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【工場向け】設備オーナー・担当者が知るべき高圧電気設備の更新計画|生産ラインを止めないために

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コラム

「更新しなければいけないのは分かっている。でも、生産ラインを止めるわけにはいかない」ーー高圧受電設備の更新において、工場の設備担当者が最初に突き当たるのが、こういったジレンマではないでしょうか。

高圧受電設備の更新は、事前の計画さえ正しく立てれば、生産への影響を最小限に抑えることが可能です。

この記事では、工場特有の制約を踏まえた工事の段取りと、設備オーナー様が事前に把握しておくべき重要なポイントを解説します。

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要約

生産停止リスクの最小化
工場の設備更新における最大の懸念である「生産ラインの停止」は、綿密な計画と工夫で最小限に抑えられます。完全無停電は困難ですが、仮設電源の活用や、当日の作業を切り替えのみに絞る徹底した事前準備により、停電時間を数時間程度に収めることが可能です。生産停止による損失と対策コストを天秤にかけ、最適な施工方法を選択することが、工場特有の更新工事を成功させる鍵となります。

精度の高い停電計画の立案
最短の停電時間を実現するためには、事前の現状把握が不可欠です。最新の設備図面と現場を照らし合わせて影響範囲を特定し、ラインごとに「どの程度の停電なら許容できるか」を整理します。この情報をベースに、定期メンテナンスや連休などの生産計画と照らし合わせ、最も影響の少ないタイミングで工事を設定します。現場での判断ミスを防ぐため、当日の連絡体制や復電手順を工事会社と共有しておくことも重要です。

早期相談と更新手法の選択
設備更新には「一括更新」と「段階的更新」があり、予算や設備の状態、将来の生産計画に基づいて判断する必要があります。注意すべきは、高圧受電設備が受注生産品である点です。検討が遅れると故障リスクが高まるだけでなく、納期の問題で選択肢が狭まってしまいます。着工の1年前を目安に動き出し、工場の稼働状況を深く理解できる専門会社へ早めに相談することが、予期せぬトラブルを防ぐ最善策といえます。

工場における高圧受電設備更新の特殊事情

高圧受電設備とは、電力会社から受電した6,600Vの高圧電力を、工場内で使用できる電圧(200V・100Vなど)に変換・分配する設備です。その中核を担うのが、「キュービクル(高圧受変電設備)」です。

工場での電気設備更新が、ビルや商業施設と大きく異なる点は、「停電の影響が製造ラインの稼働に直結する」という点に集約されます。

オフィスビルであれば、一時的な停電でもバッテリー駆動のパソコン等で作業を継続できるケースも少なくありません。しかし、工場では、電源が落ちた瞬間に機械が停止し、製造途中の製品の廃棄や、再稼働のための立ち上げ作業に数時間を要することもあります。

また、24時間・365日稼働している工場のラインでは、「夜間や休日に停電して工事を行う」という選択肢が取れないケースも存在します。高圧機器は受注生産品も多いため、更新を検討し始めてから着工まで、余裕を持って1年前後のスケジュールを想定しておくことが理想的です。

「生産を止めない」更新工事は実現できるか

工事内容と設備構成によっては、生産ラインへの影響を最小化しながら更新を進めることは可能です。

ただし、「完全無停電」ですべてを更新するのは現実的ではありません。主回路の切り離しや接続など、どうしても停電を伴う工程が発生するためです。そこで、以下2つのアプローチで影響を最小限に抑えます。

仮設電源の活用:
仮設の発電機を設置し、工事中の電力を補う方法です。メインの受電設備を切り離しても、生産ラインへの給電を継続できます。追加費用は発生しますが、生産停止による損失額と比較して採用を検討します。

切り替え工事の事前準備を徹底:
当日の作業を「接続の切り替えのみ」に絞り込めるよう、事前に事前に新旧設備の接続確認や試験を済ませておきます。これにより、実作業に伴う停電時間を数時間以内に収めることが可能です。

停電計画の組み方|最短停電時間を実現する段取り

ステップ1:停電の影響範囲を特定する
設備図面(単線結線図)をもとに、どのラインが影響を受けるかを正確に把握します。図面が最新でない場合は、現場の実態と照らし合わせる「突き合わせ作業」が不可欠です。この作業を怠ると、「止まるはずのないラインが止まった」という事態が工事当日に発生しかねません。

ステップ2:停電許容時間をラインごとに整理する
素材の温度管理が必要な工程など、許容時間が特に短いラインを洗い出します。この情報を事前に工事会社に共有いただくことが、無理のない工事計画の出発点になります。

ステップ3:停電タイミングを決める
連休や定期メンテナンス、年末年始など、計画的に生産を止められるタイミングに合わせることで、追加の損失を最小化することが可能です。

