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PCB検査・撤去の施工事例7件|変圧器(トランス)・高圧進相コンデンサの交換と処分の進め方

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#PCB
投稿日:2025年11月12日
更新日:2026年10月3日
PCB検査・処理の事例集|トランスやコンデンサの処分・交換実績を解説

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつて変圧器(トランス)やコンデンサの絶縁油などに使われた物質です。古い高圧受電設備の機器を交換・撤去するときは、まずPCBを含むかどうかを確かめ、含んでいれば法令に沿って処分する必要があります。

本記事では、恒電社が施工した変圧器・高圧進相コンデンサの交換・撤去のうち、PCBの確認が関わった7件の事例をまとめました。PCBを含んでいた事例と含まなかった事例で処分の進め方がどう変わるかを、各施工事例ページの記載に沿って紹介します。

PCBを含むかどうかは、製造年や外観だけでは判断できないことがあります。紹介する7件のうち6件では、分析(PCB検査)を実施したことが施工事例ページに記載されています。

本記事は、PCBへの理解と実務対応をまとめた連載「PCB含有製品とは?」の第6回です。処分の期限、PCBを含む機器の見分け方、処分の進め方を先に確認したい方は、連載の以下の記事をご覧ください。

PCB含有製品の処理期限とは?背景と法的義務を正しく理解する(シリーズ連載#1/6)
PCB含有製品の見つけ方と判定方法 まず自社の状況を把握するタイトル画像
PCB含有製品の処分対応(現地調査から報告までの5ステップ)を示す図解バナー #3/6

低濃度PCBの処分期限と改正PCB特措法(2026年10月時点)

低濃度PCB廃棄物は、現行のPCB特措法で、2027年(令和9年)3月31日までに処分(処分の委託を含む)することが義務付けられています。2026年6月には、この仕組みを見直す改正法(令和8年法律第44号、2026年6月19日公布)が成立しました。施行は2027年4月1日の予定です(2026年10月時点)。

環境省の資料によると、改正後は、一律の処分期間を定める方式から、PCB廃棄物ごとに処分期間を設定する方式に変わります。低濃度PCBに関する主なポイントは次のとおりです(条文番号は改正後のもの)。

  • 使用中の機器:低濃度PCB使用製品を所有する事業者は、所有・使用の状況、使用の場所、使用終了の見込みなどを都道府県知事に届け出て(第8条)、政令で定める基準に従って管理します(第9条)。ただし、電気事業法の電気工作物のうち政令で定めるものは、これらの規定ではなく電気事業法の定めによります(第11条)。対象となる電気工作物の範囲を定める政令の内容は2026年10月時点で確認できていないため、キュービクル内の変圧器・コンデンサがどちらの扱いになるかは、管轄の産業保安監督部や都道府県の案内で確認が必要です。
  • 使用を終えたとき・PCB廃棄物と判明したとき:届出をした低濃度PCB使用製品の使用を終えた場合(第12条)や、保管する廃棄物が低濃度PCB廃棄物と判明した場合(第19条)は、その翌月末日までに保管の状況・保管の場所などを都道府県知事に届け出ます。そのうえで、使用を終了した日、または判明した日から5年を超えない範囲で政令で定める期間内に処分(処分の委託を含む)します。具体的な期間を定める政令は、2026年10月時点で確認できていません。
  • すでに届出をしている廃棄物:改正前の規定で届出をした低濃度PCB廃棄物で、改正法の施行時点で処分(処分の委託を含む)を終えていないものには、改正前の処分義務(2027年3月31日まで)が引き続き適用されます(改正法附則第2条第4項)。

改正によって、低濃度PCB廃棄物の2027年3月31日の期限が延びるわけではありません。一方で改正後は、使用中の製品の届出・管理と、使用終了後や判明後の期間内の処分という仕組みに変わります。なお、高濃度PCBは別の扱いで、処分期間(2023年3月末等)はすでに過ぎています。

期限の考え方を詳しく知りたい方は「PCB含有機器の処分期限と対応の進め方」を、期限を過ぎた場合の扱いが気になる方は「PCB処分期限を過ぎるとどうなるか(罰則・行政指導)」をご参考ください。

7件の事例の一覧(PCBの確認方法と結果)

紹介する7件で、PCBをどう確かめ、どんな結果だったかを先に一覧にします。

事例(地域・工事)PCBの確認方法結果
東京都 葛飾区:トランス・コンデンサ撤去撤去前のPCB検査基準値を超えて検出
埼玉県 蓮田市:高圧コンデンサ交換専門の分析機関で測定処理目標基準を下回り、PCB廃棄物に該当せず
埼玉県 川口市:高圧コンデンサ交換コンデンサと変圧器の採油分析施工事例ページに記載なし
埼玉県 戸田市:キュービクル・PAS撤去専門機関で分析検査不含有
埼玉県 白岡市:コンデンサ・直列リアクトル交換高圧コンデンサの事前の分析検査高圧コンデンサは不含有
埼玉県 鴻巣市:高圧進相コンデンサ交換破壊検査(含有分析)非含有
埼玉県 川口市:トランス更新施工事例ページに記載なしPCB含有

