【電気の「子メーター」とは?#2】交換工事とビルオーナー・設備担当者が今すぐ確認すべきポイント
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前回の記事では、子メーターの役割や、有効期限が切れたまま使用するリスクについて解説しました。
「期限があるのは分かった。ただ、交換工事が大変そうで動けていない」「停電やテナント対応を考えるとつい後回しにしてしまう」――そう感じている管理者の方も少なくないのではないでしょうか。
ただし、子メーター交換は「電気工事」と聞いて想像しがちな大掛かりな工事になるとは限りません。内容を正しく把握すれば、必要以上に身構える工事ではありません。
本記事では、子メーター交換の工事内容や停電の影響、費用の目安に加え、交換時にあわせて確認しておきたい設備、そして管理上のチェックポイントも整理します。
目次
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要約
工事内容の実態:
子メーターの交換は大掛かりな配線変更を伴う工事ではなく、既存配線を活かしたメーター本体の入替が中心です。計測方式が変わらなければ分電盤構成を大きく変える必要はなく、設備更新の中でも比較的負担が小さい工事といえます。
停電と影響範囲:
交換時には安全確保のため一時的な停電が必要ですが、多くの場合は建物全体ではなく該当テナントや系統のみで済みます。作業時間は1台30分〜1時間程度が目安で、事前調整や営業時間外対応により影響を最小限に抑えられます。
費用感と同時確認:
費用はメーター代・工事費・必要に応じた主任技術者立会費で構成され、設置場所や容量で差が出ます。交換時は分電盤を開放するため、配線・端子台や受変電設備の状態もあわせて確認でき、設備管理の質を高める好機になります。
計画的更新の効果:
期限切れを指摘されてから動くと、テナント調整や工事手配が重なり負担が増します。計画的に交換すれば説明対応に余裕が生まれ、周辺設備の把握も進みます。「構える工事」ではなく、管理を整える取り組みとして捉えることが重要です。
子メーター交換工事の内容
「メーター交換」と聞くと、配線の組み替えや、長時間の停電が必要だと想像されがちです。しかし、多くの現場で実際に行われるのは、既存の配線を活かしたうえでのメーター本体の交換です。
計測方式が変わらない限り、配線ルートや分電盤構成を大きく変更する必要はありません。工事内容としては比較的シンプルで、設備更新の中でも負担は小さい部類に入ります。
停電の必要性とテナントへの影響
子メーター交換では、作業対象の回路を安全に扱うため、一時的な停電が発生します。ただし、この停電は建物全体ではなく、該当テナント(または該当系統)に限定されるケースが一般的です。
作業時間は1台あたり30分〜1時間程度が目安で、事前に調整を行えば、テナントへの影響を最小限に抑えることができます。営業時間外や定休日に合わせて作業を行うことで、クレームや混乱を避けている現場も多く存在します。「停電対応がネックで踏み出せない」と感じる場合でも、段取りを整理することで負担を小さくできることがあります。
電気工事士に聞く、子メーター交換の費用感と同時に見直すべき設備
解説者
インタビュアー
子メーター交換にかかる費用感の目安
ーーー子メーター交換の実際の費用感はどのように考えれば良いでしょうか?
子メーターの交換にかかる総額は「メーター代+工事費+主任技術者立会費(必要に応じて)」で構成されます。複数台を同時に交換する、あるいは分電盤内の整理を伴う場合は、工数の増減で費用が変動します。
ーーー子メーター単体の費用は、どの程度なのですか?
