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PCB含有機器とは?見分け方・判定方法と調査の手順|銘板・製造年・絶縁油の分析

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#PCB
投稿日:2025年11月12日
更新日:2026年10月3日
PCB含有機器の見分け方・判定方法|自社に該当するか確認する手順を解説

古い変圧器・コンデンサ・蛍光灯の安定器などには、今もPCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれている可能性があります。特に工場やビル、倉庫などで「何十年も前からある設備」の中には、PCBを含んでいることに気づかれていない機器もあります。

PCB含有機器とは、絶縁油などにPCBを含む電気機器のことです。PCBの濃度によって「高濃度」と「低濃度」に分かれ、高濃度の多くは意図してPCBを使った機器、低濃度の多くは絶縁油に微量のPCBが意図せず混入した機器で、見分け方が異なります。高濃度は銘板(製造者名・製造年・型式・表示記号)で判別でき、低濃度は銘板からは判断できないため、製造年で可能性を絞ったうえで絶縁油を分析して判定します。

本記事は、PCBを正しく理解し安全に対応するための連載シリーズ「PCB含有製品とは?」の第2回です。自社での確認作業の第一歩となる、銘板・製造年・分析による見分け方と調査の手順を、環境省・経済産業省・一般社団法人日本電機工業会(JEMA)の公開資料をもとに解説します。

高濃度PCB廃棄物の処分期間は、地域と機器の種類ごとに2018年3月末から2023年3月末にかけて、すべて終了しています。低濃度PCB廃棄物の処分期間は、現行のPCB特別措置法では2027年3月31日までです。さらに、2026年6月に成立・公布された改正PCB特別措置法(2027年4月1日施行・2026年10月時点)では、使用中の低濃度PCB使用製品についても、所有する事業者に届出と管理の義務が設けられます。高圧受電設備の変圧器・コンデンサなど電気事業法の対象となる電気工作物は、現在も、PCBを含むと判明した時点で電気事業法に基づく届出が必要です。自社の機器にPCBが含まれているかを調べて把握しておく意味は、これまで以上に大きくなっています。

処分期限の考え方、処分の進め方、実際の撤去・交換の事例は、同じ連載の次の記事で解説しています。

PCB含有製品の処理期限とは?背景と法的義務を正しく理解する(シリーズ連載#1/6)
PCB含有製品の処分対応(現地調査から報告までの5ステップ)を示す図解バナー #3/6
PCB含有製品とは?第6回 PCB含有製品処理 事例まとめ

この記事の要点

PCB含有機器とは:
絶縁油などにPCBを含む電気機器です。変圧器・電力用コンデンサなど、電気事業法の告示で定める12種類の電気工作物は、絶縁油に含まれるPCBの重量の割合が0.5%(5,000mg/kg)を超えると「高濃度PCB含有電気工作物」、高濃度に当たらず0.00005%(0.5mg/kg)を超えると「低濃度PCB含有電気工作物」に区分されます。このほか、照明器具の安定器や低圧のコンデンサにも、PCBを使ったものや汚染されたものがあります。

高濃度の見分け方:
意図してPCBを使った変圧器・コンデンサは、1953年から1972年頃に国内で製造されました。銘板の製造者名・製造年・型式・表示記号(「不燃性油入」など)をJEMAの一覧と照合し、分からない場合は製造者に問い合わせます。

低濃度の見分け方:
低濃度に当たる機器の多くは、再生絶縁油などを通じて微量のPCBが意図せず混入したもので、銘板からは判断できません。製造年と絶縁油の保守履歴で可能性を絞り込み(日本電機工業会の加盟メーカーが国内で製造した機器では、コンデンサは1991年以降の製造、変圧器は1994年以降の出荷で絶縁油の入替などがないものは、汚染の可能性はないとされています。ただしメーカーごとの例外や、輸入機器などは個別に確認が必要です)、可能性が残る機器は絶縁油を採取して分析します。

調査の進め方:
使用中の機器の銘板確認は感電のおそれがあるため、電気主任技術者等に依頼し、点検などの機会に行います。絶縁油中のPCB分析はいずれの分析機関にも依頼でき、一般社団法人日本環境測定分析協会のサイトで検索できます。封じ切りのコンデンサは、採油のために穴を開けると再使用できません。

