【LBSとは? #2】LBSの故障で起こるトラブル|停電・事故・復旧コストの実態
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高圧受電設備の中でも、LBS(高圧負荷開閉器)は受電の入口側で回路を開閉・遮断できる重要機器です。LBS(高圧負荷開閉器)に不具合が起きると、停電・設備停止・復旧工事の長期化に直結しやすく、軽視できません。
本記事は、LBSに関する理解を段階的に深める連載シリーズ「LBSとは?」の第2回です。前回の“役割と仕組み”をふまえたうえで、現場で実際に多い故障原因と、そこから派生する停電・事故・コストの実態を詳しく解説します。
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要約
故障影響の大きさ:
LBSは高圧受電設備の“入口側”で電力の開閉を担うため、不具合が起きると受電停止や設備全体の停止につながりやすい重要機器です。現場では経年劣化や設置環境の影響でトラブルが毎年発生しており、軽視できません。
主な故障原因:
絶縁不良やトラッキングはアーク発生を招き、内部損傷で交換が必要になることがあります。さらに、長年操作されないことでバネ機構が固着し開閉不能になる例も多く、年次点検だけでは内部劣化の兆候を動作として確認できない場合があり、異常を見逃すリスクがあります。
停電の発生パターン:
瞬時停電は短時間でも生産ラインでは大きな損失になり得ます。ヒューズ溶断では欠相による単相運転が起こり、モーター焼損や設備破損につながる恐れがあります。複合故障では長時間停電や計画外停止に発展しやすいです。
復旧コストの実態:
ヒューズが現地にあれば交換は30分程度でも、調達待ちや工事会社の手配で復旧が遅れることがあります。費用はLBS本体より付帯作業が重く、ケーブル端末再制作や仮設電源、生産ロスなどで総コストが膨らむ傾向があります。
LBSの故障によって起こる主なトラブル
LBSは受変電設備の中で「高圧の電力を安全に受ける入口」の役割を担っています。そのため故障=施設全体の停止リスクにつながりやすく、影響範囲は広くなりがちです。特に多いトラブルは以下の通りです。
ケーブル端末トラブルとの関連:
LBSの入口・出口には高圧ケーブル端末が接続されており、端末劣化(汚損・湿気・絶縁低下)があると、LBS側のトラブルと同時発生することがあります。この場合、LBSだけ交換しても再発するため、端末・接続部の状態確認が不可欠です。
絶縁不良:
絶縁不良は経年劣化や湿気が地絡/相間短絡を引き起こします。結果として保護継電器が動作し、瞬時停電や受電停止につながります。さらにアーク(火花)が発生すると、内部の金属部品が損傷し、機器交換が必要になるケースもあります。
トラッキング:
絶縁物の表面に汚れが付着した状態で湿気やホコリが重なることにより、表面に導電性の通路が形成され、次第に炭化が進行し、最終的に放電へと至る現象です。放置するとLBS内部までダメージが及び、単体交換では済まない大規模修繕に発展することもあります。
バネ機構の固着:
LBSの開閉動作は、内部のスプリング機構によって行われます。しかし、長年操作されないことでグリス劣化・腐食・金属摩耗が進み、動作が固着すると、いざ停電復旧や切替が必要な場面で開閉できず、復旧が遅れるリスクがあります。特に“10年以上操作されていないLBS”は高リスクとされています。
ヒューズ溶断:
LBSは電力ヒューズ(PF)とセットで設置されるのが一般的です。ヒューズは設備を守るために溶断しますが、原因により復旧難易度が大きく変わります。ヒューズ溶断により欠相が発生すると、三相モーターが単相運転状態に近い異常運転となり、焼損や設備破損につながる恐れがあります。

停電の発生パターン
LBS関連トラブルにより発生する停電には、いくつかのパターンがあります。
瞬時停電:
絶縁不良・トラッキングが原因でアークが発生し、保護装置が瞬時動作するパターンです。数百ms〜数秒程度で復旧する場合もありますが、製造ラインでは重大なロスにつながります。
単相停電:
ヒューズ溶断時に発生します。モーターの焼損やライン停止につながりやすく、原因調査に時間を要することが多いです。
長時間停電(事故復旧作業):
LBS破損に加えて、ケーブル端末の絶縁劣化や損傷が重なると、端末再制作・耐圧試験・再接続が必要になり、復旧に数時間〜半日以上かかることもあります。
計画外停電:
異音・異臭などの前兆が見つかり、緊急で停止・点検を行うパターンです。事前に予定されていないため、調整コストが大きくなります。
電気工事士に聞く、復旧コストの実態|LBSが壊れてから復旧までの時間やかかる費用は?