設置場所や構造で違いが出ます。一般的な表面形(電線を直接接続するタイプ)のメーターであれば、本体価格が2万円程度のものもあります。
対して、キュービクル内部に設置するタイプは、1台あたり4〜5万円程度が目安です。また、ブスバー(銅バー)の分解作業が必要なケースも多く、停電を伴う前提で進めます。場合によっては電気主任技術者の立会いも求められます。さらに大容量機種になると、1台あたり10万円前後のケースもあります。
子メーター交換時に「一緒に確認しておきたい」設備とは
ーーー交換作業のタイミングで、他に見ておくべきポイントがあれば教えてください。
子メーター交換では、現場条件によって電気主任技術者の立会いのもと分電盤を開放して作業することがあります。この分電盤を開けるタイミングは、子メーター周辺の状態をあわせて確認できる絶好の機会です。子メーター周辺には計測回路、分岐配線、端子台など、電気設備でも重要な機器が集中しています。これらは日常点検で見落とされやすく、長年ノータッチということも少なくありません。
停電や立会いが発生するタイミングなら、PAS・UGS・LBSといった受変電設備や、キュービクル全体の経年状態も目視確認がしやすくなります。せっかく設備へアクセスできる機会ですから、周辺の状態を押さえておくと、以降の設備管理の質が上がります。
子メーター交換を計画的に進めるメリット
ーーー更新期限を指摘されてからの対応は、現場で混乱が起きがちですよね。
その通りです。期限切れを指摘されてから慌てて動くと、テナントとの調整や説明対応、工事の手配が同時多発し、負担が一気に増します。
一方で、計画的に交換を進めれば、停電日時の調整に余裕が持てて、テナントへの説明も落ち着いて実施できます。さらに、周辺設備の状態把握も同時に進めやすくなり、結果としてコストも心理的負担も小さくなります。
子メーター確認チェックリスト
ーーービルオーナーや設備担当者さまが、確認しておきたいポイントについて改めて教えてください。
分かりました。全てを完璧に把握する必要はありませんが、すぐ答えられない項目があれば、それが「確認・整理すべきポイント」です。
- メーターの個数
- メーターの設置場所
- 検定年月
- 有効期限
分電盤内や機械室内など、子メーターの設置場所や個数が、担当者個人の記憶に依存しているケースも少なくありません。図面や資料で場所を確認できるか、担当者が変わっても分かる状態になっているかは、重要なポイントです。
そして、子メーター本体や銘板に記載されている検定年月や有効期限を確認しましょう。期限が曖昧なままだと、テナントから指摘があった際に説明が難しくなります。
注意が必要なのは、2018年12月までに検定に合格した電気メーターの有効期限は「和暦」で表示されていましたが、2019年1月以降に合格したものに関しては、「西暦」での表示に変わっています。
例
以前:「40年12月」(平成40年の意味、2028年を指す)
現在:「30年1月」(2030年の意味)
繰り返しになりますが、子メーター管理で押さえるべきなのは、まずテナントから電気料金について問われた際に「なぜこの金額になるのか」を、計測値だけでなく有効期限や管理状況も含めて根拠立てて説明できる状態かどうかです。
説明が曖昧だと、設備に不具合がなくても信頼面で不利になりますし、子メーターは消耗品で必ず更新が発生するため、期限切れやクレームをきっかけに動くのではなく、何年後に交換するのか、どのタイミングでまとめて対応するのかといった更新計画を持っておくことが重要です。
さらに、子メーターは分電盤や計測回路の一部として組み込まれているため、盤内配線や端子の状態、長期間開放されていない盤の有無など、周辺設備も含めて現状を把握しておく必要があります。
管理責任の所在、点検・更新の判断者、費用負担のルールまで明確にしておくことが、対応の遅れや機器の更新期限切れを未然に防ぐことにつながります。
施工事例
まとめ|子メーター交換は「構える工事」ではなく「整える管理」
子メーターは期限を気にする機会が少なく、異常も表面化しにくい設備のため、「今は問題が起きていない」という理由で、どうしても後回しにされがちです。しかし、ひとたび期限切れやトラブルが指摘されると、テナント対応や説明、工事手配が同時に発生し、想像以上に手間がかかることがあります。
子メーターの交換工事そのものは、内容を理解すれば過度に身構える必要のない作業です。停電や立会いも、事前に計画しておくことで影響を最小限に抑えることができます。
また交換のタイミングは、子メーターだけでなく、分電盤や受変電設備など普段は確認しづらい設備の状態を把握する機会にもなります。今の状態を整理しておくことは、設備管理として大きな意味を持ちます。
トラブルが起きてから慌てるのではなく、何も起きていない段階で状況を把握し、計画的に更新できる状態をつくっておくことが、結果的にコストも負担も抑えられる現実的な対策です。まずはお気軽にご相談ください。
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