更新日:2026年10月3日
本記事では、高圧受変電設備の入り口に設置されるPAS・UGS・UASなどの区分開閉器の交換(更新)工事を解説します。工事は、①相談・現地確認・見積り、②電力会社との手続きと停電日の調整・機器の手配、③工事当日の停電・撤去・据付・試験・復電、④完了後の支払い、という順で進みます。
PASは「Pole Air Switch」の略で、電柱上に設置される気中負荷開閉器です。地中線で受電する建物では、主に電力会社の高圧キャビネット内に、SF6ガスを使うUGS(Underground Gas Switch)や、気中式のUAS(Underground Air Switch)が設置されます。
いずれもSOG制御装置と組み合わせ、構内で地絡が起きたときは開放し、短絡のときはいったんロックして配電線が無電圧になってから開放することで、周辺の建物まで停電させる「波及事故」を防ぐ機器です。
日本電機工業会(JEMA)の報告書では、更新推奨時期の目安を、高圧交流負荷開閉器の屋外用は「使用開始後10年、又は定格負荷電流開閉回数200回」、屋内用は「使用開始後15年、又は定格負荷電流開閉回数200回」、GR付開閉器の制御装置は「使用開始後10年」としています。
これは通常の環境の下で、通常の保守・点検を行って使用した場合の目安です。屋内用・屋外用は機器の構造による区分のため、設置場所だけで判断せず、対象機器の仕様を確認します。製造者の保証値や法律で決まった交換期限ではありませんが、負荷開閉器が故障すると建物が全停電し、配電線への波及事故になれば他の需要家も停電するおそれがあるため、計画的な更新が大切です。
本記事では、PAS・UGS・UASの更新工事を「事前相談・見積り」「工事準備」「工事実施」「工事完了後」の4つの段階に分けて、それぞれの段階でオーナー様が行うことと、費用の内訳を解説します。
PAS・UGS・UASの役割や、SOGとの関係、交換時期の目安を先に確認したい方は、次の2つの記事で詳しく解説しています。
- PAS(高圧気中負荷開閉器)の役割・SOGとの関係・交換時期の目安:PASが責任分界点で配電線から自社設備を切り離す仕組みと、SOGとの関係を解説しています
- UGS・UASの役割、UGSとUASの違い、PASとの違い:地中線で受電する建物のUGS・UASの役割と違い、PASとの違いと更新時期を解説しています
工事の範囲と進め方をサービスページで確認したい方は、こちらをご覧ください。
PASやUAS(UGS)は交換作業そのものが短時間でも、電力会社との調整と停電日程の確保に時間がかかり、工事日が見通せないことがあります。恒電社は電力会社への申請と停電日程の調整を含めて更新工事を進めます。
監修
高橋 宏武
❶事前相談・見積り段階
1)お問い合わせ・必要書類の提出【お客様】
まずは電気工事会社(更新工事を請け負う業者)へ「設備を交換したい」「見積りを依頼したい」と相談します。この初期問い合わせの際に、オーナー様側でご準備いただきたい主な書類・情報は以下のとおりです。
- 設備の点検記録(定期点検報告書):保安業務を委託している電気保安法人・電気管理技術者や、選任している電気主任技術者から交付された月次・年次点検の報告書があれば用意します。過去の指摘事項や不具合履歴が分かると、新しい機器を選定する際に役立ちます。
- 受電設備の図面類:現在使用している受電設備の単線結線図や構内配置図です。手元にない場合は、電気主任技術者に保管状況を確認しましょう。
問い合わせを受けた工事会社は、交換工事に必要となる書類の提出を依頼するとともに、工事の大まかな流れや概算の費用感、スケジュール感について説明します。
オーナー様としては、上記書類を準備しつつ、希望する工事時期や、点検で指摘された内容・気になっている症状(錆、異音、SOGの不具合など)を伝えておくとスムーズです。
2)現地確認の実施【電気工事会社】
工事会社の担当者が実際の設置場所や既存設備の現地確認を行います。
担当者がオーナー様立会いのもと設備の状態を確認し、交換工事の可否や詳細な要件、必要な機材・資材を洗い出します。現地確認で主にチェックされるポイントは以下のとおりです。
- 設置場所と作業条件の確認:PASが設置されている電柱や、UGS・UASが入っている高圧キャビネットの場所を確認し、交換作業の方法を検討します。電柱上のPASなら高所作業車の設置スペースや道路幅、周囲の障害物(樹木・看板等)をチェックします。UGS・UASの場合はキャビネットまわりの作業スペースや搬入経路を確認します。公道で作業する場合は、道路使用許可が要るかどうかもこの時点で確認します。
- 既存設備の劣化状態:交換対象のPAS・UGS・UAS本体や、SOG制御装置、避雷器の有無などの現状を確認します。腐食や破損がないかを確認するとともに、高圧引込ケーブルや支持金物、腕金などの状態も確認し、あわせて交換・補修すべき箇所がないか洗い出します。
