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【キュービクルの価格 #2】見積もりを取る際のチェックポイント

投稿日:2025年11月12日
更新日:2025年11月26日

高圧受電の施設や工場では欠かせない「キュービクル(キュービクル式高圧受変電設備)」。

多くの場合、新設や更新を行う際には、電気工事会社へ現地調査を依頼し、見積もりを発行してもらいます。

しかし、受電電圧・トランス容量・短絡条件、設置/搬入、停電時間、仮設受電、計測・監視の有無など、事前に確認すべき条件は様々。また、キュービクル本体以外にも工事の条件によって総額は変動するため、注意が必要です。

本記事は、キュービクルの価格構造を体系的に理解するための連載シリーズ「キュービクルの価格」の第2回です。前回の基礎知識を踏まえ、電気工事会社へ工事を依頼する際にチェックすべき項目をまとめました。ぜひ、検討材料の一つとしてご活用ください。

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要約

見積書の“明細化”が重要:
キュービクル工事の見積書では「一式」表記されることも少なくありません。内容が不透明なままだと後から追加費用が発生するリスクがあります。理想は、本体価格・基礎工事・搬入揚重・据付・電気接続・仮設養生といった項目が細かく分けて記載されていること。さらに、夜間作業や道路占用などの条件・除外事項を明示し、工事範囲と責任を明確化することがトラブル防止の基本です。

見積精度を高めるための準備:
設備オーナー様があらかじめ図面(平面・立面・断面)や搬入経路の写真・動画、既存基礎の情報、停電可能時間、上空配線や庇などの周辺状況を共有すると、見積精度・スピードが大幅に向上します。恒電社では現地確認を必ず行い、実際の環境を踏まえて機材・工期を提案しています。こうした情報共有は「見積もりのブレ」を減らし、正確で納得感のある金額提示につながります。

複数見積の比較は“価格根拠”で判断:
複数社の見積を比較する際は、単に金額の安さではなく「なぜその金額になるのか」が説明できるかを重視するべきです。詳細な内訳や除外事項が明記されている見積は、後の追加費用を防ぎやすく信頼性が高い指標になります。キュービクルの導入・更新は長期運用に関わるため、透明性と説明責任を重視する業者を選ぶことが、安心して設備を維持する第一歩です。

電気工事士に聞く、キュービクルの見積もりを取る際のチェックポイント

解説者

高橋 宏武
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士

高橋 宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。プロフィールはこちら

インタビュアー

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

ーーー キュービクル新設/更新の際に、お客様がチェックすべき見積書のポイントはありますか?

いちばん大事なのは「明細がどこまで細かく書かれているか」を確認することですね。
キュービクルの見積りは「一式」と表記されることも少なくありませんが、それだと中身が見えません。

電気工事会社が「クレーンの設置場所」「停電時間の制限」「夜間工事の有無」などの条件を事前にはっきり認識できていない場合、後から追加費用が発生し、お客様のコストが増加する可能性もあります。

できれば、下記の項目が分けて書かれているのが理想的です。

  • 本体価格
  • 基礎工事費
  • 搬入・揚重費(クレーンなど)
  • 据付費
  • 電気接続(引込・端末処理)
  • 仮設・養生費

場所や工事の時間帯等の条件についても、見積書作成の前にはっきりさせておくと良いでしょう。

ーーー 見積もりの精度を高めるために、お客様側で準備していただけると良い資料はありますか?

以下の情報を事前にご共有いただけますと、見積もりの精度が上がり「ブレ」もかなり減ります。

恒電社では必ず現地確認を行い、お客様の設置環境を確認させていただいたうえで、使用する機材や工期などを判断し、ご提案を行っております。

  • 設置場所の図面(平面・立面・断面)
  • 搬入経路の写真や動画
  • 既存基礎の仕様(厚さ・配筋・耐荷重)
  • 作業可能な時間帯や停電できる時間
  • 周辺環境(上空配線・庇・車両の進入経路)

たとえば、屋外か屋内かだけでも設置費用としては結構な差が出ます

ーーー 最後に、お客様が複数社の見積もりを比較するうえでの判断軸を教えてください。

そうですね。人数も変わりますし、重量物を扱う場合は「重量鳶(じゅうりょうとび)」という職人さんが関わるケースもあります。

繰り返しになりますが、ただ価格が安いというだけで選ぶのではなく、工事の詳細が書かれているかを確認した上で比較していただければと思います。つまり「なぜこの金額になっているのか」が説明できるか否かです。

工事項目が細かく書かれていて、条件や除外事項(夜間作業・道路占用など)が明記されている場合、後から「追加で〇〇万円かかります」というトラブルが起きにくくなります。

施工事例

まとめ:

キュービクルの価格は、本体そのものの費用だけでなく、設置条件や工事内容によって大きく変動します。
見積もりを依頼する際は、明細の内訳をしっかり確認し、工事条件や除外事項を明確にすることが、想定外のコスト増加を防ぐポイントです。

また、図面や搬入経路の情報、停電可能時間などを事前に共有することで、見積もりの精度を高めることができます。複数社の見積もりを比較する際は、金額の安さだけでなく、なぜその金額になるのか、根拠が明確に記載されているかをチェックしましょう。

キュービクルの導入・更新は一度きりの工事ではなく、長期的な安定運用にも直結します。信頼できる電気工事業者と正確な見積もりをもとに、安心して計画を進めていくことが重要です。

本記事は、連載シリーズ「キュービクルの価格」の第2回として、見積もりの確認ポイントをまとめました。次回の第3回では、導入後に必要となる維持コストや耐用年数、劣化要因について詳しく解説します。

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記事を書いた人

蕨川 真央
恒電社

蕨川 真央

教育・医療業界を経験したのち、結婚出産を経て恒電社に参画。現在は、マーケティングや採用領域のアシスタントとして従事する。プロフィールはこちら

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