改正法と恒電社のサポート:
2027年4月1日に施行される改正PCB特別措置法では、使用中の低濃度PCB使用製品を所有する事業者に届出・管理の義務が設けられます(電気工作物である低濃度PCB使用製品のうち政令で定めるものは、電気事業法の定めによります。2026年10月時点)。恒電社は、現地での機器の確認、分析機関への分析の手配、PCB含有機器の撤去・更新工事を行います。収集運搬・処分は許可を受けた業者が行い、恒電社は撤去工事の工程を処分の手配に合わせて調整します。

PCBが使われている可能性のある機器

PCBが使われている可能性のある主な機器と、銘板・表示で確認するポイントは下記のとおりです(表示記号はJEMAの一覧の一部です)。

機器確認のポイント(銘板・表示の例)
変圧器高濃度:「不燃性油入」「不燃油入」「カネクロール油入」などの表示や、メーカーごとの型式記号(例:日立製作所は型式番号中の「J」)。高濃度PCBを使った変圧器は1953〜1972年頃の製造。
低濃度:油入の変圧器は、製造年と絶縁油の入替・補充の履歴を確認し、必要に応じて分析。
電力用コンデンサ(高圧進相コンデンサ等)高濃度:「DF式」「AF式」「不燃性油入」などの表示と型式。
低濃度:製造年を確認。封じ切りの機器のため、使用中に採油用の穴を開けると再使用できません。
計器用変成器/リアクトル/放電コイル銘板の表示記号・型式をJEMAの一覧と照合し、不明な場合はメーカーに照会。油入のものは低濃度PCB汚染の可能性も確認。
電圧調整器/整流器/開閉器/遮断器/中性点抵抗器/避雷器/
OFケーブル
告示で定める12種類の電気工作物に含まれます。油入の機器は製造年・保守履歴を確認し、必要に応じて分析。
照明器具の安定器1957年1月〜1972年8月に国内で製造された照明器具の安定器に、PCBを使用したものがあります(一般家庭用の蛍光灯等の安定器には使用されていません)。銘板のメーカー・型式・種別・性能(力率)・製造年月で判別します(問い合わせ先は一般社団法人日本照明工業会)。
低圧コンデンサ低圧(200〜600V)で受電する施設の分電盤に取り付けられた力率改善用のコンデンサや、工作機械・揚水ポンプ・乾燥機などのモーターの起動用コンデンサにも、PCBに汚染されている可能性があるものがあります。
装置に組み込まれたコンデンサX線発生装置・X線検査装置・電気溶接機や、昇降機などを駆動する高電圧発生装置に組み込まれたコンデンサにも、PCBに汚染されている可能性があるものがあります。

※参照:JEMA「高濃度のPCBを使用した電気工作物」、環境省「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて」(令和5年10月版)、環境省「絶縁油がPCBに汚染されている可能性がある自家用電気工作物・コンデンサー」

キュービクルの中にある高圧進相コンデンサの役割や交換時期の目安を知りたい方は、次の記事もご参考ください。
進相コンデンサ(SC)とは?役割・力率と電気料金の関係・交換時期の目安

PCB濃度の目安と分類

電気事業法では、PCB含有電気工作物をPCBの濃度によって次のように分類しています。

高濃度PCB含有電気工作物:
告示で定められた12種類の電気工作物(変圧器、電力用コンデンサー、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、電圧調整器、整流器、開閉器、遮断器、中性点抵抗器、避雷器及びOFケーブル。以下同じ。)のいずれかに該当するものであって、使用されている絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの重量の割合が0.5%を超えるもの(換算値:重量比0.5%=5,000mg/kg=5,000ppm)。

低濃度PCB含有電気工作物:
告示で定められた12種類の電気工作物のいずれかに該当するものであって、高濃度PCB含有電気工作物に該当するものを除き、使用されている絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの重量の割合が0.00005%を超えるもの(換算値:重量比0.00005%=0.5mg/kg=0.5ppm)。

