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【 電気の「子メーター」とは?#1】機器が果たす役割と更新期限切れによるリスクとは?

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#キュービクル

オフィスビルやアパートでは、建物全体の電気料金を管理者が一括して電力会社へ支払い、各室の電気使用量に応じて按分する運用が一般的です。この按分の根拠となる電気計器は「証明用電気計器」と呼ばれ、現場では広く「子メーター」として扱われています。

子メーターは分電盤の中や機械室など、日常的に目に入りにくい場所に設置されることが多い設備です。そのため「現時点で支障がない」「動作している」「テナントからクレームもない」といった理由で、点検や更新の優先度が下がりやすい設備でもあります。

一方で現場では、子メーターに有効期限があること自体が認識されていなかったり、期限切れのまま使用が継続されていたりする例が見られます。そして問題が表面化するのは、定期点検の場ではなく、テナントから「電気代がおかしいのではないか」と指摘を受けた“後”であることが多いのが実情です。

本記事では、子メーターの基礎知識から、有効期限が切れたまま使用することで生じるリスクについて分かりやすく解説します。

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要約

役割と管理責任:
子メーターは、建物全体の電気料金を各テナントの使用量に応じて按分するための計量器で、請求の公平性を支える重要な設備です。親メーターと異なり電力会社の管理外となるため、設置・管理・更新の責任はビルオーナーや管理会社にあります。

有効期限と法的背景:
子メーターには計量法に基づく有効期限があり、期限内で正確な計測ができることが前提です。見た目や動作に問題がなくても、経年劣化で誤差が生じる可能性があり、期限はそのリスクを抑えるための目安といえます。

期限切れの実態とリスク:
現場では「有効期限があること自体を知らない」ケースが多く、期限切れのまま使用されがちです。問題が顕在化するのは故障時ではなく、テナントから電気料金への疑問やクレームが出た場面で、説明責任を果たせなくなる点が最大のリスクです。

交換対応と実務上の注意:
子メーターの交換は電気工事会社へ依頼するのが一般的で、設置場所によっては停電や電気主任技術者の立会いが必要になります。交換時は前後の数値記録や旧メーターの保管を行い、後日の説明根拠を残すことが信頼維持につながります。

子メーター」とは?電気契約上の位置づけを整理

子メーターとは?

子メーターとは、建物全体の電力使用量を計測する親メーターとは別に、テナントやフロアごとの電力使用量を把握するために設置される電力量計です。

複数テナントが入居する建物では、建物全体の電気料金を、それぞれの使用量に応じて分けて請求する必要があります。子メーターは、その計算根拠となる設備であり、電気料金の按分や請求の公平性を保つうえで欠かせません。

親メーターとの違い

親メーターは、電力会社が設置・管理し、建物全体の電気料金そのものを決定するためのメーターです。一方、子メーターはあくまでも建物内部の管理を目的とした設備であり、電力会社の管理対象ではありません。

そのため、子メーターの設置や管理、更新の判断は、ビルオーナーや管理会社の責任範囲となります。

子メーターの「有効期限」

検定・有効期限の考え方

子メーターは電気料金の算定に関わる計量器であるため、正確な計測ができることが求められます。計量法では、検定や基準適合検査に合格したもののうち、有効期間内の計量器のみ使用することが定められています。

検定に合格した子メーターには、検定ラベルまたは基準適合ラベルが貼付され、有効期限が表示されています。実際の有効期限は、変成器と一緒に使用するかどうかや、定格電圧・電流などの条件によって異なります。

なぜ期限が設定されているのか

子メーターは長年使用することで、内部部品の摩耗や経年劣化が進み、使用環境によっては計測誤差が生じる可能性があります。

見た目や動作に問題がなくても、実際の使用量と表示値にズレが出ることは十分にあり得ます。期限は、こうした誤差リスクを抑えるための目安と考えると分かりやすいでしょう。

また、計量法第172条では、有効期限を過ぎた計量器を使用した場合の罰則規定も設けられています。ただし、現実的には、期限切れが判明した時点で直ちに罰則が科されるケースばかりではありません。

