【法人向け|LED照明 #5】LED化と点灯制御で電気代を削減|企業が今取り組むべき照明省エネ戦略とは?
更新日:2025年11月26日

エネルギーコストの高騰やカーボンニュートラル対応が求められる中、多くの企業が「電気代の削減」と「省エネ対策」を両立できる方法を探しています。
中でも照明のLED化は導入しやすく、効果が分かりやすい施策として広く普及しています。
本記事は、企業の照明省エネ戦略を理解するための連載シリーズ「法人向け|LED照明」の第5回です。企業施設における照明コストの実態、LED導入の削減効果、点灯制御と組み合わせた省エネ手法を分かりやすく解説します。
▼ 関連記事はこちら記事はこちら
目次
要約
照明は企業の大きな電力負担:
オフィス・工場・倉庫では照明が電力消費の20〜40%を占め、とくに高天井の施設では影響が大きくなります。蛍光灯や水銀灯はLEDに比べエネルギー効率が低く、同じ明るさを確保するために2〜3倍の電力を消費するケースもあります。そのため、多くの企業にとって照明設備は最も手を付けやすく、効果の大きい省エネ領域となっています。
LED化で電気代を大幅削減:
LED照明は従来光源に比べ40〜70%の消費電力削減が可能で、100台規模の蛍光灯更新なら年間十数万円のコスト削減も実現できます。発熱が少ないため空調負荷も下がり、実際の削減効果はさらに大きくなる場合があります。加えて寿命が長く、交換頻度やメンテナンスコストも削減できるため、総合的な運用コストは最大70〜80%低減することも珍しくありません。
点灯制御で“運用そのもの”を省エネ化:
LEDは瞬時点灯ができ、点滅による劣化もほぼないため、人感・明るさ・スケジュール制御と非常に相性が良く、不要な点灯を確実に減らせます。人がいないエリアの自動消灯、自然光に応じた調光、深夜帯の無駄点灯防止など、時間帯や業務動線に合わせた最適運用が可能です。特に消費電力の大きい高天井照明では、点灯時間のわずかな削減でも年間コストに大きく効きます。
導入成功の鍵は“求める動作”の明確化:
点灯制御の設計では、ユーザーが「どう使いたいか」を明確に伝えることが重要です。自然光があれば点灯不要なのか、常時点灯だが明るさを抑えたいのか、設備レイアウトや業務内容によって最適な制御は異なります。現場の条件や要望を踏まえ、理想に近い制御構成を実現するために、事前の要望整理が導入の満足度を大きく左右します。
照明が占める電力コストの割合
オフィスや工場、倉庫など、業種を問わず稼働する照明は、企業の電力消費全体の約20〜40%を占めるケースも少なくありません。 特に工場や物流倉庫のように天井が高く、照度基準を満たすために多数の照明器具を使用する施設では、照明による電力コストの影響が顕著です。
従来の蛍光灯や水銀灯はエネルギー効率が低く、同じ照度を確保するためにLEDの2〜3倍の電力を使う場合があります。
▼ 関連記事を読む
LEDで削減できる電気代の目安
LED照明は、従来の蛍光灯や水銀灯と比較して消費電力を40〜70%削減できるといわれています。たとえば、40W蛍光灯を使用しているオフィス照明を18WクラスのLEDに交換した場合、約55%の電力削減が見込まれます。
【導入効果の試算例】
| 項目 | 旧来照明(蛍光灯) | LED照明 |
|---|---|---|
| 消費電力 | 40W | 18W |
| 点灯時間 | 10時間/日 × 22日/月 | 同条件 |
| 電力単価 | 30円/kWh | 同条件 |
| 月間電気代 | 約2,640円/台 | 約1,188円/台 |
| 削減額 | – | -1,452円/台(▲55%) |
仮に100台設置している蛍光灯を全てLEDに変更した場合、年間約17万円の電気代削減が実現できます。また、LED照明は発熱量が少ないため、空調負荷の低減にもつながり、実際の省エネ効果がさらに大きくなるケースもあります。
さらに、LED照明は長寿命(約40,000〜60,000時間)であり、ランプ交換の手間やコストも削減できます。照明のメンテナンス費用を含めて考えると、総合的なランニングコストの削減効果は最大70〜80%に達することも珍しくありません。
点灯制御でさらなる電気代削減に
