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キュービクル更新は「全体交換」か「部分更新」か

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#キュービクル

キュービクルの更新を前に、多くの設備オーナーが「まだ使える機器はそのままに、悪いところだけ替えたい」と考えます。

結論を先にお伝えすると、恒電社では「基本的にはキュービクルの全体交換」を勧めることが多いです。これは、単価を上げたいからではありません。部分更新を重ねるほうが、停電調整や工事費の重複でかえって割高になり、設備の中も乱れていくからです。

とはいえ、部分更新が明確に“正解”になる場面もあります。本記事では、その判断基準を現場を担う技術者の言葉とともに整理します。

恒電社が「基本は全体交換」を勧める理由

高橋 宏武
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士

高橋 宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。プロフィールはこちら

恒電社のエンジニアリング事業部長、高橋は以下のように語ります。

恒電社としては、キュービクルに関しては基本的に全体交換を推奨することが多いです

理由は、キュービクル内部の機器が“おおむね同じ時期に”劣化していくためです。悪くなった一台だけを替えても、ほどなく別の機器が寿命を迎え、そのたびに停電の調整と工事費が重なります。

高橋は、部分更新を積み重ねると「結果的に割高になる」と指摘します。恒電社が全体交換を勧めるのは、目先の一回の安さではなく、更新にかかる総額と“停電させる回数”までを抑えたいからです。

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それでも部分更新が「正解」になるとき|納期という現実

もちろん、全体交換がいつも最善とは限りません。実際、部分更新を選択される理由として、最も多いのは、予算の関係です。「最低限必要なところだけ交換したい」という相談は少なくありません。

そして、もう一つ、見過ごせないのが機器の“納期”です。

キュービクル全体だと納期が8カ月以上かかるけれど、機器単体だけなら2〜3カ月で入る

事故リスクが高く、8カ月も待っていられない設備であれば、まず必要な機器を単体で入れて急場をしのぐ——その判断のほうが理にかなう場面があります。恒電社は、全体更新のメリットと、部分更新にした場合の注意点の両方を伝えたうえで、お客様の判断を尊重します。

部分更新を重ねた先に、何が起きるか

一方で、部分更新を繰り返した設備には、共通して起きることがあると高橋は言います。

率直に言うと、見た目がごちゃごちゃしていることがあります
たとえば、電灯用のブレーカーが動力側のスペースに入っていることがあります

その場しのぎの交換を重ねると、機器の配置が本来の設計から崩れていきます。配置が乱れれば、点検のたび、次の工事のたびに、余計な手間とコストがかかります。

もちろん恒電社では、たとえ部分更新であっても、将来の全体交換を見据えたレイアウトを意識して施工しています。

全体交換に踏み切る“決め手”

では、全体交換に切り替える決め手はどこにあるのか。高橋がまず挙げるのはキュービクル本体(筐体)の状態です。

外箱が腐食していて、穴が開きそうになっているような状態であれば、全体交換を考えた方が良いです

外箱は、中の機器を雨風や埃から守る“器”です。ここが傷むと、個別の機器を替えても設備全体を守り切れません。時間軸の目安については、コラム「キュービクルの耐用年数と維持コスト」で高橋が「更新の検討はメーカー耐用年数を目安に進めるのが安心です」と述べ、実務では設置後25〜30年が一つのトリガーとされています。

同記事の「維持コストを下げる一番の方法は『機器を長持ちさせること』に尽きます」という言葉のとおり、“劣化サイン”と“経過年数”の両面から、全体交換か部分更新かを提案します。

予算が足りないなら、どこから替えるか

「全体交換が良いのは分かった。でも一度に全部は難しい」——そんなときの優先順位も、具体的にお示しします。コラム「点検報告書の読み方」の中で、高橋はこう語っています。

電気主任技術者から更新を推奨されている設備は『すべて』対応することをお勧めします

そのうえで、現実に順序をつけざるを得ない場合は——「予算の都合でどうしても順序をつけなければならない場合は、PAS・UGS・高圧ケーブルを優先的に検討することが多いです」理由は明快です。

高圧ケーブルのトラブルは、最終的にパンク(絶縁破壊)として現れます。これは停電に直結するため、優先順位も高くなるんです

そしてもう一点、大きなポイントになるのが“発注のタイミング”です。

コラム「電気主任技術者から更新が必要と言われたら」で高橋は、「近年の半導体不足や物流の停滞により、高圧機器は発注から納品まで半年から1年近くかかる『長納期化』が常態化しています」と指摘し、こう続けます。

『来年施工する』と決める場合であっても、『来年中に工事を完了させるために、今すぐ発注(予算確保)だけは済ませておく』という段階的な計画が必要不可欠となります

恒電社では、全体か部分かの判断だけでなく、優先順位づけと早期発注まで含めて更新計画を設計します。

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まとめ:迷ったら「全体交換」。ただし決め手は現場にある

全体交換と部分更新の選び方を、要点だけ整理します。

  • 迷ったら全体交換が基本(総額・停電回数・配置の面で有利)
  • 事故リスクが高く、8カ月の納期を待てない設備は、必要機器の単体先行も現実解
  • 外箱の腐食や、設置後25〜30年が全体交換の決め手
  • 予算で順序をつけるなら、PAS・UGS・高圧ケーブルを優先(停電に直結するため)
  • 施工が来年でも、発注(予算確保)だけは今

恒電社は、単価の大きい提案を勧めるためではなく、“更新にかかる総額と停電の回数”を抑えるために、この判断基準をお客様と共有します。全体か部分かで迷ったら、まずは設備の状態を一度ご相談ください。

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編集者

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

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