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停電時間を最短化するための「事前準備」と「現場対応」|会社によって停電時間はなぜ違うのか?

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#キュービクル
投稿日:2026年4月30日
更新日:2026年4月30日

キュービクルをはじめとする高圧電気設備の更新工事では、多くの場合、停電を実施したうえで作業を行います。

そのような工事においては、停電時間の長さが設備オーナーやテナントへの事業活動に直結するため、工事計画の精度が重要になります。

実際の停電時間は、工事内容そのものだけでなく、事前調査・工程設計・現場対応といった工事会社の段取りの質によって大きく左右されます。本記事では、停電時間を最短化するために必要な考え方と具体的な取り組みについて、現場の視点から解説します。

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そもそも停電はなぜ必要?設備オーナーが知っておくべき基本

当たり前ですが「停電工事」とは、電気設備の点検・更新・修繕のために対象エリアの電力供給を意図的に止めて行う工事です。

キュービクル(高圧受変電設備)の更新や高圧ケーブルの交換、分電盤の改修など、活線状態(通電したまま)では安全に作業できない工事はすべて停電が前提になります。電気事業法および労働安全衛生規則では、高圧電気設備の工事・点検において「停電措置・検電・接地(短絡接地)」などの安全措置が義務づけられており、手順を守らない施工は法令違反です。

高圧電気設備のオーナーとして知っておくべきなのは、停電工事は「避けられないもの」でありながら、その時間をどこまで短縮できるかは工事会社の力量に大きく依存するという点です。

停電時間はどのくらいかかる?一般的な目安と影響要因

停電時間の目安は工事の種類によって異なります。下表に代表的な工事の目安をまとめました。

工事の種類停電時間の目安
キュービクル本体の更新工事5〜10時間
(難易度によってはさらにかかる場合も)
高圧ケーブルの交換4〜8時間
PAS・UGSの交換2〜4時間

ただし、これはあくまで標準的な目安であり、実際には以下の要因によって大きく変動します。

  • 設備の状態:老朽化が進んでいる設備ほど、予期しない追加作業が発生しやすくなります
  • 現地の施工環境:キュービクル室の広さ、搬入経路の難易度、養生範囲
  • 工事会社の人員構成と習熟度:経験豊富な技術者が揃っているかどうか
  • 事前準備の質:当日に発覚した問題への対処に追われないかどうか

停電時間を左右する「事前準備」の全容

実際には、停電時間の長さを決めるのは、当日の施工よりも「工事前の準備」であることがほとんどです。これには電気工事会社のみならず、設備オーナー様や主任技術者様のご協力もかかせません。

現地調査(事前調査)の徹底

弊社では、お見積もりの作成前に現地調査を行い、以下を確認します。

  • 既存設備の図面と現物の照合(図面通りに設置されていない設備も珍しくありません)
  • 機器の型番・仕様・劣化状況の確認
  • 停電範囲の特定と影響設備の洗い出し
  • 搬入経路・駐車スペース・作業スペースの確認
  • 関係電力会社(一般送配電事業者)との連系確認

この段階で「想定外」を限りなくゼロに近づけることが、当日の施工時間を短くする最大の要因になります。逆に言えば、現地調査を省略している工事会社に依頼すると、当日に問題が次々と発覚するリスクがあります。

材料・機器の事前手配と確認

工事で使用する機器や部材は、工事日の前日までに確認し、車輌へ搬入を済ませておくのが鉄則です。当日に「部品が足りない」「サイズが合わない」という事態が起きると、そこで数時間のロスが生まれます。

仮設電源を使用する工事(冷蔵設備の維持や医療機器の継続稼働が必要な場合など)では、発電機の手配と接続手順の確認も事前に完了させておく必要があります。

設備オーナー側でやっておくべき情報共有

設備オーナー側の準備も、停電時間の長短に影響します。稀ではありますが、停電範囲内のテナントや入居者への通知が遅れ、当日になって「知らなかった」というトラブルが起きることがあります。工事前に以下の情報を工事会社に共有しておくと、施工計画の精度が上がります。

  • 停電に影響を受ける設備・業務の一覧
  • UPS(無停電電源装置)の有無と設置場所
  • テナントへの周知状況と業務停止のスケジュール

情報を積極的に共有いただける設備オーナーほど、施工計画の精度が上がり、結果的に停電時間の短縮につながります。

当日の施工で時間を縮めるための段取りと工夫

事前準備が整った上で、当日の施工でも時間短縮のための工夫があります。

工程の「並行作業」設計

停電工事の時間を短くするために、経験豊富な工事会社は工程を「直列」ではなく「並行」で設計します。たとえば、一班が機器の撤去作業を進める間に、別の班が新設機器の設置準備を行うといった分担です。

もちろん工事の特性上、順番に進める必要があるものもありますが、作業員の配置と役割分担を事前に詳細に決めておくことで、現場での指示待ちや手戻りをなくします。

停電前の「仕込み作業」

停電が始まる前にできる作業は、前もって完了させておきます。配管や配線の一部、養生の準備、機器の仮置き場所の確保などは、停電前に進められます。

停電時間を「電気を止めていなければ実施できない工程のみに限定する」という発想が重要です。現場では、この仕込みの質で数時間の差が出ることも珍しくありません。停電時間を短くするために、あえて工事日を増やす場合もあります。

復電前の確認作業の効率化

工事が完了した後、復電(電力の再投入)の前には絶縁抵抗測定や動作確認を行う義務があります。これらの検査を手順化・チェックリスト化して、確認漏れと確認の重複を防ぐことで、復電までのタイムロスを最小化できます。

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停電を長引かせる「よくあるトラブル」とその対策

解説者

高橋 宏武
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士

高橋 宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。プロフィールはこちら

インタビュアー

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

なぜ停電時間を短くできるのか? 

