は「業務を止めない計画」です。

夜間・休日の工事やフロアごとの分割施工など、勤務形態に合わせたスケジュール設計が欠かせません。施工中は養生と安全対策を徹底し、PC・書類・機器の保護も同時に行います。

ーーー明るさの設計は「とりあえず明るくする」で良いのでしょうか?

闇雲に明るくすれば良いわけではありません。例えば、執務エリアはJIS基準でおおよそ500lx(ルクス)前後を目安に設計することが推奨されています。

  • 一般的な事務作業:500lx程度
  • 製図・細かい校正作業など:700lx程度
  • 非常に細かい精密作業:1,000lx程度

※労働安全衛生規則では、オフィスの明るさについて最低照度が定められています。最低照度は、作業区分によって異なり、一般的な事務作業では300ルクス以上、付随的な事務作業は150ルクス以上です。詳細は、e-GOV法令検索「事務所衛生基準規則」をご確認ください。

細かな数値をお客様ご自身で検討・決定していただくことは難しいと思います。切り替えの際は元の蛍光灯の状態を確認し、基準を満たすことが可能か、またはより明るく(暗く)したいなどのご希望を確認して設計を行います。

さらに、グレア(まぶしさ)を抑える配光や、業務で使用するモニターへの反射を避ける器具選定と配置が重要です。将来のレイアウト変更に備えて、照明の配置や回路計画もこの段階で見直すと安心です。

グレア(glare)とは?
照明のまぶしさによって目が疲れたり、作業に支障を感じたりする現象。光が直接目に入ったり、反射して視界に強い輝度差が生じることで起こる。LED照明では、レンズ形状やカバー設計によってグレアを抑える工夫を行う。

ーーー最近は“照明デザイン”を重視する企業も多いですよね。

その通りです。執務は白色系で集中、ラウンジやエントランスは暖色系でくつろぎ、会議室は調光対応——などというゾーニングも主流となってきました。

LED照明なら色温度の切替や調光制御に対応しやすいので、空間演出にも効果的です。

ーーーそれでは、照明器具選びの具体的なポイントを教えてください。

ポイントを5つに絞ってお伝えします。

1.明るさ:現状が暗い場合は、段階的に増やしていくなどの計画が有効です。急激な変化は疲労に繋がることもあるため注意が必要です。

2.グレア:光源が直接視界に入ると疲れの原因になります。グレア低減タイプを優先すると快適です。

3.環境耐性:一般的なオフィスであれば問題ないですが、天井裏が高温になりやすい区画は器具の耐熱性を確認する必要があります。

4.演色性:図面や色見本を扱うなど、色にシビアな業務では、演色性の高い器具が選定されます。

5.制御:人感・明るさセンサーについて、「昼は自然光優先/夜は自動点灯」などの要望を事前にご共有いただけますと、配線や機器構成の工夫で、実現可能です。

ーーー工事スケジュールはどのように決定するのでしょうか?

お客様と弊社間で日程調整を行います。電力会社の手続きが不要なため、比較的工事の日程調整はしやすいです。一方で器具点数が多いオフィスや、日中に止められない業務がある場合は工期が伸びがちです。

加えて近年は、LEDへの更新需要が集中し、供給が不足しやすい傾向もあります。特に官公庁の更新が集中する夏休みの時期や、年末・年度末など、季節波動も起こりやすい製品です。

ーーーなぜ需要に、時期の偏りがあるのでしょうか?

例えば学校であれば、児童生徒が夏休みの間に一気に工事を進めたい理由から、8月頃に更新ニーズが高まっていることが予想されます。

需給バランスは年によっても傾向が異なるため、予想を立てるのが難しいですが、早めの計画と現地調査の実施が安心の近道です。

施工事例|オフィス照明更新

株式会社エコー宣伝印刷様のオフィスにおける、LED設備の導入事例をご紹介します。

「特に、直近でお願いしたLED照明への交換工事は、省エネによって経済合理性に寄与するだけでなく、“意外”な面で社内に良い変化をもたらしました」

まとめ:

蛍光灯製造禁止(2027年3月)を前に、オフィス照明のLED化は「コスト削減」だけでなく「働きやすさ」と「オフィスの印象」を同時に高める投資です。成功のカギは次の5点に集約されます。

  • 業務を止めない計画:夜間・休日・分割施工を前提に、養生と安全対策まで含めた工程設計を。
  • 照度と見え方の最適化:執務は目安500lx、グレア低減とモニター反射対策で“疲れない明るさ”へ。
  • 将来のレイアウト対応:席替え・島替えを見据え、器具配置と回路を計画段階で再設計。
  • デザイン/ゾーニング:執務=白色系、ラウンジ/エントランス=暖色系、会議室=調光対応など、目的別に光を使い分け。
  • 器具選定の5要素:明るさ/グレア/環境耐性/演色性/制御(人感・明るさセンサー、自然光活用)。

電力会社の手続きは不要なケースが多く日程調整は柔軟ですが、器具点数が多いオフィス日中停止できない業務では工期が延びがちです。さらに蛍光灯の供給縮小で需要が集中しやすいため、早めの現地調査と計画立案が安心です。

恒電社では、現地調査、照度測定、照度シミュレーション、夜間・休日の分割施工まで一気通貫でご支援します。オフィスの実情に合わせた最適解をご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

本記事は、連載シリーズ「法人向け|LED照明」の第2回として、工事プロセスと注意点を解説しました。次回の第3回では、水銀灯からLEDへ変更する際の効果を比較します。

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記事を書いた人

蕨川 真央
恒電社

蕨川 真央

教育・医療業界を経験したのち、結婚出産を経て恒電社に参画。現在は、マーケティングや採用領域のアシスタントとして従事する。プロフィールはこちら

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