引用:経済産業省「PCB含有電気工作物・高濃度PCB含有電気工作物の早期処分のための措置(平成28年9・10月改正)」

使用を終えて廃棄物になった後は、PCB濃度が0.5%(5,000mg/kg)を超えるものが高濃度PCB廃棄物、0.5mg/kgを超え0.5%以下のものが低濃度PCB廃棄物に区分されます(塗膜くずや感圧複写紙のような可燃性のPCB汚染物は、10%が境です)。機器ごとに測定した絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kg以下であれば、その機器はPCB廃棄物に該当しません。

PCB含有機器の見分け方:銘板・製造年・分析の3段階

見分け方は、①銘板で高濃度PCBを使った機器かを確認し、②該当しなければ製造年と保守履歴で低濃度PCB汚染の可能性を絞り込み、③可能性が残る機器は絶縁油を分析して判定する、という順に進めます(環境省パンフレットの判別フロー)。

銘板を確認するために通電中の変圧器・コンデンサに近づくと、感電のおそれがあり大変危険です。銘板の確認は、日ごろ電気設備の保守・点検を行っている電気主任技術者等に依頼し、停電を伴う点検などの機会に行ってください。

①高濃度PCBか:銘板で判別する

意図して高濃度のPCBを使った電気機器は、各社でおおむね1955年頃から生産が始まり、1972年頃に生産が中止されています(JEMA)。電気機器にPCBが使用されているかどうかは、銘板の記載内容で判別できます。

まず、機器ごとに次の情報を記録します。

  • 製造者名、製造年、型式、製造番号
  • 表示内容(例:「不燃性油入」「不燃油入」)
  • 本体と銘板の写真

記録した内容を、JEMAの「高濃度のPCBを使用した電気工作物」の一覧(製造者名と表示記号)と照合します。一覧に載っていない製造者が製造した可能性もあるため、絶縁油の種類が分からないものは製造者に問い合わせます。照明器具の安定器は一般社団法人日本照明工業会、ネオントランスは公益社団法人日本サイン協会が問い合わせ先です。

高濃度PCBを使った機器に該当した場合、変圧器・コンデンサなど告示で定める12種類の電気工作物では、使用中のものは「高濃度PCB含有電気工作物」、使用を終えたものは「高濃度PCB廃棄物」です。安定器の場合は、使用中のものは「高濃度PCB使用製品」、廃棄後は「高濃度PCB廃棄物」です。電気事業法では、期限を過ぎた高濃度PCB含有電気工作物は電路への施設が禁止されており、事実上使用できません。処分期間が終わった今でも見つかることがあるため、見つけた場合は速やかに自治体(都道府県・政令市)に相談してください。期限を過ぎた場合の扱いは、PCB処分期限を過ぎるとどうなるかを解説した記事で詳しく整理しています。

②低濃度PCBか:製造年と保守履歴で可能性を絞る

低濃度に当たる機器の多くは、PCBを使っていないはずの機器の絶縁油に、微量のPCBが意図せず混入したものです。1990年まで行われた再生絶縁油の製造・流通・使用の過程で汚染されたと推定されており、汚染された絶縁油のPCB濃度は数mg/kgから数十mg/kg程度のものが多いとされています。そのため、銘板の表示からは汚染の有無を判断できません。

環境省のパンフレットでは、数万件に及ぶ測定例から、国内メーカーが1990年頃までに製造した電気機器にはPCB汚染の可能性があるとしたうえで、製造年による目安を示しています。

絶縁油の入替ができないコンデンサでは、1991年以降に製造されたものはPCB汚染の可能性はないとされています。ただし、ニチコン製のコンデンサは1991年以降のものでもPCB汚染の報告があり、東芝製の高圧コンデンサも1991年以降のもので汚染の可能性があるため、処分前に濃度測定を行うよう求められています。

変圧器のように絶縁油に係るメンテナンスができる機器では、1994年以降に出荷され、絶縁油の入替や絶縁油に係るメンテナンスが行われていないことが確認できれば、PCB汚染の可能性はないとされています(ただし、富士電機製の一部の機器については、1994年までに出荷された機器にPCB汚染の可能性が残るとされています)。

