更新日:2026年10月3日
高圧受変電設備において、トランスの「容量」は、設備コスト・電気料金・安定稼働のすべてに直結する重要な要素です。容量の選定を誤ると、過負荷によるトラブルや無駄なコスト増加につながる可能性があります。
しかし実際は「何kVAが、自社に適正なのか分からない」「これまでと同じ容量で更新して問題ないのか判断できない」といった悩みを抱える設備担当者の方も少なくありません。
本記事では、トランスの基礎知識から、需要率・不等率・力率を使った容量の計算方法と計算例、JISで定められた標準容量の一覧、さらに電気工事士の現場視点による注意点までを整理します。
キュービクル全体の役割や価格の考え方から確認したい方は、以下の連載記事もあわせてご覧ください。
要約
・トランス容量の求め方
負荷設備を用途ごとのグループに分け、各グループの設備容量に需要率を掛けて最大需要電力を求めます。その合計をグループ間の不等率で割って合成最大需要電力にし、力率で割ってkVAに換算します。そこに将来の余裕を加え、JIS C 4304などで定められた標準容量から、計算値以上で最も近い容量を選ぶのが基本の流れです。
・トランスの基本理解
トランス(変圧器)は高圧で受電した電気を安全に使用できる電圧へ変換する設備であり、その性能を示すのがkVAで表される容量です。容量は「安全に供給できる電気の上限」を示し、過不足があると設備トラブルや無駄なコスト増加につながります。
・kVAと力率の関係
トランス容量を表す皮相電力(kVA)と、実際に仕事をする有効電力(kW)の数値の関係は、力率によって決まります(kW=kVA×力率)。力率を考慮せずに選定すると容量不足が生じる可能性があります。正しい理解が適正容量判断の前提となります。
・容量算定の考え方
容量は単純な合計ではなく、需要率や不等率、時間帯ごとの使用傾向を加味して決定します。30分デマンド値などの実績データを活用し、業種や運用実態に即した予測を行うことで、過大投資や過小設計を防ぎます。
・余裕とコストのバランス
取材した電気工事士は、将来の設備計画を考慮して20〜50%程度の余裕を見込むことが多いと話しています。ただし、過大すぎる容量は初期費用や無負荷損の増加につながります。東京電力エナジーパートナーの契約電力500kW未満の高圧契約(実量制)のように、トランスの大きさではなく実際の最大需要電力で契約電力が決まる契約もあるため、長期的な視点でのバランス判断が重要です。
そもそも「トランス」とは何か?
「トランス」とは?
トランス(変圧器)とは、電圧を変換するための電気設備です。高圧で受電した電気を、建物や設備で安全に使用できる電圧へと変換する役割を担っています。
高圧受変電設備では、電力会社から6,600Vといった高い電圧で電気が供給されますが、そのままでは照明や空調、機械設備には使用できません。そこで必要になるのがトランスです。トランスによって電圧を下げることで、各設備へ適切な電気を安定して供給できるようになります。
このとき重要なのが、トランスが「どれだけの電気を扱えるか」という性能です。この能力を数値で表したものが「トランス容量」であり、一般的に「kVA(キロボルトアンペア)」という単位で示されます。
つまりトランス容量とは、そのトランスが安全に供給できる電気の“上限”を示す指標だと考えると分かりやすいでしょう。
容量を超えた電気を流そうとすると、トランス本体に大きな負担がかかり、過熱や劣化、最悪の場合は設備トラブルにつながります。一方で、必要以上に大きなトランスを設置すると、設備コストや電気料金の面で無駄が発生することもあります。
このように、トランスを正しく理解することは、適切な容量選定を行うための前提条件でもあります。
kVAとkWの違い
トランス容量を正しく理解するうえで欠かせないのが、「kVA」と「kW(キロワット)」の違いです。
kVA(皮相電力)は、電圧と電流から求める値(三相では√3も掛ける)で、トランスやケーブルが実際に負担する電気の大きさを表します。一方で、kWはモーターを回したり照明を点灯させたりといった、実際に仕事をしている電力の量を示します。
ここで重要なのは、実際は流れている電気(kVA)の全てが使われているわけではないという点です。
工場やビルで使われるモーターや空調設備などの多くは磁気を利用して動作するため「実際に仕事に使える電気(有効電力)」と同時に、「設備を動かすための準備に必要な電気(無効電力)」も流れます。