解説者
インタビュアー
ーーーLBSのヒューズが切れた場合、復旧工事にどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
現地に替えのヒューズが用意されている場合、作業時間としてはおおよそ30分程度で交換が可能です。
ただし、替えのヒューズが現地にない場合は調達から行う必要があるため、復旧までに時間を要するケースもあります。ヒューズには規格があり、どのヒューズでも代用できるわけではありません。
また一般的には、電気主任技術者は保安監督・指示・立会いを担い、交換工事そのものは恒電社のような電気工事会社が対応することが多いです。そのため、たとえ替えのヒューズが現地にあっても、電気工事会社がすぐに駆けつけられなければ、その間復旧作業ができません。
ヒューズの数量管理や不足時の発注指示は電気主任技術者が行い、実際の発注業務や交換工事は電気工事会社が担います。復旧をスムーズに行うためには、こうした両者の連携がうまく取れていることが重要ですね。
ーーーLBSが壊れると、やはり修理費用は高くつくものなのでしょうか?
そうですね。LBS本体の価格というよりも、故障に伴って発生する付帯作業の負担が大きくなる、という印象です。そのため規模や現場の条件によって価格は上下します。
仮に安価であったとしても、短絡事故が頻発すると、その都度ヒューズの交換が必要になります。点検しづらい場所や汚れやすい場所に設置されているキュービクルでは、絶縁不良が起こりやすく、結果として事故のリスクも高くなりますので、注意が必要です。
ーーー「点検しづらい場所や汚れやすい場所」とは具体的にどういった場所でしょうか?
例えば、畑の近くにある設備では、風によって砂ぼこりが舞い、ケーブルやキュービクル内部の機器に砂が溜まりやすくなります。そこにほこりが付着し、水分を含むことで、絶縁不良を起こしやすい環境が生まれてしまいます。
このような状況で何度もヒューズ交換が発生すれば、その分コストが積み重なっていくのは避けられません。
ーーーヒューズの交換以外にも、費用が発生するケースはありますか?
あります。代替ヒューズの調達に時間がかかる場合には、仮設の代替電源を手配する必要が出てきたり、停電による生産ロスが発生したりすることがあります。また、LBS本体が故障した場合には、ケーブル末端の再制作や、一部機器の撤去・新設が必要になるケースも想定されます。
特に事故後の復旧では、「部材の調達待ち」が発生し、即日復旧ができないことも少なくありません。そのため、工場やテナントビル、病院などでは、事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。
施工事例
まとめ
LBSは、高圧受電設備の中でも事故の影響が最も大きく出やすい機器のひとつです。絶縁不良・トラッキング・バネ機構の固着・ヒューズ溶断・ケーブル端末劣化といったトラブルは、いずれも停電・設備停止・生産ロス・復旧工事の長期化に直結します。
特に現場で問題になるのは、LBS単体の故障ではなく、周辺機器を巻き込んだ複合事故が起きやすい点です。ケーブル端末やキュービクル内部の絶縁状態が悪化していれば、LBSを交換しても再発することがあり、結果として工期・費用が大きく膨らむケースが後を絶ちません。
また、復旧コストの多くは、事故後に発生する「部材調達・段取り・停電調整」に左右されます。つまり、壊れてから最適化するのではなく、壊れる前に備えることでしか減らせないコストが大半です。
次回の記事では、こうしたリスクを未然に防ぐための「LBSの点検ポイント」「交換すべきタイミング」「劣化を見抜く判断基準」について、現場視点で解説していきます。
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