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進相コンデンサ(SC)とは?役割・力率と電気料金の関係・交換時期15年の目安と交換時の注意点

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#キュービクル
投稿日:2026年10月2日
更新日:2026年10月2日
進相コンデンサ SCとは? 力率・電気料金・交換時期の目安

進相コンデンサは、キュービクルなどの高圧受電設備で、変圧器や遮断器と並んで使われる機器です。電気主任技術者の点検報告書に「コンデンサ」「SC」と書かれていたら、この機器のことです。

進相コンデンサ(SC)は、受電点の力率を改善する機器です。力率が上がると、電力会社側から流れ込む電流が減り、契約中の料金メニューに力率割引・割増しがある場合は基本料金の低減につながります。日本電機工業会(JEMA)は、高圧進相コンデンサと直列リアクトルの更新推奨時期を15年としています。高圧進相コンデンサは内部劣化の点検・試験が難しく、劣化・故障した場合は更新する機器です。

この記事では、進相コンデンサの役割と力率の仕組み、電気料金との関係、交換時期と劣化のサイン、交換するときに直列リアクトルや容量まで確認する理由を、設備オーナー・設備担当者の方向けに解説します。

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要約

進相コンデンサの役割
モーターや変圧器などコイルを使う機器は、仕事に使われない無効電力を電力会社側とやり取りします。進相コンデンサはこの無効電力を打ち消して受電点の力率を上げ、流れる電流を減らします。

電気料金との関係
東京電力パワーグリッドの託送供給等約款では、高圧の力率が85%を1%上回るごとに基本料金を1%割引し、1%下回るごとに1%割増しします。ただし軽負荷時に進み力率にならないよう、コンデンサの容量を負荷に合わせる必要があります。

交換時期と交換時の確認
JEMAの更新推奨時期は、コンデンサ・直列リアクトル・放電コイルとも15年です。交換時は、直列リアクトルとの規格の組み合わせ、今の負荷に合った容量、絶縁油の分析の要否、停電の日程を合わせて確認します。

進相コンデンサ(SC)とは|キュービクルの中で力率を改善する機器

力率とは

モーター(電動機)や変圧器のように、コイルを使う機器は、仕事に使われる電力(有効電力)のほかに、コイルの磁界をつくるための電力(無効電力)も電力会社側とやり取りしています。無効電力のぶんだけ、同じ仕事をするのに流れる電流が大きくなります。

力率は、電圧と電流をかけた値(皮相電力)のうち、有効電力が占める割合です。100%に近いほど、仕事に使われない電流が少ない状態です。力率は、使用する負荷設備の種類や稼働状況によって変わります。

コンデンサが力率を上げる仕組み

コンデンサは、コイルとは逆向き(進み)の無効電力を出します。進相コンデンサは、コイルを使う機器の遅れ無効電力をコンデンサの進み無効電力で打ち消し、受電点の力率を上げる機器です。「SC」は英語名の Static Capacitor の略です。

高圧の進相コンデンサは、キュービクルの高圧側に、開閉器を介して接続されています。力率の改善で電流が減るのは、コンデンサの接続点より電源側(電力会社側)の部分です。変圧器や、変圧器から先の低圧の配線を流れる電流は、高圧のコンデンサでは変わりません。

高圧の進相コンデンサで電流が減る範囲の図。電力会社・受電点・変圧器・モーターなどの負荷が順に並び、受電点と変圧器の間に進相コンデンサが接続されている。電力会社から接続点までが電流が減る範囲、接続点から負荷までは電流は変わらない

一緒に設置される直列リアクトルと放電コイル

キュービクルでは、進相コンデンサの近くに、次の機器が組み合わせて設置されています。

機器役割
進相コンデンサ(SC)進み無効電力を出し、受電点の力率を上げる
直列リアクトル(SR)コンデンサと直列につなぎ、高調波による電圧のひずみを抑え、コンデンサを入れたときの突入電流と異常電圧を抑える
放電コイルコンデンサを回路から切り離した後に残る電荷を放電する

