施工事例

キュービクル更新・PAS新設工事|埼玉県 所沢市

カテゴリー:

PAS・UGS設置・更新キュービクル新設・更新・撤去・修繕

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#埼玉県
投稿日:2025年12月25日
更新日:2025年12月25日

トップランナーⅢ変圧器へ変更前の駆け込み工事!

キュービクル更新前

キュービクル更新後

工事の概要|法人向けキュービクル更新工事・PAS新設工事

  • エリア :埼玉県 所沢市
  • 施設種別:ビル屋上
  • 工期  :1日
  • 停電時間:8時間
  • 費用レンジ:500万円~1000万円

埼玉県所沢市にある企業様よりキュービクルの更新工事ならびにPAS(気中負荷開閉器)の新設工事のご依頼をいただきました。

ビルのオーナー様より直接お問い合わせをいただきました。キュービクルの更新と、PASを新たに設置し波及事故防止の環境を整えたいとのご希望でした。

手順・スケジュール

Step0:現地確認・電力会社申請

お客さまより全面更新のご相談をいただいた後、まずはお電話にて現状をヒアリングします。その後、現地調査を行い、以下の項目を詳細に確認します。

  • 既存キュービクルの外形寸法・設置方法(基礎形状、搬出経路)
  • VCB、LBS、変圧器、PAS、保護継電器など内部機器の仕様
  • 引込ケーブル・構内ケーブルのルート・劣化状況
  • 周辺状況(搬入スペース、クレーン作業の可否)
  • 停電調整の可否と、電力会社申請の必要有無

停電を伴う工事のため、電力会社に申請し停電の日時調整を行います。

Step1:受電停止・既存キュービクルの撤去

電力会社立会のもと受電停止を行い、安全が確実に確保された後、撤去作業に着手します。まずキュービクル内部の構成機器から順に撤去します。

高圧ケーブルを開放し、機器ごとに切り離したうえで搬出します。重量物についてはチェーンブロック・台車・クレーン等を用い、慎重に取扱います。

内部が空になったら、外箱の撤去に移ります撤去した鋼板類は産廃として区分し、クレーンやフォークリフトで搬出します。解体後、キュービクル基礎と周辺の状態を確認し、新設の準備を進めます。

Step2:新キュービクル搬入・据付

新キュービクルを現場に搬入し、所定位置に据付します。大型キュービクルの場合、複数のユニットを順に配置し、連結部をしっかり固定します。これにより、新しい受変電設備を設置する準備が整います。

Step3:高圧受電設備の結線・内部機器の設置

新キュービクル内へ各機器を設置・結線していきます。設置後、以下の試験・測定も併せて実施し、設備全体の安全性と性能を確認します。

  • 絶縁抵抗測定
  • 導通試験
  • VCB/LBS操作試験
  • 保護継電器の動作・連動試験(O→T など)
  • 変圧器の耐圧試験(必要時)

Step4:電力会社立会・復電試験

電力会社による以下の最終確認を受け、受電再開の準備をします。各種試験に問題がなければ、電力会社の担当者により受電再開を実施します。

  • 引込ケーブル接続の確認
  • 保護協調のチェック
  • VCB・LBS の投入/引外し動作確認
  • 計器の指示値確認(電圧・電流)

復電後、設備全体の動作に異常がないかを最終チェックします。

Step5:産廃処理・報告書提出

撤去した旧キュービクル・高圧機器・ケーブル・鋼板は、適切に産業廃棄物として処理します。最後にお客さまへ以下を提出し、キュービクル全面更新工事の完了となります。。

  • 工事報告書
  • 試験成績書(絶縁値・導通値・継電器設定等)
  • 新キュービクルの機器仕様書
  • 保守点検計画の提案

恒電社の3つの特長

導入背景・課題・解決

  • 背景トップランナー変圧器の第三次判断基準への移行前に現行トップランナー変圧器への更新工事をご希望でした。また、これまでPASが設置されていないことでの波及事故の可能性があり、安全面への不安から新設いたしました。
  • 課題:トップランナーⅢ移行後はエネルギー性能が上がる半面、金額が上昇するという問題がありました。また、PAS未設置による波及事故のリスクも存在しており、不安を抱えていらっしゃいました。
  • 解決:現行のトップランナーを導入し、金額上昇前にキュービクル更新工事を終えることができました。また、新たにPASを設置したことで、波及事故のリスクも減少しました。

PAS(柱上用高圧交流気中負荷開閉器)とは?

