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キュービクルとは?英語の意味・種類・サイズの目安と選び方を電気工事士が解説

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#キュービクル
投稿日:2025年11月12日
更新日:2026年10月25日
キュービクルとは?種類・選び方・設置費用の基礎を電気工事士がやさしく解説

工場やビルなど、大規模に電力を使う施設や企業に欠かせない「キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)」。

高圧受電契約を結ぶ需要家にとっては、コスト面や安全性の確保といったメリットもありながら、その役割や構成、法的義務を正しく理解している担当者は意外と少ないかもしれません。

本記事は、キュービクルに関する基本理解を深める連載シリーズ「キュービクルとは?」の第1回です。今回は、キュービクルの定義と役割、英語での呼び方、JIS規格で定められた種類、容量ごとのサイズの目安、選定するときの基準までをわかりやすく解説します。

▼連載の続き(導入のメリット・デメリット、導入時の注意点、内部の構成機器)はこちら

キュービクル導入のメリット・デメリットを解説するシリーズ記事のバナー
キュービクルとは?シリーズ第3回 導入時の注意点
キュービクルとは?連載第4回、受電・変電・配電を構成する各機器の役割を紹介するバナー

要約

定義と英語での呼び方:
キュービクルは、高圧で受電するための機器一式を金属製の外箱に収めた設備です。名称は英語の「cubicle(仕切られた小さな空間)」に由来し、JIS C 4620の英語名称は「Cubicle type high voltage power receiving units」です。

種類:
JIS C 4620(2018年版)では、主遮断装置の形式(CB形・PF・S形)、屋内用・屋外用、保守のしかた(前後面保守形・前面保守形)で種類を分けています。同版の区分では、PF・S形は受電設備容量300kVA以下、CB形は4,000kVA以下が対象です。

契約とコスト:
高圧で受電すると、低圧受電に比べて電気料金の単価が安い傾向にあります。その代わり、キュービクルの購入・更新の費用や、電気主任技術者による保安管理の費用は需要家の負担になります。

サイズと選定:
キュービクルの大きさは受電設備容量や機器の構成で変わります。取材では、サイズ・容量・価格・信頼性のバランスに加え、設置場所の広さや既存機器の配置、点検の作業スペースといった現地条件を踏まえて選ぶことが大切だと説明しています。

キュービクルとは(定義と役割)

太陽光パネルの脇に設置されたキュービクル

キュービクルとは、「キュービクル式高圧受電設備」の略称で、高圧で受電するための機器一式を金属製の外箱に収めた設備です。一般的な構成では、一般送配電事業者の配電線から高圧(6,600V)で電気を受け取り、施設で使える低圧(100V/200Vなど)に変えて、建物の中へ送ります。高圧の電動機などへ、高圧のまま電気を送る構成もあります。日本産業規格のJIS C 4620(2018年版)でも、キュービクルを「高圧の受電設備として使用する機器一式を一つの外箱に収めたもの」と定義しています。

一般的な構成の役割は大きく3つに分けられます。

  • 受電:電力会社の配電網から高圧電力を受け取る
  • 変電:受け取った電力を施設で使える電圧まで降圧する
  • 配電:変圧後の電力を施設内へ安全に分配する

受電・変電・配電のそれぞれを担う機器(VCB・LBS・変圧器など)が箱の中でどう並び、何をしているのかを知りたい方は、キュービクルの内部構成と各機器の役割を図解した記事をご覧ください。

なお、高圧の受電設備には、機器を金属製の外箱に収めずに組み立てる「開放形」もあります。ビルや工場の高圧受電では、機器一式をまとめて箱に収めたキュービクル式が広く使われています。

JIS C 4620が対象とするキュービクルの範囲

キュービクルの性能や構造の基準を定めている日本産業規格が、JIS C 4620「キュービクル式高圧受電設備」です(現行は2023年12月20日改正版)。この規格は、需要家が一般送配電事業者などから受電するために使うキュービクルのうち、次の条件にあてはまるものを対象にしています。

  • 公称電圧6.6kV、周波数50Hzまたは60Hz
  • 系統短絡電流12.5kA以下の回路に用いるもの
  • 受電設備容量4,000kVA以下のもの

ここでいう受電設備容量は、受電電圧で使う変圧器や高圧の引出し部分(高圧電動機を含む)などの合計容量(kVA)のことです。JIS C 4620(2018年版)の定義では、高圧電動機は定格出力(kW)の値をそのまま機器容量(kVA)として扱い、高圧進相コンデンサの容量は含めません。

キュービクルは英語で何という?名称の由来

「キュービクル」という名称は、英語の cubicle に由来しています。英語の cubicle は、もとはラテン語の cubiculum(寝室)から来た言葉で、現在は更衣用の小部屋やオフィスの仕切り席のように、大きな部屋の中を仕切ってつくった小さな空間を指します。日本では、複数の電気機器をひとつの箱にまとめて収めた高圧の受電設備を、この語を使って「キュービクル」と呼んでいます。

