【店舗向け|LED照明 #8】 省エネ・維持コスト・印象から考える「照明のLED化」のメリット・デメリット
更新日:2025年11月26日

長時間営業・多灯数の店舗や、物販・飲食などの店舗では、照明をLED化するだけで電気代は約40〜60%、条件次第では30〜70%の削減が見込めることがあります。さらに、店舗の印象を左右する明るさや、色の再現性が向上し、メンテナンスの負担軽減も同時に実現可能です。
本記事は、用途別の照明戦略を体系的に整理する連載シリーズ「法人向け|LED照明」の第8回(最終回)です。店舗における照明設備の「LED化」について、メリット/デメリット、設計のポイントを整理します。
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目次
要約
LED化は店舗の電気代削減に直結:
物販や飲食のように電気使用量が多い店舗では、照明をLED化するだけで大幅な電気代削減が期待できます。また、その明るさや演出性の高さから店舗の印象向上にも寄与するLED照明は、長寿命で交換頻度が少ないため、保守作業や更新作業が減り、間接コストの削減にも大きく貢献します。
店舗で“いま”照明を見直すべき理由:
蛍光灯の製造終了が進み、調達リスクや価格上昇が顕在化する中、店舗のLED化は経営的な観点からも早期実施のメリットが大きいです。一括更新で効果を最大化する方法と、点灯時間が長いゾーンから進める部分更新の2パターンがあり、業態・予算に応じて選択できます。
唯一のデメリットは初期費用:
LED化はメリットが多い一方、既存器具の更新には初期費用が発生します。ただし、安全性・省エネ性・長期の保守性を考えると器具更新の方が有利です。また、安価すぎる製品はちらつきや色ムラが起きやすく、仕様書で演色性・寿命・保証・フリッカーフリーの有無を確認することが重要です。
店舗の蛍光灯をLED照明に変えるメリット
店舗の蛍光灯をLED照明に交換することで、以下のような効果が期待できます。
- 電気代の削減:従来の蛍光灯や水銀灯と比べ消費電力を約40〜70%削減できます。
- メンテナンスコストの低減:交換頻度が大幅に減り、人件費や交換コストの削減が可能です。
- 快適な職場環境づくり:空間の目的に合わせた照明演出が可能です。
- 環境・社会的評価の向上:企業のESG経営の一環として高く評価され、企業イメージの向上にも寄与します。
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店舗の蛍光灯をLED照明に変えるデメリット
先述のとおり、LED化には「電気代の削減」「メンテナンスコストの低減」「快適な職場環境づくり」「環境・社会的評価の向上」など、数多くのメリットがあります。
照明を更新したその日から電気代が下がり、交換の手間もほとんどなくなるため「デメリットがほとんどない投資」と言われることも少なくありません。それでも、あえて一点を挙げるとすれば「初期費用」です。
既存器具にそのまま装着できる「工事不要型」のLEDランプもありますが、器具の状態や安定器の寿命次第では点灯不良・効率低下の懸念が残ります。直結工事や器具ごとの更新は初期費用が増える反面、安全性・省エネ性・将来の保守性で優位です。
また、安価すぎる製品は、簡易的な電源回路や色度選別の不十分さから、ちらつき(フリッカー)や色ムラが発生しやすく、早期劣化のリスクも高まります。仕様書で演色性・寿命・保証、フリッカーフリーや色温度のばらつき管理の有無を確認しましょう。
最終的には信頼できる業者に現地調査(配線方式、安定器の有無、型式適合)を依頼し、最適案を比較検討するのが近道といえます。
店舗の照明を“いま”見直すべき理由
蛍光ランプは製造終了の流れが進み、調達が難しくなったり価格が上がったりしています。さらに電気料金の高止まりで、以前より投資回収が短縮されやすくなりました。
照明設備の「LED化」の進め方は二つあります。更新の規模やスケジュール感、予算を総合的に判断してご検討ください。
- 一括更新:削減効果が最大化し、見た目の刷新も一度で済みます。
- 部分更新:点灯時間が長いエリアや高所の保守負担が大きいエリアから優先し、段階的に投資します。
電気工事士に聞く、店舗空間におけるLED照明の設計ポイント
解説者
インタビュアー
ーーー業種別で照明設計の方法は変わりますか?また、注意すべき点はありますか?
施工方法は大きく変わりません。違いが出るのは「器具の選定」と「現場の段取り」です。
明るさ、配光、グレア(まぶしさ)、環境耐性(温度・粉塵など)を用途に合わせることで、同じ「取り替え工事」でも仕上がりは大きく変わります。
ーーー店舗での器具選定にはどんなところに注意をすれば良いでしょうか?
見せたいものに最適化することが重要です。例えば色味の確認が重要になる場所ではRa80以上で色の再現性が高い環境が望ましい、食品売り場では「肉が鮮やかに見える、野菜の緑が映えるものを」など、用途に特化した器具を選定するなどです。
Ra(演色評価数)とは?
照明の光が「色をどれだけ自然に見せるか」を示す指標。値は100に近いほど太陽光に近く、色の再現性が高いことを意味する。
そのため、恒電社ではご提案の際に「LEDを設置する場所はどういう用途で使うのか」の確認を重視しています。店舗の印象やブランド価値、購買意欲にまで直結しますので、お客さまと相談しながら器具の選定を進めていきます。
【事例紹介】照明更新で印象と利益を改善した店舗の例
自宅兼店舗(美容室)のダウンライト交換工事の事例を紹介します。
美容室はカラーリングの色合いなどもチェックしなければいけません。そこで、照度だけでなく色の見え方にも配慮して照明器具を選定し、工事を行いました。
まとめ:
LED化は店舗運営のコスト削減、保守負担の低減、空間価値の向上を同時にかなえる、費用対効果の高い投資です。
とくに長時間・多灯の業態では回収が早く、ブランド体験の底上げにも直結します。蛍光灯の調達難や安定器寿命、電気料金の高止まりを踏まえれば、“いま更新する”意義は十分にあります。
信頼できる電気工事業者に依頼し、調査→設計→補助金→施工→運用を一気通貫で進めることが、結果的に最短ルートになります。まずはお気軽にご相談ください。
本記事は、連載シリーズ「法人向け|LED照明」の最終回として、店舗照明における検討ポイントを整理しました。シリーズ全体を通じて、LED導入の基礎から省エネ・更新計画まで体系的に理解いただける構成となっています。ぜひ前回までの記事も合わせてご活用ください。
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