「PAS」は「Pole mounted Air Switch」の略称で「柱上用気中負荷開閉器」といいます。電柱の上に設置され、高圧の電気を安全に入切(スイッチング)するための保護装置を指します。

開閉時に電気が流れる部分が「気中(空気中)」にあるため、弧(アーク)の消弧を空気中で行う構造です。ガスや真空など別の消弧媒体を用いず、構造が比較的簡単であることが特徴です。

通常、お客様の敷地内にある最初の電柱(1号柱)に取り付けられ、電力会社とお客様の設備を切り分ける「責任分界点」として機能します。このPASを境にして、上流側(電力会社側)と下流側(お客さま側)で、それぞれが管理責任を負うことになります。

責任分界点(電力会社側とお客様側を分ける境目)
電気事業法では、電力会社とお客様の設備の区分が明確に定められており、トラブルが起きた際にどちらの責任になるかを分けるための境目を「責任分界点」と呼びます。PASが設置されている電柱や受変電設備が、その境目として機能します。

ルール・法律・更新目安

複数機器の老朽化が重なる全面更新のタイミング

キュービクルは、変圧器・VCB・LBS・保護リレー・コンデンサ・避雷器など多くの高圧機器を一つにまとめた設備であり、それぞれに10〜30年の寿命があります。20〜30年を迎えたキュービクルでは、複数の機器が同時に寿命を迎えることが多く、絶縁劣化や接点摩耗により地絡事故・短絡事故などの重大トラブルが発生しやすくなります。部分交換を繰り返すよりも、機器の世代差を一気に解消し、安全性と保守性を高めるうえで、全面更新は最も合理的な選択肢になります。特に、更新部品の入手が難しくなる古い規格の機器を使用している場合は、早めの全面更新が推奨されます。

停電計画と最新設備への更新メリット

全面更新には必ず停電が必要となるため、操業スケジュールや夜間・休日作業の可否、冷蔵・IT設備への影響などを事前に調整し、必要に応じて仮設受電設備を用いて停電時間を最小限に抑えます。新しいキュービクルは最新のトップランナー変圧器や高性能の保護リレー、耐候性に優れた盤構造を備えており、安全性と信頼性が大幅に向上します。また、IoT監視システムや高効率機器の採用により、保守性の向上や電気料金削減といった長期的なメリットも期待できます。全面更新は単なる設備更新ではなく、設備の安全性・省エネ性・運用効率を一度に引き上げる投資として非常に効果的です。

法令遵守とPCB確認を含む撤去手続き

キュービクル全面更新は高圧受電設備の大幅な変更に該当するため、電気事業法、電気設備技術基準(電技)、内線規程に基づく設計・施工・検査が求められます。電力会社との事前協議で契約電力・受電方式・保護協調を確認し、工事後には耐圧試験や動作試験によって安全性を検証します。また、既存キュービクル内の変圧器やコンデンサにはPCBが含まれている可能性があるため、証明書確認もしくは必要に応じてPCB分析を実施し、PCB含有が判明した場合は、法律で定められた期限(低濃度PCBは2027年3月31日まで)に従って適正処理する必要があります。PCB非含有機器であっても、撤去物は産業廃棄物としてマニフェスト管理のもと適切に処理します。

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仕様・条件

  • 型番:
    PF-S型キュービクル 1Φ50KVA 3Φ75KVA
    戸上電機PAS 方向性300A 300APTLA LA,VT内蔵
  • 施工条件:
    ビル屋上にあるキュービクルの上げ下ろしにはラフタークレーンを使用しました。ラフタークレーン設置場所からキュービクル設置場所まで高低差並びに距離があったため、作業の仕方についてラフターオペレーターとの打ち合わせを密に行ったうえで実施しました。
  • 安全対策:
    ラフタークレーン使用時は、事故防止のため警備員を配置するとともに、カラーコーンを設置し、作業半径内への立ち入りを禁止しました。高所作業車の使用時は、現場環境に応じて最適なサイズ・仕様のものを選定します。ラフタークレーンと同様に周囲には立入禁止区域を設定し、落下物や車両の転倒事故を防ぐため、作業帯の確保と標識設置を徹底しています。

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