高圧設備(キュービクル・PAS)の撤去工事|埼玉県 戸田市・物流倉庫
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更新日:2025年12月18日
キュービクル撤去前
キュービクル撤去後
電柱撤去前
電柱撤去後
工事の概要|法人向け高圧ケーブル更新&LBS更新工事
- エリア :埼玉県 戸田市
- 施設種別:物流倉庫
- 工期 :2日間
- 停電時間:1時間
- 費用レンジ:100万円以下
埼玉県戸田市の不動産・倉庫管理会社様より、管理倉庫の業態変更に伴い、高圧受電から低圧受電への切り替え、キュービクルの撤去、および PCB検査のご依頼をいただきました。
高圧受電から低圧受電へ切り替える際には、電力会社への申請が必要です。今回は工期を2日に分け、施工いたしました。キュービクル撤去の際の具体的な流れを解説します。
手順・スケジュール
基本的には下記のスケジュールで進行していきますが、今回の工事は2日間に分けて施工を行いました。
1 日目:電柱からキュービクル間の電線および PAS を撤去。
2 日目:高圧契約廃止手続き完了後、電柱とキュービクルの撤去、および基礎解体。
Step0:現地確認・PCB検査・電力会社申請(約2か月)
お客さまより撤去のご相談をいただいた後、まずはお電話にて現状をヒアリングします。続いて現地確認を行い、以下のポイントを確認します。
- キュービクルの設置場所・大きさ・構造(屋外型/屋内型)
- 引込ケーブル・高圧機器の構成
- クレーン車・搬出経路の確保状況
- 周辺環境、安全条件、解体時のリスク
これらを踏まえ、撤去方法・工程計画・必要車両・人員手配を行い、停電が伴う場合は電力会社と日程調整を進めます。
Step1:低圧用現場配線工事を実施し、低圧使用への切替え工事を行う。
低圧の送電開始日までに、建物側の低圧受電設備の工事を完了させる必要があります。低圧契約(低圧電力/低圧電灯)の準備が完了した状態で受電開始日になると、電力会社が建物への低圧送電を開始します。
Step2:高圧受電の停止、高圧部材の撤去
低圧への切替完了後に、高圧受電停止日を電力会社が正式決定し、高圧受電設備の廃止工事を行います。電力会社立会のもと、受電を停止し、安全が確保されたことを確認して作業を開始します。
まずキュービクル内部の高圧機器(VCB、LBS、変圧器、保護継電器盤など)について撤去を行い、続いて高圧ケーブルの撤去・端部処理を行います。内部が空になったら、キュービクル外郭(鋼板製BOX)を解体し、搬出します。
電力会社の担当者によって高圧計器(電力量計)の最終検針も行われ、この時点で電力会社から見た高圧契約は停止完了となります。
Step3:基礎の撤去又は整地・使用前検査
必要に応じて、キュービクル基礎(コンクリート基礎)の撤去を行います。設備跡地を使用者の希望に合わせて整地し、周辺清掃を行います。
新たに設置した低圧設備の各種試験・検査を実施します。低圧幹線や分電盤、配線工事が適切に行われ、安全に利用できることを確認する重要なプロセスです。これらの検査を通じて、低圧設備が法令基準を満たし安全に使用できる状態であることを保証します。
Step4:産廃処理・報告書提出
撤去したキュービクルと内部機器を産業廃棄物として適正に処理し、お客さまへ「工事報告書・試験結果書」を提出します。低濃度PCB廃棄物は2027年(令和9年)3月末までに無害化処分を完了させる義務があります。
恒電社の3つの特長

導入背景・課題・解決
- 背景:態変更に伴う高圧受電から低圧受電への切替工事をご希望でした。
- 課題:撤去予定のキュービクル内にある機器がPCB含有製品か分かりませんでした。
- 解決:専門の分析機関でPCB検査を実施し、検査結果はPCB廃棄物に該当しないとのこと。産業廃棄物として適正に処理を行いました。
ルール・法律・更新目安
切替の判断基準と更新の必要性
高圧受電設備は点検・保守・法定点検や機器更新などの維持コストがかかるため、負荷が減少した施設では高圧契約を保持し続けることが非効率になる場合があります。キュービクルが15〜20年以上経過し、変圧器やコンデンサなどの主要機器が寿命を迎えるタイミングで、契約電力が小さくなっているケースでは、低圧へ切り替えることで基本料金や保守費用を大幅に削減できます。
施設の使用電力の推移、設備の老朽度、契約電力の適正化を総合的に判断し、切替の検討を行うことが重要です。
法令遵守と高圧設備撤去の注意点
高圧から低圧への切替工事では、電気事業法に基づく電力会社との協議、高圧受電契約の廃止および低圧受電の新設申請手続きが必要となり、受電方式や計量方法が変更されます。
また、高圧受電設備を管理していた電気主任技術者についての手続きも忘れず行います。高圧設備を持つ事業用電気工作物では選任が義務付けられていた主任技術者も、低圧へ切り替えて高圧設備が無くなれば選任義務が消滅します。外部委託の場合は契約解除交渉、社内有資格者の場合は任命解除を行いましょう。
撤去機器の産業廃棄物処理
高圧設備の撤去時には、変圧器・コンデンサ・ケーブルなどにPCBが含まれている可能性があるため、証明書の確認や場合によってはPCB分析が求められます。
PCB含有が判明した場合は、法令で定められた期限までに適正処分を完了しなければなりません。PCBがない場合でも、撤去した機器は産業廃棄物としてマニフェスト管理のもと処理する必要があり、法令への適合を確実に行うことが求められます。
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仕様・条件
- 型番 :撤去作業のため、なし。
- 施工条件:高圧1号柱が電話回線の引込柱を兼用していたため、高圧柱を撤去するために電話回線を別柱へと移設しました。
- 安全対策:クレーン作業を行う際は、作業帯の確保と立入禁止区域の設定を徹底し、歩行者・車両それぞれの誘導員を配置したうえで施工します。
また、作業環境(屋上・障害物・道路幅など)を事前に調査・確認し、必要に応じて車道へのはみ出し範囲や通行量を把握したうえで作業計画を立案します。

