記事

キュービクルとは?導入のメリットとデメリット

高圧受電を行う事業者にとって、キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)は電力供給の安定性とコスト管理に直結する重要なインフラ設備です。

電力会社から受電する高圧電力を自社内で低圧に変圧し、安全な配電を実現するキュービクル。設置形態・保守体制・法令遵守の有無によって事業リスクやランニングコストが大きく変わります。

本記事では、キュービクルの導入によるメリットとデメリット(リスク)を整理し、設備導入や更新を検討する際の判断材料を提供します。

  • 「キュービクルとは何か?」についてはこちらの記事をご覧ください。
  • 「キュービクル導入時の注意点」についてはこちらの記事をご覧ください。
  • 「キュービクルを構成する各機器の役割」についてはこちらの記事をご覧ください。

要約

導入メリット
キュービクルは高圧受電で電気料金単価を下げ、電力コストを大幅に削減できます。電力使用量が多い事業者ほど効果が大きく、数年で初期投資を回収可能なケースも少なくありません。設備がコンパクトで屋外設置可能なため、建物内スペースを有効活用でき、保守点検も簡素化されます。

デメリットとコスト
導入後は電気主任技術者の選任費用、定期点検費用、消防・保安対応費、機器更新費など継続的なランニングコストが発生します。設置時には点検通路や作業スペースを確保する必要があり、周囲に物を置けないなど制約があります。

計画的運用の重要性
キュービクルは「設置して終わり」ではなく、保守・更新を含めた長期的な計画が必須です。導入段階で将来の維持費や運用リスクを見越し、コストと環境管理の両面から検討することが望ましいです。

電気工事士に聞く、キュービクル導入のメリット・デメリット

監修

高橋宏武
第一種電気工事士/一級電気施工管理技士

高橋宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。

インタビュアー

岩見啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見啓明

恒電社にて動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告と幅広く施策を担当。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2025年に第二種電気工事士資格を取得。

キュービクル導入のメリット

ーーーそもそも、企業がキュービクルを導入することのメリットとは何なのでしょうか?

まず大前提として、高圧で受電する施設の場合、電気事業法や電気設備技術基準で定められた安全・保安要件を満たすために、キュービクルを設置することが事実上不可欠となります。

そのうえで、キュービクルを導入する最大のメリットは、電力コストの削減と安定した電力供給が得られることです。高圧受電に切り替えることで電気料金単価が下がり、結果として電気代を大きく抑えることができます。

ーーー他にも導入すると良いことはありますか?

キュービクルは高圧設備を一つのユニットに収めたコンパクトな装置なため、開放型の設備と比べて必要な敷地面積が少なく、屋外に設置できるため、建物内のスペースを有効活用できます。

必要な遮断器やトランスが一体化しているため、保守点検もシンプルになり、設備管理の負担が軽減されます。

※保守点検についてはこちらの記事をご覧ください。

キュービクル導入のデメリット

ーーーキュービクルの導入によって生まれるデメリットもあるのでしょうか?

あります。まずは、ランニングコストです。主に以下のような費用がかかってきます。

  • 電気主任技術者の選任費用
  • 定期点検費用
  • トランスや遮断器などの機器更新費用


また、デメリットとは言えないかもしれませんが、設置スペースの確保も課題となることがあります。

キュービクル自体はコンパクトですが、点検通路や作業スペースを塞がないようにする必要があり、周囲に物を置くこともできません。

ーーーなるほど。つまり導入したら終わりではなく、維持するためのコストと環境管理が必要ということですね。

その通りです。キュービクルは導入後の保守や更新まで含めて計画しておくことが大切です。

長期的な運用コストも見越したうえで導入を検討するのが理想ですね。

施工事例

まとめ:キュービクル導入のメリット・デメリットと検討ポイント

  • メリット:コスト削減と電力の安定供給
    高圧受電により電気料金単価を抑えられ、電力使用量が多い事業者ほど導入効果が大きいです。さらに、コンパクトな設備構造で設置スペースを有効活用でき、保守点検も簡易化されます。
  • デメリット:維持管理コストと設置環境の制約
    電気主任技術者の選任費用、定期点検、機器更新などのランニングコストが発生します。また、点検通路や作業スペースを確保する必要があり、設置環境の条件にも注意が必要です。
  • 長期視点での計画が重要
    導入時の初期投資だけでなく、維持管理コストや将来的な更新まで含めたライフサイクル全体を見据えた計画が不可欠です。

キュービクル導入はコスト削減の強力な手段ですが、運用・保守・更新までを含めたトータル戦略として検討することで、最大のメリットを引き出せます。

関連記事を読む

この記事を書いた人

蕨川真央

蕨川真央

教育分野でキャリアをスタートし、妊娠・出産を経験しながら複数の業界で人事関連業務に携わる。 現在は恒電社にて、採用およびマーケティングのアシスタントとして、事務業務からコンテンツ制作まで幅広く担当している。

高圧電気設備工事のことなら、
お気軽にご相談ください。

自家消費型太陽光発電はこちら