JEMAによると、JIS C 4902:2010は直列リアクトルを取り付けて使うことを原則としており、高圧受電設備規程(JEAC 8011-2014)は、原則としてコンデンサのリアクタンスの6%または13%の直列リアクトルを施設するよう定めています。

力率と電気料金の関係|85%を基準に基本料金が増減する

東京電力パワーグリッドの託送供給等約款(2026年10月1日実施)では、高圧で受電する場合の力率に、供給地点ごとに、その1か月の毎日午前8時から午後10時までの有効電力量・無効電力量から算定した平均力率を用います。力率が85%を上回ると、上回る1%ごとに基本料金を1%割引し、85%を下回ると、下回る1%ごとに1%割増しします。

力率(1か月の毎日午前8時〜午後10時を対象に算定)基本料金への影響
80%5%割増し
85%割引・割増しなし
90%5%割引
95%10%割引
100%15%割引

同じ約款では、瞬間の力率が進み力率になった時間は、その力率を100%として計算します。コンデンサの容量を増やして進み力率にしても、割引は力率100%のときの15%より大きくなりません。なお、まったく電気を使用しない月など、有効電力量がゼロの場合は85%とみなします。

この規定は、送配電事業者が小売電気事業者に請求する託送料金のものです。契約中の料金メニューに力率割引・割増しがあるか、どう計算するかは、契約先の電力会社の約款や契約書で確認してください。電気料金の請求書や検針結果のお知らせに力率の欄があれば、その値で自社の力率を確認できます。基本料金の仕組みは、法人の電気料金の内訳を解説した記事で詳しく紹介しています。

コンデンサの容量が多すぎると起きること|軽負荷時の進み力率

夜間や休日など電気の使用が少ない時間(軽負荷時)に、コンデンサの容量が負荷に対して多すぎると、受電点の力率が進み力率になります。東京電力パワーグリッドの託送供給等約款は、高圧で受電する場合、力率を原則として85%以上に保つことと、軽負荷時に進み力率にならないようにすることを定めています。技術上必要な場合は、送配電事業者がコンデンサの開閉や容量の協議を求めることがある、とも書かれています。

中部電力パワーグリッドは、需要家のコンデンサが出す進み無効電力が系統の電圧上昇の一因になっているとして、電気工事店と電気主任技術者に向けて、コンデンサ容量の適正化を求める資料を公開しています。同資料によると、コンデンサの容量を「三相変圧器容量の3分の1程度」とする従来の選定基準は、2014年5月の高圧受電設備規程(JEAC 8011)改定で使われなくなり、負荷設備の種類と稼働率から容量を算定する方法に変わりました。容量が300kvarを超える場合は2群以上に分けて設置することや、軽負荷時にコンデンサを自動で開放する自動力率制御装置の採用を検討することも求めています。

同資料は、負荷機器が減ったことなどで、自動力率制御装置があっても過度な進み力率になっている場合があるとして、設定の見直しも求めています。生産設備を減らした工場や、テナントが入れ替わって使い方が変わった建物では、設置したときの容量のまま交換すると、軽負荷時に進み力率になることがあります。交換の前に、今の負荷に合った容量かを電気主任技術者と確認します。

点検で「コンデンサの交換」を勧められたものの、直列リアクトルも替えるべきか、変圧器などほかの機器とまとめるべきかで迷う場合は、キュービクルの部分更新としてご相談いただけます。恒電社が対応しているキュービクルの更新・修繕工事の範囲と進め方は、以下のページで確認できます。

進相コンデンサの交換時期と劣化のサイン

更新推奨時期は15年

JEMAの「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(2023年3月改訂版)では、高圧進相コンデンサ、直列リアクトル、放電コイルの更新推奨時期を、いずれも15年としています。更新推奨時期は製造者の保証値ではなく、通常の環境で通常の保守点検をしながら使った場合に、新品に交換したほうが経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期です。