一方で、テナントへ電気料金を請求している場合、子メーターが期限切れであることは別の意味で大きなリスクになります。それは、「この数値は正確です」と根拠をもって説明しづらくなることです。法令以前に、説明責任を果たしにくい状態そのものが管理上の弱点になり得ます。

電気工事士に聞く、子メーターの期限切れが「多い理由」と、実際の工事での注意点

解説者

高橋 宏武
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士

高橋 宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。プロフィールはこちら

インタビュアー

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

ーーー実際に期限切れの子メーターを使用されているお客さまは多くいらっしゃいますか?

定量的に「これくらい」とは言いにくいですが、結構いらっしゃる印象です。毎月の検針で目にする機会はあるとしても、「そもそも有効期限がある」ことを認識していないお客さまが多いのではないでしょうか。

ーーー電気主任技術者さんが教えてくれるものではないのですか?

電気主任技術者が点検・保守等を行うのは、あくまでもキュービクルの内部です。子メーターは基本的にキュービクルの外についていて、基本的にはお客さまの設備ですので、電気主任技術者も確認しないことが多いです。

ーーー有効期限切れの子メーターを放置していると、どんな問題がありますか?

テナント様から電気料金に関する疑問やクレームが上がった際、計器の有効期限が切れていると、「その数値は正確です」と根拠をもって説明できなくなります。

この「説明責任を果たせない状態」こそが、オーナー様や管理会社様の信頼を損ない、交渉において立場を不利にしてしまう最大の要因です。期限切れは、計測誤差のリスクよりも、むしろ管理上の大きな弱点になります。

ーーーでは、有効期限を過ぎた子メーターの交換は、どこに依頼すれば良いのですか?

子メーターは基本的にお客さまの設備なので、電力会社に相談しても「それはお客さま側で更新してください」との案内になるでしょう。そのため、電気工事会社に交換を頼むのが一番スムーズです。

子メーターの種類によっては、キュービクル内部に設置されているものもあります。そのような場合は、工事の際に受電を停止する必要があり、電気主任技術者の立会が必要になるパターンもあります。そのため、電気工事会社への工事依頼と別に、電気主任技術者の立会手配も必要になります。

ーーー交換工事のときに恒電社で気を付けていることはありますか?

メーター交換前後の数字の取り扱いです。子メーターに表示される数字は電力の使用量であり、お客さまが各テナントへ電気代を請求する際の根拠になる大切なものです。交換前の数字と、交換後の数字は必ず写真に撮って記録しています。

また、交換後のメーターはすぐには処分せず、だいたい半年〜1年くらいは保管するようにしています。万が一「交換した時のトラブルではないか」という状況になった場合も、写真だけではなく実物を残しておくと説明の根拠になります。

施工事例

まとめ|子メーターは「何も起きていない今」こそ確認しておきたい設備

子メーターは、テナントごとの電気料金を按分するための重要な設備です。一方で、有効期限を認識していないお客さまも多く、管理が後回しになりやすい傾向があります。

期限切れの状態が問題になるのは、子メーターが突然壊れたときというよりも、テナントから電気料金に関する疑問が出た場面です。そのとき、有効期限内であれば根拠をもって説明しやすい一方、期限切れの場合は説明が難しくなり、対応に追われる可能性が高まります。

こうした事態を避けるためにも、まずは建物内の子メーターが「どこにあり、いつまで有効なのか」を把握し、必要に応じて計画的に交換できる状態をつくっておくことが現実的な対策です。

次回の記事では、子メーター交換の工事内容や停電の有無、費用感の目安など、「交換に踏み切れない理由」になりやすいポイントを整理しながら、交換時にあわせて確認しておきたい設備についても解説します。

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記事を書いた人

蕨川 真央
恒電社

蕨川 真央

教育・医療業界を経験したのち、結婚出産を経て恒電社に参画。現在は、マーケティングや採用領域のアシスタントとして従事する。プロフィールはこちら

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