この目安は、日本電機工業会の加盟メーカーが国内で製造した機器についての整理で、輸入された機器などは別に確認が必要です。また、JEMAは、1990年以降に製造した機器や、メーカーのPCB不含証明書がある機器でも、出荷後に油交換などの保守をした場合に微量のPCBが検出された例があるとしています。絶縁油の入替・補充の記録もあわせて確認してください。

③絶縁油を分析して判定する

製造年の目安より前の機器や、保守履歴が分からない機器は、絶縁油を採取してPCB濃度を測定します。告示で定める12種類の電気工作物の場合、0.5mg/kgを超え5,000mg/kg以下であれば、使用中のものは「低濃度PCB含有電気工作物」、使用を終えたものは「微量PCB汚染廃電気機器等」(低濃度PCB廃棄物)です。5,000mg/kgを超える結果が出た場合は高濃度に当たるため、高濃度PCBとして扱いを確認します。0.5mg/kg以下であれば、PCBを含まない機器として引き続き使用するか、通常の産業廃棄物として処理できます。

同じ時期に製造された機器でも、PCBが検出されるものとされないものが混在している場合があるため、抜き取りではなく全数の分析が必要です(JEMA)。

封じ切りのコンデンサは、採油のために穴を開けると再び使用できなくなります。使用中のコンデンサは「PCB汚染の疑いあり」として記録し、使用を終えた後に分析します。銘板で高濃度PCB使用機器に該当しないことを確認できている機器は、分析をせずに低濃度PCB廃棄物とみなして処分することもできますが、その場合も届出が必要です(環境省)。高濃度かどうかを確認できない機器は、メーカーや自治体に扱いを確認してください。

高圧受電設備の変圧器・コンデンサなど、電気事業法の告示で定める電気工作物で使用中にPCBの含有が分かった場合は、電気関係報告規則により、判明した後遅滞なく、設置場所を管轄する産業保安監督部長に届け出る必要があります。現行の制度では、低濃度PCB含有電気工作物は届出をしたうえで引き続き使用できますが、使用中止のために電路から取り外した機器を新たに使用することは禁止されています。それ以外の製品は、対象となる制度を自治体などに確認してください。

分析が必要なケースと依頼先の選び方

既存の分析報告書やメーカーへの照会でも判定できない場合は、分析でPCB含有の有無を確認します。たとえば次のようなケースです。

  • 銘板が読めない・欠損している
  • 製造年やメーカーが不明
  • 製造年が目安より前、またはメーカーごとの例外に当たる
  • 絶縁油の入替・補充の履歴が分からない

JEMAによると、電気絶縁油中のPCB分析は計量証明の対象外で、いずれの分析機関にも依頼できます。一般社団法人日本環境測定分析協会の「分析機関(正会員)紹介・検索ページ」で「OPCB」(絶縁油中の微量PCB測定分析業務)にチェックを入れて検索すると、対応できる機関を探せます。依頼時には以下を確認すると安心です。

  • 絶縁油中の微量PCBの分析実績
  • 採油(サンプリング)を誰が行うか(分析機関は一般的に採油作業を行わないため、機器を保守している方などが対応します)
  • 結果が出るまでの期間と、報告書の記載内容(届出や処分の委託に使います)

恒電社の施工事例では、2001年製造の高圧コンデンサについても専門の分析機関でPCB濃度を測定し、PCB廃棄物に該当しないことを確認してから産業廃棄物として処理しました。恒電社の施工事例ページでは、サンプリングから分析には数週間から1か月ほどを要すると案内しています。実際の期間は依頼先に確認し、更新工事の工程に組み込みます。分析や処分にかかる費用の目安は、PCB処分の費用を解説した記事をご参考ください。

2027年4月から何が変わる?使用中の低濃度PCB使用製品にも届出義務

PCB特別措置法の改正法(令和8年法律第44号)は、2026年6月に成立し、6月19日に公布されました。施行は2027年4月1日です(2026年10月時点)。改正後の条文と環境省の説明資料によると、主な変更点は次のとおりです(条番号は改正後のもの)。