進相コンデンサは本体のケースが密閉されていて、内部の劣化を点検や試験で確かめにくく、ケースやブッシング(端子の碍子部分)も修理できません。同報告書は、劣化・故障したら更新するほかに性能が戻らない「非修理系」の機器に分類しています。JEMAは、15年以上使っているコンデンサと直列リアクトルを、早めに取り替えるよう呼びかけています。使い始めた時期が分からない場合は、銘板の製造年が手がかりになります。

劣化を早める条件

同報告書によると、コンデンサの劣化に影響するのは温度・電圧・電流です。規定値を上回る温度・電圧・電流で使用すると劣化が大きく進み、同報告書は、温度が7〜8℃上がると寿命が半分になると言われていることを例に挙げています。インバーターなどの機器から出る高調波の電流がコンデンサに流れ込むと、発熱が増えて熱による劣化が進み、コンデンサにかかる電圧のピークも上がります。

点検で確認される主な項目

JEMAが示す高圧進相コンデンサ設備の点検項目は、次のとおりです。

確認する項目内容
外観油漏れ、ケースの膨らみ、亀裂、さび・腐食
音振動・びびり音などの異常音
碍子・端子碍子の汚れ・亀裂、端子接続部の変色・緩み
電流各相の電流と相間のバランス。高圧受電設備用(許容電流種別Ⅱ)について、JEMAは定格電流の130%以上の場合、高調波電流が流れ込んでいるおそれがあるとしています
温度異常な温度上昇がないか

コンデンサには、異常な温度上昇や内部の異常を検出する保護接点を備えたものがあり、JEMAはその接点を使って上位の遮断器や開閉器を開き、保護するよう求めています。これらの点検は、月次点検・年次点検を担当する電気主任技術者が行います。点検報告書で指摘を受けたときの読み方と次の手順は、点検報告書の読み方を解説した記事で紹介しています。

進相コンデンサを交換するときに確認すること

進相コンデンサの交換で確認する4つのこと。1 直列リアクトル・放電コイルの規格と年数、2 今の負荷に合った容量、3 絶縁油の分析の要否、4 停電の日程とまとめて替える機器

直列リアクトル・放電コイルの規格と年数

JEMAによると、1990年版以前の旧JISに準拠した機器と、1998年版以降の現JISに準拠した機器を組み合わせると、直列リアクトルのリアクタンス(%)が変わって危険です。旧JIS品は、例えばコンデンサの定格電圧が6,600Vのようにリアクタンスを考慮していない表示で、現JIS品は7,020Vのようにリアクタンスを考慮した表示です。JEMAは、旧JISの機器を交換するときは、組み合わせるほかの機器も現JIS品に替えるよう求めています(13%の直列リアクトルの場合は問題ないとしています)。

旧JIS品と現JIS品を混ぜて使うと直列リアクトルのリアクタンスが変わる場合があるため、交換の前に直列リアクトルと放電コイルの銘板(規格・製造年)も確認します。直列リアクトルと放電コイルも更新推奨時期は15年なので、コンデンサと同じ時期に設置したものは、まとめて交換するかを検討します。

今の負荷に合った容量にする

コンデンサを交換するときは、容量も見直します。設置当時と同じ容量で入れ替える前に、負荷設備の種類と稼働率から、今の負荷に合った容量を確認します。300kvarを超える場合は2群以上に分割し、軽負荷時の進み力率を避けるため、自動力率制御装置の採用も検討します。自動力率制御装置が付いている場合は、装置の年数と設定も合わせて確認します。

古いコンデンサは絶縁油の分析が先になることがある

製造年やメーカーによっては、絶縁油に微量のPCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入している可能性を否定できないコンデンサがあります。密閉型のコンデンサは外観から判断できないため、メーカー・製造年・型式などを確認し、分析が必要と判断された機器は絶縁油を採取して分析します。本体に穴を開けて採油する機器は、分析後に使い続けられないため、交換と合わせて計画します。

