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高圧受変電設備更新の進め方と相見積もりで損をしないコツ|東京都のマンション管理組合さま向けに解説

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#キュービクル, #電気の基礎知識
投稿日:2026年6月17日
更新日:2026年6月18日

「管理会社から高圧受変電設備(キュービクル)の更新を提案されたが、何から動けば良いのか分からない」——東京都内のマンション管理組合の方から、こうしたお悩みの声をよくいただきます。

費用の相場も分からなければ、全館停電が住民生活に与える影響も不安なまま。特に東京都内は敷地が狭く、搬入・施工にも特有の難しさがあります。

この記事では、高圧受変電設備の更新を管理組合として正しく進めるための手順と、相見積もりで損をしないための判断基準を、現場を知る電気工事士が分かりやすく解説します。

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要約

設備の寿命と放置による全館停電・賠償リスク
マンションの電気を変換する高圧受変電設備(キュービクル)は、15〜20年が更新の目安です。寿命を超えて放置すると部品調達に数ヶ月を要し、最悪の場合は長期間の全館停電を招きます。また、故障により周辺地域を巻き込む「波及事故」に発展した場合は、多額の損害賠償を請求される財政的・法的リスクがあるため、電気主任技術者から更新推奨の指摘が出た段階で速やかに対応を始めることが重要です。

東京都内の過密環境特有となる搬入と施工の壁
東京都内のマンションは敷地や前面道路が狭く、重量物である設備を吊り上げるレッカー車が進入できないケースが多々あります。また、設備が屋上や地下に設置されていることも多く、共用廊下やエレベーターを通る際の耐荷重計算や傷を防ぐ養生計画など、高度な搬出入管理が必要です。そのため、契約後に想定外の追加費用やトラブルが発生しないよう、事前に搬入方法や養生計画を業者へ明確に確認しなければなりません。

金額だけに捉われない相見積もりの確認項目
管理組合が工事を進める際は、最低2〜3社から相見積もりを取ることが推奨されますが、比較時は金額だけでなく内容の精査が必要です。「下請けに丸投げしない自社施工か」「マンション特有の住民配慮や養生に慣れた実績があるか」「搬入方法や停電計画が具体的か」といった項目を必ず確認します。さらに、住民への説明や合意形成、半日から丸1日におよぶ全館停電の周知などを工事会社と連携して丁寧に行うことが成功の鍵となります。

マンションにおける高圧受変電設備(キュービクル)とは?

高圧受変電設備(キュービクル)とは、電力会社から送られる6,600Vの高圧電力を、マンション内で使える低圧(100V・200V)に変換するための設備で、建物の契約電力が50kW以上になる場合に、設置が必要になります。主に総戸数が20戸以上の規模のマンションがこれに該当します。

キュービクルが設置されている場合、まずは「電気の配分ルート」を確認しておく必要があります。これによって停電の際の影響範囲が変わ大きく変わります。

共用部にのみ高圧受電を活用する方式

キュービクルを「エレベーターや共用灯、給水ポンプなどの共用部」のためだけに稼働させる方式です。各住戸の部屋の電気は、住民がそれぞれ電力会社と個別に低圧契約を結んで引き込みます。

※この方式の場合、キュービクルの更新工事で停電するのは、「共用部のみ」となり、各部屋の電気やエアコンはそのまま使えます。ただし、エレベーターや水道は止まります。

高圧一括受電方式

共用部だけでなく、すべての住戸(部屋)の電気までマンション全体の電力を丸ごと高圧で一括購入し、敷地内のキュービクルを通じて各部屋へ分配します。

この方式の場合、キュービクルの更新工事を行う際は「マンション全館・全室が完全停電」になります。各部屋の中の冷蔵庫やエアコン、Wi-Fiなども停止するため、住民への事前の周知や緻密なタイムスケジュール管理が欠かせません。

高圧受変電設備の寿命・放置した場合のリスクとは?