その結果、例えば力率が80%の場合、設備としては100kVAの電気が流れていても、実際に使われている電力は80kW、という状態が生じます。
この「流れている電気のうち、実際に仕事をしている割合」を「力率」と呼びます。力率が100%であればkVAとkWは一致しますが、モーターなどの負荷では力率が100%を下回ることがあり、設備全体の力率は負荷の構成や力率改善の状況によって変わります。
※ 力率が低い状態では、設備や電気料金の面で無駄が増えるため、進相コンデンサなどによる力率改善が行われることもあります。
高圧設備で「トランス容量」が重要な理由
トランス容量は、単に使える電気の量を計るだけの数値ではありません。
適正な容量で運用することで、過負荷を防ぎ、安全に電気を使用することができます。逆に、定格容量を超える負荷が続くと、トランス本体の劣化が早まり、寿命を縮める原因となります。
油入変圧器の規格(JIS C 4304)では、定格容量は、規格で定めた温度上昇の限度を超えずに使える出力として定義されています。定格を超えて使い続けると温度が上がります。油入変圧器の寿命は主に絶縁物(紙)によって決まるとメーカーが説明しており、熱は絶縁紙が劣化する要因の一つです。
一方で、容量が過大な場合にも無駄が生じます。トランスには、負荷の大きさに関わらず鉄心から発生する「無負荷損」があり、メーカーのカタログを見ると、同じシリーズでは容量が大きいほど無負荷損も大きくなっています。トランスは通常、常に電圧がかかった状態(常時課電)で使われるため、電圧がかかっている間はこの損失が使用電力量に積み重なります。
なお、東京電力エナジーパートナーの場合、契約電力500kW未満の高圧契約(実量制)では、トランスの大きさではなく、実際の最大需要電力で契約電力が決まります。具体的には、30分ごとに計量した使用電力の月間の最大値(最大需要電力)について、当月を含む過去1年間の各月の値のうち最も大きい値が契約電力になります。
一方、契約電力500kW以上では契約電力は協議で決まり、使用する負荷設備や受電設備の内容などが基準になります。
トランスの省エネ性能を定めるトップランナー基準の改定と、更新への影響について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
変圧器(トランス)トップランナー基準改定の解説:費用の影響と企業が確認すべき判断基準
このように、トランス容量は長期的な運用コストと設備の信頼性を左右する重要な判断要素といえます。
トランス容量の単位「kVA」を正しく理解する
トランス容量はkVAで表され、実際に使用できる電力(kW)は力率を考慮して決まります。その関係は次のとおりです。
- 単相:容量(kVA)= 電圧(V)× 電流(A)÷ 1,000
- 三相:容量(kVA)= √3(約1.73)× 線間電圧(V)× 線電流(A)÷ 1,000
- 有効電力(kW)= 容量(kVA)× 力率
力率を考慮せずに容量を判断すると、実際の使用電力を正しく把握できません。例えば、必要な電力が100kWだからといって100kVAのトランスを選定すると、力率次第では容量不足に陥る可能性があります。
単相・三相の定格電流の求め方
容量から定格電流を求めるときは、容量を電圧で割ります。三相の場合は、電圧に√3を掛けた値で割ります。JIS C 4304でも、定格電流は「定格容量を、定格電圧及び該当する相係数で除した線路電流」と定義されており、相係数は単相が1、三相が√3です。
- 三相200kVA・二次電圧210Vの場合:200,000 ÷(1.732 × 210)≒ 550A(一次側6,600Vでは約17.5A)
- 単相50kVA・二次電圧210-105V(単相3線式)の場合:210V側で 50,000 ÷ 210 ≒ 238A
三相の式は、各相の負荷が平衡している場合のものです。負荷に偏りがある場合や単相3線式では、合計の容量に加えて、各相・各線の電流も確認します。
トランス容量の計算方法|需要率・不等率・力率を使った求め方
トランス容量は、つながる機器の容量を単純に足し合わせて決めるのではなく、「同時にどれだけ使われるか」を見積もってから決めます。国土交通省の「電気通信施設設計要領(電気編)」も、変圧器の容量は負荷種別ごとの容量、効率、力率、負荷率、不等率及び需要率等を基に算定するとしています。