  • 使用中の低濃度PCB使用製品:所有する事業者は、所有・使用の状況、使用の場所、使用終了の見込みなどを都道府県知事に届け出て(第8条)、政令で定める基準に従って管理します(第9条)。電気事業法上の電気工作物である低濃度PCB使用製品のうち政令で定めるものには、第8条・第9条などの届出・管理の規定は適用されず、電気事業法の定めによります(第11条)。
  • 使用を終えたとき・PCB廃棄物と判明したとき:届出をしたうえで、使用を終えた日または判明した日から5年を超えない範囲で政令で定める期間内に処分します(第12条・第19条・第22条)。
  • すでに保管している低濃度PCB廃棄物:現行法の処分期間内(2027年3月末まで)に保管・届出されたものには現行法が適用され、2027年3月31日までの処分義務は変わりません(附則の経過措置)。
  • 罰則:第8条の届出(使用中の低濃度PCB使用製品)をしない、または虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金(第43条)、使用終了後・判明後の低濃度PCB廃棄物の届出をしない、または虚偽の届出をした場合は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第42条)の対象です。

PCBを含むかどうかと、使用中か廃棄物かで、処分の期限は次のように分かれます。

低濃度PCBの処分期限の早見表。PCBを含むか含まないか、使用中の機器か廃棄物かの4つのマスで、2027年3月末までに廃棄物として保管しているものは保管の届出をして2027年3月31日までに処分、2027年4月以降に判明した廃棄物と、改正法の届出をした製品の使用をやめた場合は最長5年以内に処分、PCBを含まないものは対象外と整理した図。注記に「電気工作物のうち政令で定めるものは、使用中の届出・管理を電気事業法で行います」とある

図は改正PCB特別措置法の整理を簡略化したものです。図の「使用をやめたら最長5年以内に処分」は、改正法第8条の届出をした低濃度PCB使用製品の使用を終えた場合の扱いです。現行法の処分期間内(2027年3月末まで)に保管・届出された低濃度PCB廃棄物には、図の上段のとおり経過措置により現行法の処分義務が残ります。図に当てはまらないケース(すでに判明しているのに届出をしていないものなど)は、自治体に確認してください。また、図の注記のとおり、電気工作物である低濃度PCB使用製品のうち政令で定めるものは、使用中の届出・管理について電気事業法の定めによります(第11条)。どの電気工作物が対象になるか、またその使用を終えた後の処分期間がどうなるかは、政令・省令の内容を確認する必要があります。なお、高圧受電設備の変圧器・コンデンサなど電気事業法の告示で定める電気工作物は、現在も、PCBの含有が判明した時点で電気事業法に基づく届出が必要です。

「最長5年」の具体的な期間や管理の基準は、政令で定める仕組みです。改正後の届出・管理・処分のどの手続きも、自社のどの機器にPCBが含まれているかを把握していることが前提です。期限の考え方はPCB含有機器の処分期限を解説した記事で、高圧受変電設備のPCBに関する疑問はPCBに関するよくある12の疑問でまとめています。

PCB含有製品|最初にチェックすべき項目

解説者

鷲巣 純一
株式会社恒電社

鷲巣 純一

通信工事や、オール電化など住宅の電気工事業などを経て、恒電社に入社。現在は、法人向け電気設備工事の提案から施工までを担うエンジニアリング事業部のマネージャー職に加え、技術者の視点から自家消費型太陽光発電システムの現場管理も行う。

インタビュアー

Iwami
株式会社恒電社

岩見啓明

恒電社ではマーケティング(動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告)に加え、人事やインサイドセールスなど、事業部を横断して活動。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2024年に第二種電気工事士資格を取得。≫プロフィールはこちら

ーーー 自社の設備にPCBの含有が疑われた際、オーナー様が最初にチェックすべき調査項目は何ですか?