- 必要機器と工法の検討:新たに設置する機器の仕様を検討します。構外(電源側)で起きた地絡による不要な動作を抑える方向性SOG付きの機種があり、選定の重要なポイントになります。
周辺環境によっては耐塩害仕様の機種を選ぶなど、設置環境に合った機種を検討します。あわせて、交換作業に必要な人数や車両(高所作業車・クレーン車など)も検討します。
確認の結果、新たな課題や追加工事項目が判明した場合でも、この段階でしっかり洗い出しておくことで後々のトラブル防止につながります。
3)正式見積書・工事計画書の提出【電気工事会社】
現地確認で得られた情報をもとに、工事会社は交換工事の見積書を作成します。見積書の提示までの期間は、現地確認の内容や機器の納期の確認状況によって変わります。見積書には以下の内容が明記されます。
- 工事名称・工事範囲:例:「PAS・SOG制御装置更新工事」等、今回の交換対象となる機器や範囲が記載されます。
- 工事費用の内訳:PAS・UGS・UAS本体やSOG制御装置の機器代、工事施工費(人件費・車両費用等)、付帯工事費(古い機器の撤去処分費など)が内訳として示されます。特殊条件による割増費用(夜間・休日施工や狭所作業など)があれば項目に含まれます。
- 工事期間:停電して作業する日のほか、事前準備や後片付けを含めた日程が記載されます。天候等で順延する場合の予備日について触れられる場合もあります。
- 適用条件:見積り有効期限や支払い条件、注意事項などが添えられます。
費用は、電柱の位置や引込線の条件、SOG制御装置や高圧ケーブルを同時に更新するかどうか、高所作業車やクレーンの要否、休日・夜間の施工かどうかで変わります。たとえば恒電社がPAS・LBSの交換と高圧ケーブルの張替えをあわせて行った埼玉県久喜市のテナントビルの事例では、工期7日・停電時間4時間・費用レンジ101〜500万円でした。
オーナー様は提示された見積書の工事範囲と金額を十分に確認しましょう。不明な費用項目があれば施工業者に質問し、納得したうえで次の意思決定に進みます。
場合によっては工事内容の調整(例えば「今回はPASだけでなくSOG制御装置や高圧ケーブルも交換したほうがよいのか?」等)について業者からアドバイスを受けることもあります。そうした点も踏まえて検討し、社内稟議や予算取りを進めます。
また、恒電社ではこのタイミングで工事計画書を作成し、送付しています。ご希望の時間帯をヒアリングした上でスケジュール表を作成しますが、受注前で電力会社との手続きもまだ済んでいないため、未確定の段階です。計画書には、他にも工事の概要、日程、作業手順、安全対策、緊急時対応などが記載されます。
4)契約手続き【お客様+電気工事会社】
提示された見積りおよび工事内容に納得したら、工事会社との正式な契約を交わします。ここで契約が成立したら、以降は工事会社が中心となって、電力会社との手続きに必要な書類の準備や工事準備を進めていきます。
契約にあたり、もし費用面で調整が必要な場合はこの時点までに行います。たとえば複数社から相見積りを取得している場合、金額やサービス内容を比較して発注先を選定します。また契約に際しては、以下の書類をご提出いただきます。
- 直近の「電気料金明細書」:契約中の電力会社のお客様番号や契約電力が記載されています。
高圧設備工事は専門性が高いため、価格だけでなく実績や対応力を考慮して発注先を決めることが重要です。なお、設備オーナーがビル管理会社や設備管理会社を経由せず直接専門の電気工事会社に発注することで、中間マージンを省けるケースもあります。
最後に、契約書には工事内容や金額のほか工事予定時期も明記されます。東京電力パワーグリッドは、点検などに伴う開閉器操作について、土日・祝日等の営業時間外を指定すると希望に添えないことがあると案内しています。土日祝日の工事を希望される場合は、日程が決まるまで時間がかかることがあります。早めに方針を決めておくことをお勧めします。
ここで決めた大まかな工事時期をベースに、次の段階で電力会社との具体的な日程調整へと進みます。
❷ 工事当日までの準備・申請
5)電力会社との手続きの確認・申込み【電気工事会社+お客様】
PAS・UGS・UASは電力会社の配電線との境にある機器です。そのため契約後は、交換に必要な電力会社側の作業と電力会社と必要な手続きを確認し、必要な申込みと停電日の調整を進めます。
東京電力パワーグリッドの案内資料では、PAS取替やケーブル張替などは「電気需給に関係する設備変更のお申込み」に区分され、小売電気事業者を通じて申し込む流れが示されています。電力会社側の作業は、電力会社の引込用開閉器がある場合はその開閉器の操作、ない場合は引込線の切断・接続です。UGS・UASの取替を含め、実際の窓口や必要書類は契約先の小売電気事業者や電力会社に確認します。