トランス・コンデンサ撤去(PCB含有)|東京都 葛飾区

クレーン車で吊り上げて撤去するトランス(変圧器)
葛飾区のトランス・コンデンサ撤去の施工事例を詳しく見る
  • 工事内容:高圧・低圧切替工事および付帯する機器撤去作業
  • エリア :東京都
  • 施設種別:ビル屋上
  • 工期  :1日
  • 停電時間:3時間

高圧から低圧への切り替えに伴って不要になった、屋上キュービクル内のトランス(変圧器)とコンデンサを撤去した事例です。事前に機器のPCB検査を行ったところ、PCBが基準値を超えて検出されました。

処分にあたっては、ご依頼主様と許可を受けた専門業者様との間で、廃棄物処理委託契約と収集運搬委託契約を直接結んでいただきました。

処分の手配に合わせて、2024年11月に切替工事を先に行い、2025年3月に撤去工事を実施しました。撤去当日はラフタークレーンで屋上から機器を吊り下ろし、収集運搬業者へ車上渡しをして、許可業者による許可施設への運搬・処理が完了しました。

高圧から低圧へ切り替えるときの手続きや工事の流れは、高圧・低圧切り替え工事のページで紹介しています。

高圧コンデンサ交換工事|埼玉県 蓮田市

危険表示ラベルが貼られた高圧コンデンサ設備の内部
蓮田市の高圧コンデンサ交換の施工事例を詳しく見る
  • 工事内容:高圧コンデンサのPCB検査、更新工事
  • エリア :埼玉県 蓮田市
  • 施設種別:工場
  • 工期  :1日
  • 停電時間:2時間

今回の高圧コンデンサは2001年製造のものでしたが、保守作業などで絶縁油の交換を行っていたため、専門の分析機関でPCBを測定し、PCB含有の有無を最終的に判断しました。

結果は「PCB廃棄物の処理目標基準を下回り、PCB廃棄物に該当しない」という結果に基づき、撤去したコンデンサは産業廃棄物として処理し、新しいコンデンサへ更新しました。

高圧コンデンサ交換工事|埼玉県 川口市

高圧進相コンデンサの銘板(仕様表示)
川口市の高圧コンデンサ交換の施工事例を詳しく見る
  • 工事内容:高圧コンデンサの更新、高圧コンデンサ・変圧器の採油分析、既存コンデンサの処分
  • エリア :埼玉県 川口市
  • ご依頼 :担当の電気主任技術者様
  • 工事当日の作業時間:約2時間(コンデンサの交換と変圧器の採油)

高圧コンデンサは1989年製、変圧器は1991年製で、PCB汚染の可能性を判断しにくい製造年だったため、コンデンサとあわせて変圧器の絶縁油も分析しました。現地調査のあと、見積もりの提出からコンデンサの納品までが約2か月で、工事日は電気主任技術者様の年次点検の日に合わせています。

PCBの分析は、サンプリングから結果が出るまでに数週間から1か月ほどかかります。PCB廃棄物として処分する場合は、分析に加え、処理施設の予約や届出などを含めた全体の対応に、最短でも数か月から半年程度かかる場合があります。

高圧設備(キュービクル・PAS)の撤去工事|埼玉県 戸田市

キュービクルの横にある油圧ブレーカー付きの重機
戸田市のキュービクル・PAS撤去の施工事例を詳しく見る
  • 工事内容:高圧受電から低圧受電への切り替え、キュービクルの撤去、およびPCB検査
  • エリア :埼玉県 戸田市
  • 施設種別:物流倉庫
  • 工期  :2日間
  • 停電時間:1時間

倉庫の業態変更に伴い、高圧受電から低圧受電へ切り替えてキュービクルを撤去した事例です。撤去する機器がPCBを含むかどうかを確かめるため、専門機関で分析検査を行いました。

結果は不含有だったため、産業廃棄物として処理しています。工事は2日に分け、1日目に電柱からキュービクルまでの電線とPASを撤去し、2日目に高圧契約の廃止手続きが完了してから、電柱とキュービクルの撤去、基礎の解体を行いました。

高圧進相コンデンサ・直列リアクトル交換工事|埼玉県 白岡市

キュービクル内に設置された高圧進相コンデンサ・直列リアクトル(交換前)
白岡市のコンデンサ・直列リアクトル交換の施工事例を詳しく見る
  • 工事内容:高圧進相コンデンサ・直列リアクトルの交換工事
  • エリア :埼玉県 白岡市
  • 施設種別:介護施設
  • 工期  :1日
  • 停電時間:2時間

コンデンサの製造年月日から低濃度PCBの含有が疑われたため、早めの交換を希望された事例です。介護施設での工事のため、停電の時間をできるだけ短くできるよう、既存の年次点検の日に合わせて作業しました。