JIS C 4620の英語名称は 「Cubicle type high voltage power receiving units」(キュービクル形の高圧受電設備)です。英語で cubicle とだけ言うと、オフィスの仕切り席などの意味に受け取られることがあります。海外の取引先やメーカーと英語でやり取りする場合は、規格の英語名称のように「高圧の受電設備である」ことがわかる言い方を添えると伝わりやすくなります。

キュービクルの種類(JIS C 4620の区分)

JIS C 4620では、キュービクルの種類を次の3つの観点で分けています(2018年版の表1・用語の定義による)。

分け方種類内容
主遮断装置の形式CB形主遮断装置に遮断器(CB)を使う形式。受電設備容量4,000kVA以下
主遮断装置の形式PF・S形主遮断装置に高圧限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(LBS)を組み合わせて使う形式。受電設備容量300kVA以下
設置場所屋内用・屋外用標準の使用状態として、周囲温度の範囲が屋内用は−5〜+40℃、屋外用は−20〜+40℃と定められている
保守の形態による形状前後面保守形機器の操作や点検、交換のための扉などを前面と後面の両方に設けた形
保守の形態による形状前面保守形(薄形)扉などを前面だけに設けた形で、奥行寸法が1,000mm以下のもの

主遮断装置は、電路に過負荷電流や短絡電流などが流れたときに自動で電路を遮断する、キュービクルの受電用の遮断装置です。JIS C 4620(2018年版)の区分では、受電設備容量が300kVAを超え4,000kVA以下のキュービクルはPF・S形の対象外で、CB形になります。CB形で使う遮断器には、VCB(真空遮断器)などがあります。VCBとLBSの違いや、見分け方・選び方は、VCBとLBSの違いと選び方を解説した記事で詳しく説明しています。

用途による区分もあります。消防用設備等の非常電源として使う受電設備には、「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」(昭和50年消防庁告示第7号)があり、日本電気協会が消防法に基づく登録認定機関として認定業務を行っています。

高圧受電と低圧受電の違い

電気設備に関する技術基準を定める省令(第2条)では、交流の場合、600V以下を「低圧」、600Vを超え7,000V以下を「高圧」、7,000Vを超えるものを「特別高圧」と区分しています。

一般家庭や事務所、小規模店舗では、電柱などに設置された電力会社(一般送配電事業者)の変圧器で降圧された低圧電力(100V/200V)を受電します。一方、電力を多く使用する工場やビルでは、高圧(6,600V)で受電し、自社で設置・管理するキュービクルで降圧します。供給電圧は、一般送配電事業者の託送供給等約款で、使う電気の規模に応じて決められています。たとえば東京電力パワーグリッドの託送供給等約款(2026年10月1日実施版)では、電灯と動力をあわせて契約する場合、契約設備電力の合計が50kW以上となるときの供給電圧を原則として標準電圧6,000Vとしています(低圧での供給が適当と認められた場合の例外もあります)。約款では「標準電圧6,000V」と表記されますが、JIS C 4620が対象とするキュービクルの公称電圧は6.6kV(6,600V)です。

高圧受電の電気料金の単価は、低圧受電に比べて安い傾向にあり、使用量の多い施設ではコスト面のメリットになります。ただし、キュービクルの購入や更新にかかる費用や、保安管理にかかる費用は需要家の負担です。

また、高圧で受電するキュービクルは電気事業法上の自家用電気工作物にあたり、設置者には保安規程の届出(第42条)や電気主任技術者の選任(第43条)が求められます。電気事業法施行規則で定める対象の設備で、要件を満たす委託先と保安管理業務の委託契約を結び、保安上支障がないものとして経済産業大臣(管轄の産業保安監督部長など)の承認を受けた場合は、電気主任技術者を選任しないことができます。キュービクルの点検などの保安管理は電気主任技術者の領域で、恒電社はキュービクルの新設・更新などの工事を担当します。保安規程の届出や電気主任技術者の選任の義務を詳しく知りたい方は、キュービクルの保安規程と電気事業法上の義務を解説した記事をご覧ください。

キュービクルのサイズの目安

キュービクルの大きさは、受電設備容量(変圧器の容量など)、収める機器の数と構成、保守の形態によって変わります。参考として、日立産機システムが公開しているカタログ「日立キュービクル式高圧受電設備 標準タイプ」(2019年5月版)に載っている標準寸法の一部を示します。

最大設備容量面数幅奥行高さ
150kVA1面800mm1,250mm2,250mm
300kVA2面1,600mm1,400mm2,300mm
500kVA3面2,400mm1,900mm2,300mm
1,050kVA4面3,800mm1,900mm2,300mm

この例では、容量が大きくなるにつれて面数と幅が増えています。寸法はメーカーや仕様によって異なるため、実際の大きさは見積もりの段階で確認します。

設置場所を決めるときは、本体の寸法だけでなく、扉を開けて点検や機器交換をするための作業スペースや、搬入の経路も確保する必要があります。設置スペースの確保や工事・運用時に気をつける点は、キュービクル導入時の注意点を解説した記事で整理しています。変圧器の容量の決め方は、トランス容量の適正サイズの考え方を解説した記事が参考になります。

電気工事士に聞く、キュービクルを選定する際の基準、要素

解説者

高橋 宏武
株式会社恒電社

高橋 宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。プロフィールはこちら

インタビュアー

Iwami
株式会社恒電社

岩見啓明

恒電社には動画・記事の制作、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告などマーケティング/クリエイティブ職として入社。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2024年に第二種電気工事士資格を取得し、現在は太陽光発電・高圧電気設備の両軸で、カスタマーサクセス/インサイドセールスの役割を担う。≫プロフィールはこちら

ーーー キュービクルを選定する際の基準、要素は何ですか?