ーーー最近、お客様や電気主任技術者様から、「他社では停電が2日必要と言われたけど、恒電社さんは1日でできるの?」というような話を聞くことが増えています。停電時間の長さは工事会社によってどのくらい差が出るものなのでしょうか?

工事の規模によって変わるので一概には言えませんが、体感としては、半日から1日くらいの差が出ることはあると思います。

もちろん、何面もある大きなキュービクルを更新するような工事であれば時間はかかりますし、工程が複雑になるぶん予想外のトラブルも起きる可能性が高まります。同じ工事内容でも、段取りや現場での動き方によって、時間はかなり変わります。 

ーーー恒電社が停電時間を短くできる理由を言語化すると、何になりますか? 

一番大きいのは、やっぱり現場経験の数です。 多くの現場を経験してきたからこそ、次の段取りが分かります。

「これが必要になるだろう」「これがあると便利だろう」「ここで時間がかかりそうだな」というのが作業前からある程度予測できます。この予測をもとに、次に必要な道具や材料をあらかじめ準備できていれば、作業は止まりません。

経験がある人は、次のステップを予測できます。恒電社の場合は、現場のメンバー全員がそういう予測行動をできるので、次のステップに進むまでのロスが少ないのだと考えています。

経験を積んできたから「やるべきこと」が分かるし、逆に「やらなくて良いこと」も分かる。この差は大きいです。

停電を長引かせる「よくあるトラブル」

ーーー停電が予定より長引いてしまうケースには、どんなものがありますか? 

よくあるのは、配管ルートが想定と異なる、ケーブルが経年劣化や固着で抜去できない、といったケースです。図面や事前調査では分からない部分が、実際に工事を始めてから出てくることがあります。

あきらかに突貫工事だったであろう施工方法の現場にあたったこともありますね。

ーーーそれは工事会社側の準備不足というより、現場の状況によって起こるものですね。 

そういうケースも多いです。もちろん、端子の選定を間違えたとか、必要な材料が足りないといった工事会社側のミスで時間がかかる場合もあります。

だからこそ、弊社では事前準備を徹底し、スムーズに工事を進めるための準備をしています。 

停電を長引かせないための準備 

ーーー工事の前日に、電気工事士のみなさんが準備しているのを見かけます。具体的には、どんなことを確認しているんですか? 

まずは使う道具や材料を工事車両に積み込みます。単純ですが、この過程が非常に重要です。なぜなら、この時に工事に参加するメンバーで当日の流れを確認しながら準備するからです。

現場に到着、準備、停電、作業、復電、片付けまで、1日の流れを順を追ってシミュレーションしながら、「この場面でコレが必要になるか」「この材料は積んであるか」「こんな場合に備えて、この工具を持っていくか」という確認をします。

ーーーただ荷物を積んでいるだけではなく、当日の工事を頭の中でなぞっているんですね。 

そうです。現場で「アレがない」となってから取りに戻ると、それだけでかなり時間を使います。作業の流れをイメージしながら準備することで、本当に必要なものの抜け漏れがないようにしています。

特に停電中は、1分1秒が大事なので、前日の準備でどれだけ抜け漏れを減らせるかが重要です。

停電時間短縮のために、設備オーナー側でできること 

ーーー設備オーナー様や建物の管理者様が、工事前に「これをやっておいてくれると助かる」という準備はありますか? 

まずは、作業スペースの確保ですかね。

キュービクルの前や、工事場所の周辺に物が置いてあると、作業を始める前にそれをどかさなければいけません。場合によっては、置いてあるものが原因で扉が開かないこともあります。

また、高圧ではありませんが、例えば照明の更新工事の際は脚立や昇降台を室内に設置することもあります。可能な範囲で構いませんので、作業場所の整理や動線の確保を事前にやっていただけると、その分作業時間も短縮できます。

ーーー他にもありますか?

駐車スペースの確保も大事です。作業場所の近くに車を停められると、実は本当に助かります。

実際の工事では、最初に大きな道具や材料は工事場所に下ろして、駐車場に車を移動させます。ところが、作業を進める中で状況に応じて、細かい部材や追加の工具が必要になることがあります。

たとえば端子のような小さな部材でも、車が遠い場所にあると、取りに行くだけで時間がかかります。片道5分だと往復で10分。停電中の工事では、その小さなロスも積み重なると大きいです。

ーーー「最初に全部下ろせばいいのでは?」とも思いましたが、実際には作業しながら必要になる細かいものがあるんですね。 

そうですね。車の中の細かな工具や材料を全て取り出して、工事現場に置くことは現実的ではありません。また、やはり現場を進めてみないと必要かどうか分からない部材もあります。

重さのある機器だと、運ぶためのカートも必要になったり、通常よりも移動に時間がかかったりします。作業場所と車両の近さも、地味ですが時間を短縮するための重要なポイントです。

まとめ|停電工事を短く済ますのも、工事力の一つ

この記事のポイント

  • 停電時間の長短は、工事内容よりも「事前準備の質」で決まります
  • 優れた工事会社は、現地調査・工程設計・並行作業の設計によって当日の施工時間を最小化しています
  • 設備オーナーが情報を積極的に共有することも、停電時間の短縮につながります

「停電時間を短くしてほしい」「うちの設備で何時間かかるか正直に教えてほしい」——そういったご相談は、恒電社が得意とするところです。

現地調査から施工計画の立案まで、経験豊富な技術者が対応します。まずはお気軽にお問い合わせください。

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記事を書いた人

蕨川 真央
恒電社

蕨川 真央

教育・医療業界を経験したのち、結婚出産を経て恒電社に参画。現在は、マーケティングや採用領域のアシスタントとして従事する。プロフィールはこちら

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