計算に使う3つの係数
| 係数 | 意味と式 |
|---|---|
| 需要率 | 負荷設備の容量の合計に対し、実際の最大需要電力がどのくらいかを表す割合。需要率(%)= 最大需要電力 ÷ 設備容量の合計 × 100。100%以下になる |
| 不等率 | 複数の負荷(グループ)の使用のピークが、同じ時刻に重ならない度合い。不等率 = 各負荷の最大需要電力の合計 ÷ 合成最大需要電力。1以上になる |
| 負荷率 | ある期間の平均需要電力が、その期間の最大需要電力に対してどのくらいかを表す割合。負荷率(%)= 平均需要電力 ÷ 最大需要電力 × 100。主に使用電力量(kWh)の見積もりに使う |
なお、変圧器の省エネ評価では、期間中の平均需要電力(皮相電力、kVA)を変圧器の定格容量(kVA)で割った値を「負荷率」と呼ぶこともあります。同じ言葉でも、どちらの意味で使われているかを確認してください。
計算の手順
- 負荷設備を洗い出し、用途(照明・コンセント、空調、生産設備など)ごとに設備容量(kW)を合計する。設備容量は電気の入力(消費電力)のkWでそろえ、モーターなど出力のkWで表示された機器は効率を考慮して入力に換算する
- グループごとに「設備容量 × 需要率」で最大需要電力(kW)を求める
- 各グループの最大需要電力の合計を不等率で割り、合成最大需要電力(kW)を求める
- 合成最大需要電力を、そのトランスにつながる負荷の総合力率で割って、kVAに換算する。力率は想定する運転状態(最大需要電力が出る時間帯)に対応する値を使い、実測値を使う場合は同じ時間帯の電力と力率を組み合わせる。力率が時間帯によって変わる場合は、最大需要電力の時間帯以外についても、各時間帯の電力と力率から求めたkVAを確認する
- 将来の増設などに備えた余裕を見込み、後述の標準容量から、計算値以上で最も近い容量を選ぶ
式にまとめると、次のとおりです(需要率・力率・余裕率は、60%なら0.6のように小数で代入します)。
トランス容量(kVA)≧ Σ(設備容量 × 需要率)÷ 不等率 ÷ 力率 ×(1 + 余裕率)
需要率や不等率は、建物の用途や負荷の種類、使い方によって変わります。更新の場合は、デマンド(30分ごとに計量した平均の使用電力)の実績から、その最大値である最大需要電力を把握できます。実測した最大需要電力には、すでにピークの重なり方が反映されているため、需要率や不等率で重ねて低減しません。
ただし、受電点のデマンドは建物全体の値です。トランスが複数台ある場合、1台ごとの負荷は別に確認する必要があります。
計算例:三相の動力用トランスを選ぶ場合
次の条件を仮定して計算します(数値は説明のための仮定です)。
- 空調設備:設備容量80kW、需要率80%
- 生産設備:設備容量120kW、需要率60%
- 2つのグループ間の不等率:1.2
- 総合力率:0.85
①最大需要電力:空調 80kW × 0.8 = 64kW、生産設備 120kW × 0.6 = 72kW、合計136kW
②合成最大需要電力:136kW ÷ 1.2 ≒ 113.3kW
③kVAへの換算:113.3kW ÷ 0.85 ≒ 133.3kVA
④標準容量の選定:余裕を見込まない場合は、133.3kVA以上で最も近い標準容量の150kVA。将来の増設に備えて20%の余裕を見込むと 133.3kVA × 1.2 ≒ 160kVA となり、標準容量では200kVAが候補になります。
このように、余裕をどれだけ見込むかで、選ぶ容量が1段階変わることがあります。なお、この計算は容量の目安を出すものです。30分ごとの平均値では把握できない、大型モーターの始動時などの短時間の負荷については、別に確認します。余裕の考え方は、後半のインタビューで電気工事士の現場の判断を紹介します。
デマンド(最大需要電力)の意味や、基本料金が決まる仕組みを詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
デマンド(最大需要電力)とは?計算方法と基本料金が決まる仕組み
更新のときに「前回と同じ容量」で決めてよいのか迷っている方は、容量の適正サイズを現場の視点で解説した以下の記事も参考になります。
トランス容量の“適正サイズ”はどう決める?|「前回と同じ」で決める前に知っておきたいこと
トランスの標準容量一覧(JIS C 4304・JIS C 4306)
