施工事例

トランス交換工事(PCB含有)|東京都

投稿日:2025年10月16日
更新日:2025年10月16日

ビル地下 狭小スペース内トランス交換工事

ビル地下トランス交換工事

現在のキュービクル(金属製の箱の中に機器を収めた形)は、感電防止・機器の保護そして点検時の安全確保のために適切な離隔距離や保守点検スペースを確保することが標準となっています。しかし、今から20年以上前、都市部のビルでは、電気室やキュービクルを地下に設置されているところが見受けられます。
今回ご依頼があった現場は、地下の狭小スペースにトランスが2台(電灯・動力)設置されており、配電盤がボルト締めされていました。まずこの状態を見ただけで工事を請け負えないとあちこちで断られて弊社に依頼がありました。

詳細な現地調査により見えてきた課題

課題1:現行と同じトランスの容量手配

今回低濃度PCB含有が確認されているということで、トランスのPCB検査 交換のご依頼をいただきました。PCBが有害物質として使用禁止になった後、代替品はPCBほど高性能ではないため同等の安全な電気的性能(絶縁耐力)を確保するために絶縁距離を広くとる必要がありトランス全体の筐体が大きくなる傾向があります。
狭小スペースに再度トランスを入れるとなると同じ容量のものが用意できるか?
現行トップランナー変圧器(2014年基準適合品)の出荷が9月でなくなるという情報が出ており時間的にギリギリでした。

課題2:トランスの搬出・搬入

450kgほどあるトランスの搬出・搬入についてエレベータが使えるのか?エレベータの積載荷重・開口寸法、地下室までの経路(通路の幅・曲がり角・段差)など
搬出するトランスの高さや重量・搬入するトランスの高さや重量、トランスを回転させたり作業をする場所の確保ができるのか

課題3:配電盤の分解・撤去・再組立て

ボルト留めされている配電盤を見ただけで、「工事は無理」という工事業者もあったほど、昔の設備には現在の設備にはない特殊な構造や取り扱いが必要なケースがあります。配電盤にはたくさんの配線が接続されているため再組立ての時に間違えないように外すときに1つ1つマーキングしていきます。慎重な作業が求められます。

緻密な計画の徹底・正確な工事

事前調査は、2025年の1月、工事は10月に行いました。事前調査の段階ですべての課題解決の道筋を付けました。
課題1に関しては、現行のものと変わらない寸法のものを手配でき、重量に関してもエレベーターの最大積載量が450kg(10%増で495kgまで積載可能)であることが確認され、動力トランス(450kg)も積載可能となり、エレベーターでの搬出・搬入に問題がないと判断されました。

課題2に関しては、重量鳶の方たちの協力のもと搬出搬入可能であるということで経路などを緻密に計画しました。

課題3に関しては、安全管理を最優先し綿密なタイムスケジュールを作成し実行しました。
非停電時 主技トランス耐圧試験
トランス搬出搬入準備(養生・動線確保)饋電盤のボルト外し・配線の記号付け・新トランスをエレベータ前まで運搬
本工事(停電時)約5時間ちょっとの停電時間でした。
低圧版取外し、旧トランス離線 搬出・新トランスの搬入
トランスの電源側、負荷側の結線
饋電盤の復旧・再組立: 撤去した饋電盤を迅速かつ正確に再組立し、配線を復旧、絶縁抵抗測定、新トランスと復旧した回路の安全性の確認 最終チェック 送電しトランスが正常に稼働することを確認

配電盤

配電盤取外し後

重量鳶の方たちが慎重に移動

重量鳶(重量物運搬・据え付けの専門職)にトランスの移動は依頼。細かく足場を作り、トランスを吊り上げる門型リフターなどの設備を設置しながら少しずつ確実に搬出・搬入を行いました。



定位置にトランスの設置ができ、配線も終了

今後は・・・

今回の案件は2024年12月末にご依頼があり、その際関東電気保安協会による調査で低濃度PCBの含有が確認されていることが伝えられました。PCB含有のトランスの撤去・処分ならびに新トランスの設置依頼がありました。最初の下見から9か月で工事となり、幸いトランスの大きさも旧式のものと変わらないものが手配できましたが、今後はこのような工事はトランスの大きさの問題もあり、難しくなると予想されます。

高圧・低圧切替工事ならびに高圧進相コンデンサ・トランスの処分は、お気軽にご相談ください。

高圧電気設備工事のことなら、
お気軽にご相談ください。

自家消費型太陽光発電はこちら