更新の目安は「15〜20年」

キュービクルの耐用年数は、業界基準や設備の実態から、一般的に15〜20年が更新の目安とされています。この目安を超えると、内部の変圧器・遮断器・コンデンサといった主要部品が劣化し、メーカーによっては部品の供給が終了しているケースもあります。

「壊れてから交換しよう」と考えていると、部品調達だけで数ヶ月かかり、その間ずっと全館停電が続く——という最悪のシナリオになりかねません。

放置すると「波及事故」のリスクがある

老朽化したキュービクルが故障した場合、自マンションが停電するだけでなく、周辺エリア一帯を巻き込む「波及事故」に発展するリスクがあります。波及事故が起きると、周辺の家庭・事業所への損害賠償を管理組合として請求される可能性があり、財政的・法的に深刻な問題になります。

また、電気事業法に基づき、高圧受変電設備の設置者(マンション管理組合)には保安規程の策定と電気主任技術者による定期点検が義務づけられています(電気事業法第42条・第43条)。年次点検や月次点検の報告書に「更新推奨」の指摘がある場合は、早急に対応する必要があります。

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東京都のマンションならではの「搬入」「施工」2つの壁

東京都内のマンションで高圧受変電設備を更新する際に、地方と大きく異なるのが「搬入・施工環境の難しさ」です。この2つの壁を理解しておくことが、業者選定や見積もり精査の前提になります。

壁①:狭小地・前面道路が細い(レッカー車が入れない問題)

都心部のマンションは、敷地が狭く前面道路も細いケースが多いです。キュービクルはサイズによっては数百キロから1トンを超える重量物になるため、通常はレッカー車(クレーン車)で吊り上げて搬入・搬出します。しかし都内の過密エリアでは、そもそもレッカー車が入れないことがあります。

見積もりの段階で「どうやって搬入するのか」を各社に明確に確認することが重要です。搬入方法が曖昧なまま契約すると、後から追加費用が発生するトラブルになりかねません。

壁②:屋上・地下への設置(搬出入ルートの確保と養生)

東京都内のマンションでは、キュービクルが屋上や地下駐車場に設置されているケースが多いです。こうした環境では、搬出入ルートの計画が工事の難易度を大きく左右します。

共用廊下・エントランス・エレベーターを通じて搬入する場合、床材(インターロッキング等)の耐荷重計算が必要になります。また植栽の保護や共用部の養生(傷・汚れを防ぐための養生シートの敷設など)も欠かせません。こうした配慮を怠ると、マンションの共有財産を傷つけるリスクがあります。

工事会社に「養生計画を事前に提示してもらえるか」を確認することをおすすめします。

▼搬出が難しい場所の施工事例

総会決議から工事当日まで!管理組合の正しい進め方【5ステップ】

管理組合として高圧電気設備の更新を進める際の流れを、5つのステップで整理します。

STEP1:電気主任技術者へのヒアリングと現状把握

まず、自マンションが選任している電気主任技術者に現状報告書を確認してもらいます。

電気主任技術者は年次点検・月次点検を通じて設備の状態を継続的に把握しているため、「いつ頃更新が必要か」「どの部品が特に劣化しているか」という具体的な指摘を得ることができます。この段階で「更新推奨」の指摘があれば、次のステップに進む根拠になります。

STEP2:電気工事会社への相見積もり取得と費用精査

電気工事会社に現地調査を依頼し、見積もりを取得します。複数社(最低2〜3社)から相見積もりを取る場合も少なくありませんが、見積もりを比較する際は、金額だけを見てはいけません。必ず以下の項目を確認してください。

確認項目なぜ重要か
自社施工か、協力会社(下請け)への委託か施工が下請け・孫請けへ丸投げされている場合、責任の所在が曖昧になりやすいため
マンションの施工実績があるか住居設備ならではの配慮(養生・停電管理等)に慣れているかの判断基準
搬入方法が明記されているか重機や交通整備など、後から追加費用が発生するトラブルを防ぐため
停電時間の計画が具体的か住民・テナントへの影響を事前に把握するため
工事後の保証・アフターフォロー体制引き渡し後のトラブル対応を確認するため

費用の目安は設備の規模・設置場所・搬入条件によって大きく異なりますが、一般的なマンション(50〜100戸規模)では数百万〜1,000万円を超えるケースもあります。

資材の高騰も続いているため、予算と照らし合わせ、必要に応じて計画修繕の優先順位を見直してください。

STEP3:住民への周知と合意形成(総会や理事会での決議)

工事費用・工期・停電の影響が固まったら、必要に応じて住民説明会や組合の総会にて工事内容を周知します。事前に十分な情報提供を行い、住民の理解を得てから進める必要があります。