高圧コンデンサは、事前の分析検査でPCB不含有と判明したため、産業廃棄物として処理しました。

高圧進相コンデンサと直列リアクトルの役割や、交換時期の目安を詳しく知りたい方は、「進相コンデンサ(SC)とは?役割・交換時期15年の目安」もご参考ください。

高圧進相コンデンサ交換工事|埼玉県 鴻巣市

キュービクル内部の高圧配線と碍子部分
鴻巣市の高圧進相コンデンサ交換の施工事例を詳しく見る
  • 工事内容:高圧進相コンデンサの交換工事
  • エリア :埼玉県 鴻巣市
  • 施設種別:物流会社
  • 施工日 :休日(通常業務への影響を避けるため)

電気主任技術者様による定期点検で、コンデンサの老朽化が指摘された事例です。ただ、PCBが含まれているかどうかは分かっていませんでした。

密閉型のコンデンサで外観から判断できなかったため、破壊検査(含有分析)を行い、PCB非含有と確認しました。破壊検査をした機器は結果にかかわらず交換が必要になるため、検査とあわせて更新する工程で進めています。

PCBを含まない機器でも、劣化は進みます。日本電機工業会(JEMA)は、高圧進相コンデンサの更新推奨時期を15年としています。これは製造者の保証値ではなく、通常の環境・保守点検のもとで、新品に交換したほうが経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期です。点検の結果とあわせて、計画的に更新を検討することが大切です。

トランス(変圧器)更新工事|埼玉県 川口市

トランス(変圧器)の端子まわりで作業する恒電社の作業員
川口市のトランス更新の施工事例を詳しく見る
  • 工事内容:トランス(変圧器)の更新工事
  • エリア :埼玉県 川口市
  • 施設種別:製造業(キュービクルは屋上に設置)

屋上キュービクルに設置された既設トランス(重量160kg/PCB含有)を更新した事例です。屋上に設置されていたため、クレーン車で入れ替え作業を行いました。

クレーン作業では、作業帯の確保と立入禁止区域の設定を行い、歩行者・車両それぞれの誘導員を配置します。屋上・障害物・道路幅などの作業環境は事前に調査し、必要に応じて車道へのはみ出し範囲や通行量を把握したうえで作業計画を立てます。

PCBを含む機器の収集運搬・処分は、許可・認定を受けた事業者が行います。

7件の事例から分かる、PCBの確認と工事の進め方

7件の事例を並べると、古い変圧器やコンデンサを交換・撤去するときの進め方には、次の共通点があります。

PCBを含むかどうかを確かめてから、処分の方法を決める

葛飾区・蓮田市・戸田市・白岡市・鴻巣市の5件では、分析の結果に基づいて撤去機器の処分方法を判断しています。

蓮田市の施工事例ページでは、銘板で製造メーカー・型式・製造年月日を調べ、メーカーへの問い合わせや日本電機工業会の判別リストで確認し、低濃度PCBの含有が疑われる場合に絶縁油を採取して分析する、という確認の順序を紹介しています。

鴻巣市の事例のように、密閉型で外観から判断できず、破壊検査をした機器は交換が必要になる場合もあるため、分析の時期と方法は機器と工事の条件に合わせて計画します。また、白岡市の施工事例ページで紹介しているとおり、環境省は、使用中の電気機器の確認は感電のおそれがあるため電気主任技術者等に依頼して定期点検などの機会に行うこと、使用中でPCB汚染の疑いがある機器はその旨を記録して廃止後に分析することを案内しています。

分析の結果が出るまでには数週間から1か月ほどかかります。PCBを含む機器の見分け方は、「PCB含有機器の見分け方・判定方法」で手順を解説しています。

含んでいたら、処分の手配と工事の時期を合わせる

葛飾区の事例では、ご依頼主様と許可業者様の契約、処分の手配に合わせて、切替工事と撤去工事の時期を分けました。PCB廃棄物の処分は、環境大臣の認定または都道府県知事等の許可を受けた施設で行います。届出を含めた処分の手順は「PCB含有製品の処分方法と進め方」で、費用の考え方は「PCB処分の費用はいくら?」で確認できます。

停電は点検日や休日に合わせる

白岡市と川口市(高圧コンデンサ)の事例では電気主任技術者様の年次点検の日に、鴻巣市の事例では休日に施工し、停電による影響を抑えました。

PCBを含まなくても、廃棄する機器は産業廃棄物として処理する

PCBを含まない機器も、不要になって廃棄する場合は産業廃棄物として処理します。運搬や処分を他人に委託する場合は、法令上の例外を除き、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して管理します。

PCB含有の確認方法や処分期限、費用の負担者など、更新前によく寄せられる疑問は「PCBに関するよくある12の疑問」でまとめて答えています。

PCBが気になる機器の交換・撤去のご相談

キュービクル内の機器の交換や撤去で恒電社が対応する範囲は、キュービクル新設・更新・撤去・修繕工事のページで紹介しています。

「古いコンデンサやトランスを交換したいが、PCBを含むか分からない」「撤去と処分の段取りをどう組めばよいか分からない」という段階でもご相談いただけます。恒電社では、専門の分析機関へのPCB検査の依頼を含めて、機器の交換・撤去工事の工程をご提案します。

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この記事を書いた人

蕨川 真央
株式会社恒電社

蕨川 真央

教育・福祉などの業界を経て、2025年に恒電社に入社。カスタマーサクセスチームの一員として、採用やマーケティングを担当する。

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