【区分開閉器 #3】UAS(UGS)とは?地中配電における役割と考え方|責任分界点・区分・PASとの違い
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前回の記事では、電柱に設置される区分開閉器である「PAS」について解説しました。
これに対し、電柱が存在しない都市部や再開発エリアなどの地中配電方式において、同様の役割を担うのが「UAS(UGS)」です。
地中配電は景観性・防災性に優れる一方で、故障時や事故発生時の復旧難易度が高いという特性があります。そのため、区分開閉器による「切り離し(区分)」の重要性は、架空配電以上に高いと言えます。
本記事では、UAS(UGS)の基本的な役割と特徴、PASとの違い、そして実務上の注意点について解説します。
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目次
要約
UASの役割
UAS(UGS)は地中配電方式における区分開閉器で、事故発生時に自社設備を電力系統から切り離し、波及事故を防ぐ重要設備です。責任分界点に設置され、PASと同様に設備保護と停電範囲の最小化を担う“地中配電の防波堤”として機能します。
地中配電のリスク
地中配電は景観性や防災性に優れる一方、事故箇所の特定が困難で復旧に時間とコストがかかる特性があります。浸水や湿気の影響も受けやすく、区分開閉器がない場合は停電の長期化や広域化につながるため、切り離し機能の重要性が高くなります。
PASとの違い
PASが電柱上に設置され比較的対応しやすいのに対し、UAS(UGS)は地下設備に設置されるため施工や点検の難易度が高く、専門業者や専用資格が必要になる場合があります。そのため工期や調整負担が増えやすい点が実務上の大きな違いです。
UAS(UGS)とは|地中配電における区分開閉器
地中配電方式における区分開閉器は、一般的に以下の2種類に分類されます。
- UAS(Underground Air Switch):
- 空気絶縁方式
- 構造が比較的シンプル
- 環境負荷が低く、近年主流となりつつある。
- UGS(Underground Gas Switch):
- ガス絶縁方式(SF₆など)
- 高い絶縁性能
- コンパクト設計が可能
基本的な役割|責任分界点での「切り離し機能」
UAS(UGS)はPASと同様に、責任分界点の需要家側に設置され、事故発生時に自社設備を系統から電気的に切り離す(区分する)役割を担います。つまり、地中配電における「事故遮断・波及防止の中核設備」と位置付けられます。
→詳しくはこちらの記事で解説しています。
なぜ地中配電では「区分」がより重要なのか
地中配電は、架空配電と比較して事故時の対応難易度が高いという特徴があります。
- 事故箇所の特定が困難
ケーブルが地中に埋設されているため、外観から異常を確認することができず、故障点の特定に時間を要します。 - 復旧に時間とコストがかかる
掘削工事、交通規制、舗装復旧が必要となるため、復旧までに数日以上かかるケースも珍しくありません。 - 浸水・湿気リスク
地下設備(ハンドホール・マンホール等)は、大雨による浸水や湿気の滞留、結露の発生といった環境リスクを常に抱えています。
区分開閉器がない状態で地中事故が発生すると、停電範囲の広域化、復旧までの長期停電、社会的・経済的損失の拡大といった重大リスクにつながります。
PASとの違い|設置環境と実務上のポイント
| 比較項目 | PAS(架空配電) | UAS/UGS(地中配電) |
|---|---|---|
| 設置場所 | 電柱上(高所) | 地上キャビネット 地下設備 電気室 |
| 主なリスク | 落雷、小動物・鳥害、飛来物 | 浸水、湿気、閉鎖空間 |
| 状態確認 | 地上からの目視可能 | 開放点検(開閉・内部確認)が必要 |
| 作業性 | 高所作業車が必要だが比較的容易 | 浸水対策・排水確認など条件が厳しい |
電気工事士に聞く、地中配電のリスク管理
解説者
インタビュアー
ーーーUAS(UGS)は、PASと比べて役割に違いはありますか?
基本的な考え方は同じです。どちらも事故が起きたときに、その区間を切り離すための設備です。構造や設置場所は異なりますが、「区分によって事故の影響を抑える」という点では同じ役割と考えて問題ありません。
ーーーUAS(UGS)の有無で、復旧スピードに差は出るのでしょうか?
復旧スピード自体は、そこまで大きくは変わらない印象です。どちらの場合でも、最終的には電力会社との調整が関わるため、その影響を受けることが多いですね。
一方で、工事の難易度はかなり違います。現場の感覚だと、PASのほうが圧倒的に早いです。その大きな違いは「自社単独で完結できるか否か」にあります。
PASの場合、高所作業車を所有している電気工事会社会社であれば、比較的スムーズに進められ、数時間で工事から検査まで完了してしまうと思います。一方、UAS(UGS)の場合は、メーカー資格や施工認定(民間)が必要となるほか、専用工具を用いた施工が求められるなど、一定の専門性が必要な設備です。
また、UAS(UGS)は都市部での導入が多く、道路使用条件や周辺環境への配慮など、施工にあたってのハードルも高くなります。案件によっては専門業者と連携しながら進めるケースもあり、PAS工事と比べると、事前準備や工事日程の調整に時間を要する傾向があります。
なお、恒電社では埼玉県を拠点としながら、東京都内の案件にも多数対応しており、こうした条件下においても適切な施工体制を構築したうえで対応しています。
施工事例
まとめ
全3回にわたり、キュービクルの入り口を守る「区分開閉器」について解説してきました。
UAS(UGS)は、PASと同様に、事故の切り離し、波及事故の防止、設備責任範囲の明確化を担う、キュービクル内の重要な保護装置です。
本シリーズで解説してきた通り、区分開閉器は普段意識されにくい設備ですが、事故発生時には被害を最小限に抑え、事業継続と社会的信用を守る重要な役割を担っています。
この機会に、受電図面や点検記録を確認し、自社設備の区分方法、設置機器の種類、更新時期などを把握しておくことをおすすめします。設備の状況確認や更新のご相談については、現地条件に応じたご提案が可能です。
区分開閉器の点検・更新をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
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