設置する場所における現地条件を踏まえて、以下の要素を考慮して最適なものを選定します。

  • サイズ:収まりやすさ、メンテナンス性の確保
  • 容量:将来的な負荷を見据えた余裕を持つ
  • 価格:コストパフォーマンス重視
  • 信頼性:メーカー・製品品質

現地条件に合わないものを選んでしまうと、メンテナンスや配線作業に支障が出たり、将来、余計なコストが発生する可能性があるためです。

ーーー 現地条件とは何を指すのでしょうか?

たとえば、設置場所の広さや、すでにある周囲の機器配置、点検・メンテナンスの作業スペースの有無ですね。

現地条件を無視すると、配線が複雑化したり、メンテナンス時に機器にアクセスできなくなるなど、運用上の問題が発生するためです。

キュービクルは中にトランスや遮断器など多くの機器が入っていますが、基本的には、左側に高圧機器、右側に行くにつれて低圧機器という順序で並んでいます。

ただし、既設設備との接続方向や配線ルートが合わない場合は、機器の並び順を変更することもあります。そのため、配線のしやすさや点検作業のしやすさを考慮し、現場条件に最も適したレイアウトと機種を選ぶことが重要です。

※機器の配置は、製品や現場の条件によって異なります。

ーーー 価格だけではなく、サイズ・容量・コストパフォーマンス・信頼性をバランスよく満たすものを選ぶことが重要なのですね。

そうです。「設置して終わり」ではなく、日々の運用や将来の保守まで見据えたレイアウトを考えることが、現地条件を踏まえた適切な選定といえます。

今あるキュービクルを更新する場合に、申請から停電当日まで設備オーナーが何をするかは、キュービクル更新工事の流れと手順で説明しています。

容量に余裕を持たせたキュービクルが設置場所に収まるか、全体を更新するか一部の機器だけを交換するかは、設置からの年数や機器の状態に加えて、設置場所と既設設備を現地で確認しないと決められません。恒電社が対応しているキュービクルの新設・更新・撤去・修繕工事の範囲と進め方は、以下のページで確認できます。

施工事例

恒電社が埼玉県熊谷市の工場で行ったキュービクル新設工事と、さいたま市で行ったキュービクル更新工事の施工事例は、次のページで確認できます。

まとめ:キュービクルの基礎知識と選定ポイント

  • キュービクルの役割を理解する:受電・変電・配電の三本柱:
    キュービクルは高圧で受電するための機器一式を金属製の外箱に収めた設備で、一般的な構成では高圧の電気を受け取り、降圧し、施設内へ安全に分配します。英語の cubicle(仕切られた小さな空間)が名称の由来です。
  • JIS C 4620による種類:
    JIS C 4620(2018年版)の区分では、主遮断装置の形式でCB形(受電設備容量4,000kVA以下)とPF・S形(300kVA以下)に分かれ、屋内用・屋外用、前後面保守形・前面保守形(薄形)の区分もあります。
  • 高圧受電のコストと義務:
    高圧受電は低圧受電に比べて電気料金の単価が安い傾向にある一方、設備の費用や、保安規程の届出・電気主任技術者の選任といった義務は需要家が負います。
  • 現地条件を踏まえた最適な選定とレイアウト:
    サイズは容量や機器構成で変わります。サイズ・容量・価格・信頼性のバランスを取りつつ、設置スペースや配線ルート、点検の作業スペースを考慮したレイアウトを選ぶことで、メンテナンス性と将来の拡張性を確保しやすくなります。

キュービクルは「導入して終わり」ではありません。コスト・安全性・保守性を長い目で見て、設置場所に合った種類とサイズを選ぶことが大切です。

本記事は、連載シリーズ「キュービクルとは?」の第1回として、キュービクルの定義・種類・サイズと、設備選定の基準や判断要素を整理しました。次回の第2回では、導入時に押さえておきたいメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

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既設キュービクルの容量が足りているか、新しいキュービクルが設置場所に収まるかといった点は、図面だけでは判断しにくいことがあります。キュービクルの新設・更新をご検討中の方は、現地の状況を確認したうえでご提案しますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

Iwami
株式会社恒電社

岩見啓明

恒電社には動画・記事の制作、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告などマーケティング/クリエイティブ職として入社。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2024年に第二種電気工事士資格を取得し、現在は太陽光発電・高圧電気設備の両軸で、カスタマーサクセス/インサイドセールスの役割を担う。≫プロフィールはこちら

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