ステップ4:工事当日のオペレーション手順を確認する
停電・復電の手順、連絡体制、異常発生時の対応フローを事前に工事会社と共有します。現場で何か起きた際の判断ミスをなくすことが、停電時間の延長を防ぐ鍵となります。

一括更新と段階的更新、工場ではどちらが現実的か

長時間の停電が難しい場合は、設備を一挙に交換するのではなく、まずは必要なところだけ更新する部分更新も選択肢の一つです。

「一括更新(全体を一度に更新)」と「段階的更新(時期を分けて更新)」のどちらを選ぶかは、設備の状態・生産体制・予算の三点から判断します。

段階的更新を選んだ場合でも、更新しない部分の設備が劣化し続ける点に注意が必要です。全体の更新完了まで複数年かかる計画では、その間の設備のリスクを工事会社と常に共有しながら進めることが重要です。

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電気工事士に聞く、工場における電気設備更新

解説者

高橋 宏武
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士

高橋 宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。プロフィールはこちら

インタビュアー

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

工場特有の諸条件

ーーー工場の高圧受電設備の更新工事で、一般のビルや商業施設と大きく異なる点はどこですか?

施工の「やりさすさ」でいえば、立体的なビルや商業施設と比べ、平面的な移動が多い工場の方がスムーズな傾向にあります。しかし、「図面と実態の乖離」という点では、工場の方が難易度が上がることも少なくないです。

工場は長年にわたる稼働の途中で、生産ラインの変更や設備の増設を繰り返すことがあります。そのため、新築当時の図面とはキュービクルの位置が変わっていたり、分電盤が増設されていたりと、図面に載っていない改修が重なる傾向にあります。

だからこそ現地調査が重要になります。図面と異なっていれば、配線ルートを追いかけて「現状がどうなっているか」を正確に把握することに努めます。

ーーーでは、工事計画を立てる上で、事前に工場の設備担当者様やオーナー様に整理してもらうと助かる情報は何かありますか?

見積もりの精度を上げ、後からの追加費用を防ぐために、以下の情報を事前にご準備いただけると非常に助かります。

  • 設置場所の図面(平面・立面・断面)と既存基礎の仕様(厚さ・配筋・耐荷重)
  • 搬入経路の写真や動画、周辺環境(上空配線・庇・車両の進入経路)
  • 作業可能な時間帯や、停電できる時間

キュービクルの工事費用は、設備を「どこに置くか・どう運ぶか・どう固定するか」で大きく変動します。たとえば、屋上設置でラフタークレーンを道路に停めて使用する場合、道路使用許可の取得なども必要になります。

先述の情報が揃っていると、本体価格だけでなく、基礎工事・搬入揚重・据付・電気接続・仮設養生までを含めた、精度の高いお見積りをスムーズにご提示できます。

工事中の対策・工夫

ーーー「生産ラインを止めずに工事する」というのは、可能なのでしょうか?

結論から言えば、発電機などの仮設電源を用意することで、工事中もラインを稼働させ続けることは可能です。ただし、「完全無停電」は不可能だと考えてください。

キュービクルから仮設電源へ切り替える際と、工事完了後に元に戻す際の合計2回、どうしても数十分から1時間程度の停電が必要になります。この「切り替えの瞬間」だけは避けて通れないため、その時間をいかに短縮し、影響の少ない時間帯に設定するかが鍵となります。

ーーー仮設電源を使った工事の場合の、コスト感やリスクについても教えていただけますか?

発電機の設置コストは容量や設置場所、配線するケーブルの太さによって大きく異なります。数万円で済むケースから、数百万円にのぼることもあります。

実際のところ、発電機を検討されるお客さまは全体の1割ほどで、最終的に導入されるのはその半分ほどです。理由はやはりコスト面です。またリスク面では、機械の稼働状況によって予期せぬ電源喪失(発電機の停止)が起こる可能性もゼロではありません。

コストとリスクを天秤にかけ、「1日休業して一気に工事を終わらせる」か「コストをかけてラインを動かすか」の判断が必要です。

まとめ

工場での電気設備更新を成功させるためには、以下の3点が重要です。

  • 停電の影響範囲と許容時間を事前に整理する。
  • 仮設電源や徹底した事前準備により、停電時間を最小限に絞り込む。
  • 納期(受注生産)を見越し、1年前後を目安に早めに計画を立てる。

最も避けたいのは、「故障してから急いで動いたが、納期が間に合わない」というパターンです。高圧機器は決断が遅れるほど選択肢が狭まってしまいます。

恒電社では、工場の生産計画や稼働状況に合わせた工事計画の立案から施工まで、一貫して対応しています。まずはお気軽にご相談ください。

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記事を書いた人

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

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