LED照明への更新効果をさらに高める方法の一つとして「点灯制御」が挙げられます。
従来の蛍光灯や水銀灯では、立ち上がり時間が必要なものや、頻繁な点滅が寿命に影響しやすいものが多く、運用上、必要のない時間帯でも照明を点けっぱなしにせざるを得ないケースが少なくありませんでした。一方、LEDは瞬時点灯が可能で、点滅による劣化もほとんどないため、人感センサーや明るさセンサー、スケジュール制御などの各種制御方式と非常に相性が良いという特長があります。
点灯制御が電気代削減に有効とされる理由は、「不要な点灯時間を確実に減らせる」点にあります。人感センサーを組み合わせれば、人のいないエリアは自動で消灯し、業務の動きに合わせて必要な場所のみ点灯することが可能です。また、明るさセンサーによる調光制御を用いれば、窓側など昼間の自然光が十分に届くエリアでは自動的に照度を下げるなど、時間帯や天候に応じて最適な光量に調整できます。
さらに、スケジュール制御を活用すれば、早朝・深夜帯に照明が点いている無駄を防止できます。1台あたりの消費電力が大きい設備ほど、わずかな点灯時間の削減でも年間コストへのインパクトが大きくなります。
このように、LEDの高効率性に点灯制御を組み合わせることで、単なる照明更新ではなく「照明運用そのものを最適化する省エネ」へと発展させられます。
電気工事士に聞く、LED照明と「点灯制御」の組み合わせ効果
解説者
インタビュアー
ーーー人感・スケジュール制御LEDをご提案する際に気を付けている点はありますか?
お客さまのご要望を丁寧に伺い、求める動作にできる限り近い制御が実現できるよう機器を組み合わせ、ご提案することを大切にしています。
これは、当然ではあるんですが、お客さまによって求めている動作って全く異なるためです。
たとえば「昼間は自然光が入って明るいから、日中は電気が点かなくても良い」というお話を伺った場合には、明るさセンサーをご提案しました。
一方で「常に照明は点けておきたいけど、明るいときには全部でなくても良い」という場合には、配線方法を工夫して間引き点灯ができるようにご提案をしたこともあります。
ーーーつまり、お客様に「どのようにしたいか」を事前に伝えていただいた方が、電気工事士として提案がしやすいということでしょうか。
そうですね。伺ったご希望に近付けるようにご提案させていただきます。
もちろん、すべてのご要望をそのまま実現できるとは限りません。ですが、その場合でも「理想と少し異なる部分はありますが、このように近づけることができます」と、できる範囲とその理由を明確にお伝えした上でご提案しています。
現地調査の際には、お客さまの譲れない部分も丁寧に擦り合わせながら、器具選定まで進めてまいりますのでご安心いただけたらと思います。
施工事例|点灯制御を取り入れたLED設備更新
まとめ:
企業の電力コスト削減を考えるうえで、照明対策は依然として最も効果が高く、かつ導入ハードルの低い取り組みです。従来の蛍光灯や水銀灯は電力効率が低く、照度基準を満たすために多くのエネルギーを必要としていましたが、LED照明への更新により40〜70%の削減が可能となり、空調負荷の軽減やメンテナンス費の削減まで含めると、総合的なランニングコストを大きく最適化できます。
さらに、人感・明るさ・スケジュールといった点灯制御を組み合わせることで、施設の稼働状況に応じた「必要な場所に必要な光だけを使う」運用が実現します。これにより、LEDの省エネ効果が最大化されるだけでなく、無駄な点灯の排除によって電気代の削減幅は一段と大きくなります。
照明は単なる設備ではなく、運用次第でコスト構造を変えられる重要なエネルギー管理ポイントです。LED化と点灯制御を計画的に進めることで、省エネ・コスト削減・環境配慮のすべてを同時に叶える照明環境が実現できます。早めの検討と現場に合った運用設計が、企業のエネルギー戦略を大きく前進させる鍵となるでしょう。まずはお気軽にご相談ください。
本記事は、連載シリーズ「法人向け|LED照明」の第5回として、最新の省エネ照明戦略を紹介しました。次回の第6回では、工場照明に特化した効率向上とコスト削減のポイントをまとめます。
関連記事を読む
記事を書いた人