分析には数週間から1か月ほどを見込んだ例があり、実際の所要期間は分析の依頼先に確認します。結果が出るまで撤去したコンデンサを現地で保管した例もあり、保管場所と処分方法は事前に確認します。相談の際は、コンデンサの銘板(メーカー・製造年・型式・容量)の写真があると、確認が早く進みます。

停電の日程と、ほかの機器とまとめるか

進相コンデンサの交換作業では、キュービクルを停電させます。テナントビルや営業中の施設では、業務への影響を考慮して夜間・休日に作業する場合があり、コンデンサ1台の交換で、機器の搬入から作業終了まで4時間ほどを見込んだ例があります。交換後は工事内容に応じた試験・確認を行います。試験の範囲や復電時の立会いの体制は、電気主任技術者などの関係者と事前に調整します。停電時間の決まり方と短くするための準備は、停電時間を短くする準備を解説した記事で紹介しています。

変圧器や遮断器(VCB)など、ほかの機器も更新時期が近い場合は、同じ停電でまとめて交換すると、停電と立会いの回数を減らせます。その代わり一度にかかる費用は大きくなるため、機器ごとの年数と状態を並べて判断します。キュービクル全体を替えるか、一部の機器だけを替えるかの考え方は、全体交換と部分更新の選び方を解説した記事で詳しく紹介しています。

施工事例

恒電社が担当した高圧進相コンデンサの交換工事を2件紹介します。

高圧進相コンデンサ交換工事|埼玉県 鴻巣市・物流会社
高圧進相コンデンサ(SC)交換工事|埼玉県さいたま市

埼玉県鴻巣市の物流会社様の事例は、電気主任技術者様の定期点検でコンデンサの老朽化を指摘されたところから始まります。密閉型のコンデンサで外観から含有の有無を判断できなかったため、先に絶縁油の分析を行い、分析と交換を一つの工程として計画しました。分析結果は非含有でしたが、老朽化への対策として更新し、お客様の業務に合わせて休日に作業しました。点検で指摘を受けた後に、分析の期間や停電日をどう組むかを知りたい方の参考になります。

埼玉県さいたま市の事例では、老朽化した高圧進相コンデンサを交換しました。老朽化したコンデンサを使い続けた場合のリスクと、更新推奨時期(15年)を目安にした計画的な更新の考え方を紹介しています。

まとめ

  • 進相コンデンサ(SC)は、コイルを使う機器の遅れ無効電力を打ち消し、受電点の力率を上げる機器です。
  • 東京電力パワーグリッドの託送供給等約款では、力率85%を基準に、1%ごとに基本料金を1%割引・割増しします。契約中の料金メニューでの扱いは、契約先の約款で確認します。
  • JEMAの更新推奨時期は、コンデンサ・直列リアクトル・放電コイルとも15年です。高圧進相コンデンサは内部劣化の点検・試験が難しく、劣化・故障した場合は更新する機器です。
  • 交換時は、直列リアクトルとの規格の組み合わせ、今の負荷に合った容量、絶縁油の分析の要否、停電の日程を合わせて確認します。

点検は電気主任技術者、工事は電気工事会社と役割が分かれています。恒電社は、進相コンデンサの交換を含むキュービクルの部分更新・全体更新の工事を行っており、点検報告書の内容をもとに工事の範囲を整理します。

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進相コンデンサの交換では、直列リアクトルとの組み合わせ、容量の見直し、絶縁油の分析の要否、停電日の調整を合わせて決めるため、交換する機器の範囲は、点検報告書の指摘に加えて銘板・負荷・停電の条件を見て決めます。点検報告書や機器の銘板の写真をお送りいただければ、交換する機器の範囲と進め方をご提案します。

この記事を書いた人

蕨川 真央
株式会社恒電社

蕨川 真央

教育・福祉などの業界を経て、2025年に恒電社に入社。カスタマーサクセスチームの一員として、採用やマーケティングを担当する。

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