【LBSとは? #3】LBSの点検・診断・交換時期の目安|専門家が教える“劣化のサイン”
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高圧受電設備の中でも、LBS(Load Break Switch:高圧負荷開閉器)は、トラブルが発生した場合に、停電へ直結する可能性がある重要な機器のひとつです。
一方で、LBSは内部構造が外から見えにくく、外観だけでは劣化や異常が判断しにくい設備でもあります。そのため、交換のタイミングを判断できないまま長期間使用されているケースも少なくありません。
本記事は、LBSの維持管理に必要なポイントを体系的に学べる連載シリーズ「LBSとは?」の第3回です。今回は、LBSの劣化のサイン、点検時に確認すべきポイント、交換時期の目安について、現場の実務視点から解説します。
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目次
要約
交換目安
LBSには法定の交換年数はありませんが、設置環境(屋外・塩害・粉じん・開閉頻度)によって、一般的に、設置後10〜20年で劣化が進行し始めるとされています。金属腐食や絶縁劣化、グリス硬化などは使用頻度に関係なく進むため、「動いているから問題ない」と判断するのは危険で、経年と状態を踏まえた判断が重要です。
劣化サイン
外観では白化や黒ずみ、サビ、アーク痕などが劣化の明確なサインとなります。絶縁抵抗の低下や数値のばらつきも重要な判断材料であり、操作時の重さや引っかかりなどの違和感も内部劣化の兆候です。これらを見逃さないことが事故防止につながります。
判断と更新
LBSは明確な交換基準がないため、外観・測定値・操作感などを総合的に評価して更新を判断します。サビや絶縁劣化が確認された場合は、他の高圧工事と合わせて早めに交換することで、停電事故や設備トラブルのリスク低減につながります。
LBSの“交換時期”はどこで判断する?
結論から言うと、LBSには法律で定められた交換年数はありません。しかし現場の実務では、一般的に設置後10年前後から劣化の兆候が現れ、20年を超えると故障リスクが高まる傾向があります(※設置環境により変動)
主な理由は以下の通りです。
- 金属部の腐食・摩耗(10年を過ぎたころから進行しやすい)
- 絶縁材料(樹脂)の経年劣化
- グリスの硬化による操作機構の不具合
- 湿気や粉じんの蓄積による絶縁性能の低下
- 操作回数が少なくても進行する“静的劣化”(時間経過による絶縁劣化・グリス硬化など)
LBSは頻繁に操作される機器ではありません。そのため、「問題なく動いている=まだ大丈夫」とは限らないという点が交換判断を難しくしている要因の一つです。
外観で分かる劣化|変色・サビ・アーク痕は“明確なサイン”
外観点検は、誰でも行えるシンプルな方法ですが、実はLBSの劣化のサインが最も明確に出やすい箇所でもあります。
- 変色(白化・黄ばみ・黒ずみ):
絶縁材が劣化すると、表面が白く粉を吹いたように見えることがあります。また、温度上昇やアークの影響を受けた場合は、黄ばみや黒ずみが発生することもあります。 - サビ・腐食:
屋外キュービクルでは、湿気や雨水の影響により金属部にサビが発生することがあります。腐食が進行すると接触抵抗が増加し、発熱や設備事故につながる可能性があります。 - アーク痕(焦げ跡):
アーク放電が発生すると、ブッシング周辺の黒い斑点やケーブル端末の焦げ跡、LBS内部の焼け跡などが確認される場合があります。これらは重大事故につながる可能性があるため、早期の対応が必要です。
絶縁抵抗値の捉え方
LBSの状態を把握するうえで、「絶縁抵抗測定」は非常に重要な診断指標となります。特に現場では、単純な測定値だけでなく、過去データとの比較による経年劣化を重視します。
“前年より測定値が低下している”、“特定相だけ数値が低い”、“測定値がばらついている”といった場合には、内部劣化や端末不良、湿気の侵入などが疑われます。絶縁抵抗値の基準は、設備や機器によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
- 10MΩを下回ると要注意
- 1MΩ以下は異常レベル(検査・更新検討が必要)
操作感で分かる劣化|固い・重い・戻りが悪い
LBSは操作回数が少ない機器であるため、久しぶりに操作した際に異常に気付くケースが多くあります。内部のバネ疲労・グリス硬化・機械部の摩耗などにより、以下のような症状が現れることがあります。
- 操作レバーが重い
- 操作途中で引っかかるような違和感がある
- スプリングの復帰力が低下している
- 開閉時のガチャ、バチッという動作音が小さい(動作力低下)
これらの症状が見られる場合、開閉動作が正常に行われない可能性があるため注意が必要です。最悪の場合、停電事故や設備トラブルにつながる恐れがあります。
電気工事士に聞く、交換を判断すべき“現場のサイン”
解説者
インタビュアー
ーーーLBSを“交換すべき”と判断する、明確な基準はありますか?
正直なところ、「この状態になれば必ず交換」という明確な基準があるわけではありません。現場では、いくつかのポイントを総合的に見ながら判断することが多いですね。
具体的には、まず分かりやすいのが、金属部分のサビです。LBSは金属部品が多いため、長期間使用するとどうしても腐食が発生します。多少のサビですぐ交換というわけではありませんが、全体的に腐食が目立つ場合は劣化が進んでいる可能性が高いと考えます。

ーーー外観でも判断できるポイントがあるんですね。
そうですね。もう一つよく確認するのが「がいし(碍子)」の状態です。劣化してくると表面のツヤがなくなり、くすんだように見えることがあります。さらに進行すると、表面が白っぽく見える“白化”の状態になることもあります。根元部分などをよく観察すると経年劣化の兆候が分かる場合があります。
がいし(碍子)とは?
電気を絶縁する素材でできた、電線を支えるための器具。電気が機器から地面へ漏れるのを防ぐ役割を持つ。
ーーー動作不良も判断材料になりますか?
もちろんです。ただし、キュービクルの現地調査は通電状態で行うことが多いため、その場でLBSを操作できないケースも少なくありません。
実際には「他の工事で停電したとき」「点検で操作したとき」などに異常に気付くということもあります。その際に「動きが重い」「引っかかる」といった違和感があれば、次回工事のタイミングで交換を提案することが多いですね。
ーーー劣化が確認された場合は、すぐに交換をするべきですか?
LBS自体は、キュービクル全体の設備に比べればそこまで高額な機器ではなく、比較的交換しやすい機器です。そのため、「金属部のサビが目立つ」「がいしの劣化が確認できる」といった場合には、他の高圧工事とあわせて交換をおすすめすることもあります。
安全に関わる設備なので、「まだ使えるかもしれないけど不安がある」状態で使い続けるより、早めに更新しておく方が安心という考え方ですね。
施工事例
まとめ|LBSは“動いているうち”の更新が安全につながる
LBSは高圧受電設備の中でも重要な機器ですが、内部劣化が外から分かりにくく、「異常に気付いたときにはトラブル寸前」というケースも少なくありません。そのため、外観の変化、絶縁抵抗値の低下、操作感の違和感など、小さな劣化サインを見逃さないことが重要です。
また、法律で明確な交換年数が定められていない機器だからこそ、点検履歴や経過年数を踏まえた計画的な更新が、停電事故や設備トラブルのリスク低減につながります。特に設置から10年以上経過しているLBSについては、一度専門業者による状態確認を検討すると安心です。
LBSの点検や交換のタイミングに迷った場合は、設備の状況に応じた最適な対応をご提案いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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