まず確認していただきたいのは、該当の製品について「PCB検査が実施済みかどうか」です。ここがすべての出発点になります。検査が実施されていない、または結果が不明なままでは、次の対応(検査・交換・処分)の判断をすることができません。

PCBを含む機器は、一般的な産業廃棄物として処理することが認められていません。環境大臣が認定した無害化処理認定施設、もしくは都道府県知事等の許可を受けた施設で処分する必要があります。

したがって、PCBの含有有無が分かっている場合は検査不要ですが、分からない場合は必ず検査を行い、その結果に応じて処理方法を決定することが重要です。

※既存の分析報告書やメーカーの回答で判定できる場合もあります。また、封じ切りのコンデンサなど使用中に採油できない機器は、使用を終えてから分析します。銘板で高濃度PCB使用機器に該当しないことを確認できている場合は、分析せずに低濃度PCB廃棄物とみなして処分することもできます(その場合も届出が必要です)。ここで挙げた無害化処理認定施設・都道府県知事等の許可施設は、主に低濃度PCB廃棄物の処分先です。高濃度PCB廃棄物は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)で処理されてきましたが、JESCOの処理事業は2026年3月末で終了しました。改正法では、今後見つかる高濃度PCB廃棄物を民間の処理施設で処分する仕組みに見直されます(環境省資料)。

ーーー PCB検査実施の履歴は、自社が依頼している主任技術者に聞けば状況が分かるものでしょうか?

一概にそうとも言えないですね。

というのも「主任技術者経由でPCB検査を実施したケース」と、「主任技術者を介さずに設備担当者様が直接PCB検査を進めたケース」の両方が存在するためです。

主任技術者が主体となって検査を依頼していれば、確認すればすぐに把握できます。しかし、設備担当者など別の方が対応していた場合は、主任技術者に尋ねても正確な状況が分からないことがあります。

ーーーでは、「検査を実施したかどうか分からない」という状態でお問い合わせをいただくこともあるのでしょうか?

はい、そのようなケースもあります。状況が把握できていない場合には、まずは製造メーカーへの問い合わせやPCB検査のご案内をさせていただきます。

メーカーから「PCB含有の可能性あり」と判断された場合、油のサンプルを抽出し、分析機関へ分析を依頼します。この分析結果(高濃度/低濃度/不含有)によって、その後の対応が変わってきます。

※使用中の機器の銘板確認や採油は感電のおそれがあるため、電気主任技術者等と調整し、停電を伴う点検や工事の機会に行います。封じ切りのコンデンサは採油のために穴を開けると再使用できないため、使用を終えた後に採油・分析します。

分析でPCBの含有が分かった後の処分の流れは、次の記事で手順ごとに解説しています。

PCB含有製品の処理期限とは?背景と法的義務を正しく理解する(シリーズ連載#1/6)
PCB含有製品の処分対応(現地調査から報告までの5ステップ)を示す図解バナー #3/6

施工事例

製造年からPCB含有が疑われた高圧コンデンサを分析したうえで交換した事例と、キュービクルの撤去にあわせて機器のPCB検査を行った事例です。分析でPCBを含むと分かったトランス・コンデンサを撤去した事例は、「トランス/コンデンサ撤去(PCB含有)|東京都葛飾区」で紹介しています。

まとめ:

PCB含有機器は、見た目では分からないものが多く「うちにはないだろう」と思い込むことが最大の落とし穴です。まずは自社の設備を棚卸しし、銘板・製造年・絶縁油の保守記録をもとにPCB含有の可能性を確認しましょう。高濃度は銘板とJEMAの一覧で、低濃度は製造年の目安で可能性を絞ったうえで絶縁油の分析で判定します。

2027年4月1日に施行される改正PCB特別措置法(2026年10月時点)では、使用中の低濃度PCB使用製品を所有する事業者に届出と管理の義務が設けられます。高圧受電設備の変圧器・コンデンサなど電気事業法の対象となる電気工作物は、現在も含有が判明したら届出が必要です。すでに保管している低濃度PCB廃棄物は、2027年3月31日までの処分が必要です。

本記事は、連載シリーズ「PCB含有製品とは?」の第2回として、確認・判定のポイントを整理しました。次回の第3回では、実務の中心となる“処分対応の進め方”をロードマップ形式で解説します。

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この記事を書いた人

蕨川 真央
株式会社恒電社

蕨川 真央

教育・福祉などの業界を経て、2025年に恒電社に入社。カスタマーサクセスチームの一員として、採用やマーケティングを担当する。

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