STEP4:工事計画の策定と全館停電スケジュールの確定

電気工事会社とともに、全館停電のタイムスケジュールを確定させます。エレベーター・給排水ポンプ・オートロック・インターホンなど、停電中に使用できなくなる設備を網羅的に洗い出したうえで、住民への周知文書を作成します。

停電時間は工事規模によって異なりますが、半日〜丸1日程度かかることが多いです。停電時間帯の選定(平日の日中・休日など)も住民への影響を最小化するうえで重要な判断になるため、電気工事会社と管理組合で十分に協議してください。

STEP5:工事実施と引き渡し後の検査

工事当日は電気工事会社が主導して施工を進めます。完工後は電気主任技術者による竣工検査を経て、電力会社への所定の手続きが完了すれば通電・復旧となります。

電気工事士に聞く、東京都内のマンションでの高圧電気設備更新の特徴

解説者

高橋 宏武
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士

高橋 宏武

大学卒業後、恒電社に入社したプロパー社員。電気工事士として、住宅の電気工事に加え、法人向けの高圧電気設備工事の直接提案を開始するなど、現在の会社の礎を創ってきたメンバー。2020年からは事業部長として、エンジニアリング事業部を統括している。プロフィールはこちら

インタビュアー

岩見 啓明
第二種電気工事士/二等無人航空機操縦士

岩見 啓明

前職はWebメディアの編集者。恒電社に参画後はマーケティングに従事し、現在は採用全般も担当している。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローン)資格、2024年に第二種電気工事士資格を取得。プロフィールはこちら

ーーーマンションならではの、高圧電気設備工事の特徴はありますか?

マンションの場合、受変電設備がキュービクル(屋外設置型の箱型設備)ではなく、建物内の電気室に設置されているケースが多く見られます。そういった場合、工場や屋上設置型の施工方法とは異なる進め方が必要 です。

また、共用部と各住戸とで受電を分けているマンションも少なくありません。この場合、電力会社が管理する「借室」と、マンション側が管理する通常の電気室とが別々に存在する形になります。

ーーーその場合、各部屋への配電は、どのように行われているのでしょうか?

電力会社の借室内に設置された受変電設備で電気を分配し、各部屋へ送る仕組みになっています。契約についても、マンション側が一括して結ぶのではなく、各住民の方が個別に電力会社と契約を結ぶ形になります。

ーーーマンションの電気設備工事における特徴として、他にも何かありますか?

高圧電気設備の更新においてマンション特有の難しさが生じるのは、技術面だけではありません。むしろ「住民の皆様への説明と合意形成」という点に、独自の難しさがあると感じています。

これまでの経験上、更新工事そのものに反対されるケースはほとんどありません。一方で、「まだ普通に使えているのに、なぜ交換が必要なのか」というご質問は、多くのマンションで共通してよく挙がる声です。

「設備の耐用年数を超過している」という事実だけをお伝えしても、住民の皆様にはなかなか実感していただけないのが実情です。そこで効果的なのは、耐用年数の話を「生活への影響」という形に翻訳してお伝えすることです。

私たちとしては、停電時の生活への支障や復旧までの時間といった具体的な影響を踏まえながら、管理組合のご担当者様に更新の必要性をご説明させていただいています。

まとめ

この記事のポイントは以下の3点です。

  • キュービクルは15〜20年が更新の目安です。老朽化による波及事故は、周辺エリアへの損害賠償リスクに直結します。予防保全の観点から、電気主任技術者の指摘が出た段階で早めに動くことが重要です。
  • 東京都内は搬入・施工環境が厳しく、「レッカー車が入れない」「屋上・地下設置で養生が必要」といった現場固有の課題があります。技術力と段取り力のある工事会社の選定が、工事の成否を左右します。
  • 相見積もりでは金額だけでなく、「自社施工か」「マンション施工実績があるか」「搬入方法が明記されているか」「住民説明会への同席対応が可能か」を必ず確認してください。

恒電社では、マンション管理組合の方を対象とした高圧電気設備の現地調査・ご相談を承っています。「電気主任技術者から更新を勧められた」「費用の目安だけでも知りたい」という段階でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。

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記事を書いた人

蕨川 真央
恒電社

蕨川 真央

教育・医療業界を経験したのち、結婚出産を経て恒電社に参画。現在は、マーケティングや採用領域のアシスタントとして従事する。プロフィールはこちら

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