更新日:2026年10月3日
東京都葛飾区の印刷業の施設で、キュービクル内のパネル取付形VCB(真空遮断器)を交換した事例です。現地調査と電力会社への申請から、既設VCBの撤去、新しいVCBの据付・結線、動作試験、復電までの手順と、VCBの更新推奨時期を紹介します。
VCBだけでなく、変圧器や保護継電器などを含めたキュービクルの更新・修繕工事の対応範囲は、以下のページで紹介しています。
工事の概要|法人向けパネル取付形真空遮断器(VCB)交換工事
- エリア :東京都 葛飾区
- 施設種別:印刷業
- 費用レンジ:100万円以下
東京都葛飾区にある会社の電気主任技術者様より、真空遮断器(VCB)の交換工事のご依頼をいただき、施工が完了しました。
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士
高橋 宏武
手順・スケジュール
Step0:現地調査・電力会社申請(約2か月)
お客さまよりVCB(真空遮断器)更新のご相談をいただいた後、まずは現地確認を行います。既設VCBの形式・容量・外形寸法、二次制御回路の構成、盤内部スペース、引込ケーブルの長さや端末状況を確認します。
停電を伴う工事の場合は電力会社に申請を行い、日程調整を行います。
Step1:受電停止・既設VCB撤去
電力会社立会のもと、受電停止が確実に行われたことを確認して作業を開始します。
安全措置(接地線の取り付け・表示ロックアウト)を行った後、既設VCBの二次回路(制御線)を切り離し、主回路ケーブルを開放して撤去します。必要に応じて盤内の清掃や端子部の補修も行います。
Step2:新VCB搬入・据付
新しいVCBを搬入し、盤内へ据付します。レールタイプの場合はスムーズにスライドできるか、固定式の場合は盤の寸法に対する位置を微調整しながら確実に固定します。一次端子の接続(高圧ケーブル端末)、二次制御回路の接続を行い、誤結線がないよう図面と照合しながら丁寧に結線します。
Step3:結線確認・動作試験
結線後、停電中に端子部などの締付を確認し、VCBの動作確認と安全試験を実施します。主な試験内容は以下の通りです。試験結果が規定値を満たしていることを確認します。
- 絶縁抵抗測定(一次回路・二次回路)
- 導通試験(主回路の接続確認)
- 動作機構試験(開閉動作・投入/引外しの応答確認)
- 保護継電器との連動試験(トリップ信号の応答確認)
Step4:復電作業・最終確認
電力会社にて受電再開を行い、設備が正常に稼働することを確認します。VCBの動作音・動作時間・計器類の値などを確認し、異常がないことをチェックします。最終的に、表示ラベルの整備や開閉器位置の確認を行い、お客さまへ引き渡しの準備をします。
Step5:産廃処理・報告書提出
撤去した旧VCB、付帯部材、梱包材などを産業廃棄物として適正に処理します。お客さまへ工事報告書、試験結果書、更新機器の仕様書、メンテナンス方法のご案内を提出し、工事完了となります。
恒電社の3つの特長
- 段取り・推進力:工事現場を熟知した営業担当・電気工事士が窓口となり、今やるべきことと今はやらなくてもよいことを整理してご提案します。
- 先読み・先回り力:電力会社や関係各所への申請、書類作成、関係者との日程調整を、電気工事士と専任サポートチームが先回りして進めます。
- 価格適正力:お客さまとの直接契約を基本にし、中間マージンを抑えます。
工事以外の申請や関係者との日程調整をどのように進めているかは、恒電社の特長のページで紹介しています。
ルール・法律・更新目安
VCBの更新推奨時期は「20年又は規定開閉回数」
VCB(真空遮断器)は、高圧回路の開閉と、事故のときに電流を遮断する役割を担う機器です。日本電機工業会(JEMA)の「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(改訂版、2023年3月)では、VCBを含む高圧交流遮断器の更新推奨時期を「20年又は規定開閉回数」としています。
この年数は、製造者が性能を保証する値や法律で決まった交換期限ではなく、通常の環境の下で通常の保守・点検をしながら使った場合に、新品と交換したほうが経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期です。税法上の法定耐用年数とも別のものです。年数は使用開始後の目安で、遮断器や開閉器は、消耗部品・摩耗部品を保守・点検の状況や製造者の推奨する条件に従って適宜交換することが前提です。
経年による劣化が進むと、事故のときに確実に遮断できなくなるおそれがあります。VCBには事故のときに確実に電流を遮断する役割があるため、使用年数や開閉回数と、電気主任技術者による点検の結果を見て、計画的に更新することが大切です。
年数より早めに交換を考えたい劣化サインや、交換工事の流れと停電の考え方は、VCBの耐用年数と交換時期の目安を解説した記事で詳しく紹介しています。VCBの役割やLBSとの違いを先に知りたい方は、VCBの役割と仕組みの解説もご参考ください。
技術基準に適合させる施工と、撤去機器のPCBの確認
VCBはキュービクルを構成する機器で、キュービクルなどの事業用電気工作物を設置する者は、国の技術基準に適合するように維持しなければなりません(電気事業法第39条)。交換工事もこの基準に適合するように施工し、交換後は試験で安全を確認してから受電を再開します。
JIS C 4620:2018(キュービクル式高圧受電設備)では、主遮断装置は電気事業者の配電用変電所の過電流保護装置・地絡保護装置との動作協調が保たれ、電源側への波及事故を防止できるものとされています。主遮断装置のVCBを交換する場合は、組み合わせる保護継電器との連動とあわせて、この動作協調も確認します。工事の日程や停電・試験の段取りは、保安の監督を行う電気主任技術者と事前に打ち合わせて進めます。
VCBは、電流を切るときのアークを真空バルブの中で消す遮断器で、絶縁油の中でアークを消す油遮断器とは方式が異なります。電気事業法では、絶縁油がPCBに汚染されている可能性がある電気工作物として、変圧器・電力用コンデンサー・開閉器・遮断器など12種類が告示で定められています。VCBの交換にあわせて古い変圧器やコンデンサなどを撤去する場合は、撤去する機器のPCB含有の有無を確認します。
PCBを含まない機器も、撤去した機器の運搬・処分を他人に委託する場合は、法令上の例外を除きマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して管理します。PCB含有の確かめ方は、PCB含有機器の見分け方と判定方法の解説で紹介しています。
停電の計画
VCBを交換する間は、そのVCBを通る高圧の回路を止める必要があります。主遮断装置のVCBであれば受電を止めるため、その受電設備から電気を受けている設備が停電します。操業スケジュールや、夜間・休日に作業できるかを踏まえて工程を組み、停電日は電力会社や電気主任技術者と調整します。年次点検の停電と同じ日に工事を行えば、停電を1回にまとめられる場合があります。停電時間の決まり方と短くするための準備は、停電時間を最短化するための事前準備と現場対応を解説した記事で紹介しています。
仕様・条件
- 型番 :高圧真空遮断器 VCB VF-13NH-D 電流引き外し
- 安全対策:停電を伴う工事の場合は、電力会社立会のもと受電が確実に停止したことを確認してから作業を行います。施工・試験実施後は、電力会社にて受電再開します。
点検報告書でVCBの動作不良や絶縁抵抗の低下を指摘された、使用開始から20年が近づいている、といった段階からご相談いただけます。既設VCBの形式・寸法・制御回路を現地で確認し、電気主任技術者と停電日程を調整したうえで、交換の工程をご提案します。
他の施工事例も見る
VCBのほか、高圧進相コンデンサや変圧器、LBSなど、キュービクル内の機器を交換した事例をご覧いただけます。