計算で求めた値は、規格で定められた標準容量に当てはめて選びます。一般の受配電の目的に用いる6kV油入変圧器を定めたJIS C 4304(2013年版)の表3では、定格容量の種類が次のように定められています。
| 区分 | 定格容量(kVA) |
|---|---|
| 単相 | 10、20、30、50、75、100、150、200、300、500 |
| 三相 | 20、30、50、75、100、150、200、300、500、750、1,000、1,500、2,000 |
モールド変圧器を定めたJIS C 4306も、容量の範囲は同じく単相10〜500kVA、三相20〜2,000kVAです。三菱電機のカタログでも、JIS C 4304(油入)またはJIS C 4306(モールド)に対応した標準仕様品は、上表と同じ容量で示されています。
なお、両規格は2024年11月に改正されています。2024年版の規格概要で確認できる適用範囲の容量(単相10〜500kVA、三相20〜2,000kVA)は、2013年版と同じです。
2013年版の定格二次電圧は、単相が210-105V(単相3線式)、三相が210Vです。三相では、一次側を三角結線、二次側を星形結線とした420V(50Hz)・440V(60Hz)も規定されています。上表以外の容量や電圧は、メーカーが準標準仕様として個別に対応する場合があります。
既設トランスの場合は、そのトランスにつながる負荷の最大需要電力を、同じ時間帯の力率でkVAに換算し、銘板に記載された容量(kVA)と比べると、容量に過不足がないかの見当がつきます。
力率が時間帯によって変わる場合は、最大需要電力の時間帯以外のkVAも確認します。受電点のデマンドしか分からない場合は、複数台のトランスへの負荷の配分を別に確認します。トランスだけを交換するか、キュービクル全体を更新するかも含めて、恒電社が対応しているキュービクルの新設・更新・撤去・修繕工事の範囲と進め方は、以下のページで確認できます。
電気工事士に聞く、トランス容量の決め方
解説者
高橋 宏武
インタビュアー
岩見啓明
ーーートランス容量を決める際、まずは何から手をつければ良いのでしょうか?
基本となるのは、そのトランスから電気を供給するすべての機器を把握することです。
具体的には、動力設備(エレベーター、ポンプ、業務用エアコンなど)、照明、コンセント負荷などをすべてリストアップします。設備表や単線結線図をもとに、それぞれの「定格容量」を積み上げ、「建物全体で最大どれだけの電力を使う可能性があるか」という全体像を可視化します。
ーーー全負荷を足し合わせた合計が、そのままトランスの容量になるのでしょうか?
いえ、単純な足し算で決めると「オーバースペック」になる可能性があります。すべての設備が24時間365日、同時にフル稼働することはまずありません。そのため「需要率(どれくらい使われるか)」と「不等率(ピークが重ならないか)」を計算に入れます。
特に重要なのが「時間帯による使い方のズレ」です。例えば、テナントビルに「昼営業のカフェ」と「夜営業のバー」が入っているとします。この場合、昼と夜で電力のピークが分散するため、両方の合計値ほどのトランス容量は必要ないケースが多いのです。
また施設の用途によって、その計算は大きく変わります。主な業種ごとの特徴をまとめると以下のようになります。
- 工場:生産ラインの稼働パターンや、大型モーターの始動電流に左右される。
- オフィスビル:昼間の空調・照明負荷が大きく、夜間との時間帯差が激しい。
- 倉庫:荷役設備の稼働時(ピーク)と閑散時の差が非常に顕著。
お客さまの業種や実際の運用形態に合わせて「実態に即した見積もり」を行うことで、過大すぎる設備投資を防ぐことができます。
キュービクルを新設する場合は、近隣の類似施設のデータや、メーターの30分(デマンド)値(最大需要電力)などを参考に、精度の高い予測を行います。
「30分値・デマンド」とは?
電力会社から提供される電力使用実績データで、30分ごとの消費電力量(kWh)を記録したものです。30分間の電力量を2倍すると、その30分間の平均電力(kW)になり、その月の最大値が最大需要電力です。このデータを1年(365日)分収集すると、1日あたり48コマ × 365日 = 17,520コマとなり、電力の使用傾向を非常に高い精度で可視化できます。
ーーーギリギリを攻めすぎても怖い気がします。余裕はどれくらい見るべきですか?
「将来の増設」と「契約方式」を考慮し、適度な余裕を持たせます。一般的には、将来の設備計画を考慮して20〜50%程度の余裕を見込むのが標準的です。トランス容量が小さい場合ほど、余裕の幅を大きく見ておくことが多いです。
※20〜50%は取材した電気工事士の経験上の目安で、規格で定められた値ではありません。必要な余裕は、将来の設備計画などに応じて検討します。
「余裕を持ちすぎると基本料金が高くなるのでは?」と心配されるオーナー様も多いですが、現在はスマートメーターによる「実量制契約(デマンド契約)」が主流です。
これは、トランスの大きさではなく、「実際にその月(および過去1年間)で一番電気を使った30分間の値」で基本料金が決まる仕組みです。つまり、トランス容量に多少の余裕を持たせておいても、実際の使用量が少なければ基本料金は抑えられるのです。
※東京電力エナジーパートナーの場合、契約電力500kW未満の高圧契約(実量制)では、当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうち、最も大きい値が契約電力になります。契約電力500kW以上は協議で決まり、使用する負荷設備や受電設備の内容などが基準になります。
ここでの「実際の使用量が少なければ」は、消費電力量(kWh)の少なさではなく、対象期間の最大需要電力が低いことを指します。契約電力の決め方は、契約先・契約条件で確認してください。
逆に、容量ギリギリで設計して後からトランスを入れ替える工事費の方が高くつくため、初期投資とランニングコストのバランスを丁寧に説明して決定します。
よく使われるトランス容量の目安
ーーー最後に、施設・業態ごとの一般的なトランス容量の目安を教えていただけますか?
分かりました。施設・業態ごとのトランス容量の目安は以下の通りです。
- 小規模事務所、店舗:50kVA
- 中小規模の事務所・クリニック:75kVA
- 小規模工場、ビル:100kVA
- 中規模工場、商業施設:150kVA
- 生産設備を多く持つ工場:200kVA以上
これらはあくまで一般的な目安であり、実際の容量は必ず個別検討が必要です。
※上記は取材した電気工事士の経験にもとづく目安で、規格や法令で定められた値ではありません。照明・コンセント用の単相トランスと動力用の三相トランスを別々に設ける構成では、それぞれについて前述の計算で容量を検討します。
また導入の際にかかる費用は、製品代と工事費の合計となります。付帯する工事の内容や、設置する場所(屋内・屋外・屋上など)の条件によって異なりますので、一度現地調査にお伺いしたうえで、お見積もりを提出しております。
容量を見直してトランスを更新する場合の、工事の流れと設備オーナー側で準備することは、トランス更新・交換工事の流れと手順で説明しています。
「更新するとき、今と同じ容量でよいのか分からない」「増設の予定に対して、今のトランスで余裕が足りるのか判断できない」といった段階でも、ご相談いただけます。既設トランスの容量、負荷設備の一覧、デマンドの実績が手元にあると、現地調査での確認がスムーズです。
トランス交換・キュービクル新設の施工事例
トランスの交換や、設備の増設にあわせた受電設備の新設が実際にどう進んだのかは、以下の施工事例で確認できます。公園の球場でナイター照明などに使われていた、1979年製・容量150kVAのトランスを老朽化のため交換した事例と、工場の設備増設に伴い低圧受電から高圧受電へ切り替え、キュービクルを新設した事例です。
- トランス交換工事|埼玉県 伊奈町制施行記念公園グラウンド:公園の球場で照明用の古い変圧器を、重量物の運搬業者と協力して交換した事例を紹介しています
- 高圧受変電設備(キュービクル)新設工事|埼玉県 熊谷市・工場:設備を増やす工場で低圧から高圧受電に切り替え、キュービクルを新設した事例を紹介しています
まとめ
トランス容量は、単なる数値の大小ではなく、「いまの使用状況」と「これからの運用計画」の両方を見据えて判断すべき重要な設備条件です。必要な負荷を正しく把握し、需要率や不等率、力率といった要素を踏まえて検討することで、過不足のない容量選定が可能になります。さらに、デマンドデータを活用すれば、より実態に即した根拠ある判断が行えます。
容量に余裕を持たせることは、将来の増設や突発的なピークへの備えとして有効ですが、過大設計は初期費用の増加につながります。一方で、過小設計はトランスの劣化や更新工事といった大きなリスクを招きます。だからこそ、設備の使われ方を丁寧に分析し、初期投資と長期的な運用コストのバランスを見極めることが重要です。
トランスは高圧受変電設備の“心臓部”ともいえる存在です。適切な容量選定は、安全性の確保だけでなく、電気料金の最適化や設備寿命の延伸にも直結します。更新や新設を検討されている場合は、「これまでと同じ」で判断するのではなく、現在の使用実態と将来計画を踏まえた見直しを行うことが、安定した設備運用への第一歩となります。
トランスの新設・更新・増設のときに、設備オーナーが確認しておきたい注意点とリスクは、シリーズ第2回で解説しています。
【トランスとは?#2】トランス新設・更新・増設時に設備オーナーが確認すべき注意点とリスク
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この記事を書いた人
蕨川 真央