恒電社では、この手続きに必要な書類の準備をサポートしています。準備する資料の例は以下のとおりです(求められる資料は電力会社や工事内容によって異なります)。
- 受電設備の単線結線図:更新後の新しいPAS・UGS・UASを反映した高圧受電設備の結線図面です。
- 構内配置図:PASや高圧引込の位置関係が分かる見取図です。屋外のPASなら電柱の位置、UGS・UASなら高圧キャビネットの場所が示されます。
- 現地写真:設備周辺の状況が分かる写真を求められる場合があります。
なお、年次点検などで電力会社に引込用開閉器の操作を依頼する場合は、東京電力パワーグリッドでは「開閉器操作のお申込み」という別の手続きになります。こちらは2016年10月1日以降の申込みから有償で、希望日の1か月(31日)以上前(電力会社の引込用開閉器がない場合は60日以上前)の申込みが必要とされています。
6)工事日程の調整・確定【お客様+電気工事会社+主任技術者】
必要な手続きと並行して、実際に工事(停電作業)を行う日程の調整を進めます。電力会社の作業が必要になる場合は、電力会社側の都合も考慮して日程を決める必要があります。流れとしては以下のようになります。
- オーナー様および電気主任技術者から希望日の聴取:まず工事会社がオーナー様に対し、都合の良い日や、停電しても支障の少ない時間帯などの希望を複数挙げてもらいます。同時に、設備の保安を担う電気主任技術者にも立会い可能な日程を確認します。
- 電力会社へ候補日の提示:取りまとめた複数の希望日程候補を電力会社に提示し、電力会社側の作業可能日を打診します。
- 電力会社から作業可能日の回答:電力会社は作業の予定や要員の状況を踏まえて回答します。希望日がすべて埋まっていて、別の日を提案されることもあります。
- 最終日程の確定:電力会社から提示された候補日の中から、オーナー様・工事会社・主任技術者の三者で最終的な工事日を決定します。停電による業務影響をできるだけ小さくできる日時を考慮して調整します。一度決まった工事日は変更が難しいため、社内調整(テナントや従業員への周知など)も念頭に置きながら決めます。
※PAS・UGS・UASの更新工事は関係者が多く、日程調整に時間がかかります。PASについて恒電社が取材した際には、交換作業自体は条件が揃えば2〜3時間程度で完了することが多い一方、電力会社との調整や停電日・作業日の確保といった事前準備に時間がかかるケースがほとんどだという現場の声がありました。
停電時間全体は、試験や復電の作業、同時に行う工事の内容などによって異なります。施設の稼働を止められる日が限られる場合や、年度の切り替えに合わせたい場合などは、余裕をもってスケジュール調整を開始しましょう。
7)機器・資材の手配【電気工事会社】
機器の納期や手配できる時期を確認し、停電日の調整と並行して必要機材の手配を進めます。交換用の新しいPAS・UGS・UAS本体やSOG制御装置、付帯部材(高圧ケーブルの端末処理材、支持金具、ボルト・ナット類など)を工事会社が発注・準備します。
機器の納期は製品や時期によって変わるため、工事日に間に合うよう早めに発注します。
また工事に使用する車両・工具類の準備も行います。例えば電柱上のPAS交換では、高所作業車やクレーン車を使用します。道路幅や現地条件に合った車両を手配し、必要なら事前に搬入経路の下見も行います。
停電時間を短くするため、停電前にできる準備作業は前もって済ませておくよう工程を組みます。
8)各種許可申請の提出【電気工事会社】
必要に応じて行政への許可申請も行います。例えば高所作業車やクレーン車を公道に止めて作業する場合は、道路交通法に基づき、所轄警察署長の「道路使用許可」を事前に受けます。工事の内容によっては、道路法に基づく道路管理者の「道路占用許可」が必要になる場合もあります。申請手続きは工事会社が行い、申請にかかる費用の扱いは見積りの段階で確認します。
関係各所への連絡(ビル管理会社への作業通知など)が必要な場合も、この段階で漏れなく済ませておきます。
9)周辺テナント・近隣への周知【お客様】
工事当日に停電や作業音が発生する場合、事前に周囲への周知と協力依頼を行うことも重要です。特にビルや工場の場合、同じ建物のテナント企業や施設利用者に対し停電予定の日時を通知し、理解を得る必要があります。オーナー様(またはビル管理会社)は「停電のお知らせ」文書を作成し、配布・掲示しましょう。通知内容には停電時間帯や工事内容、問い合わせ先などを明記します。
停電に伴い各テナントに協力してもらいたい事項も事前に伝えます。例えば「○時までにPCやサーバをシャットダウンしてください」「エレベーターが停止します」「冷蔵設備の扉の開閉を控えてください」などです。
また、近隣住民にも騒音や作業車両の出入りについて必要に応じ周知しておきます。停電中も止められない設備がある場合は、仮設発電機の手配なども工事会社と相談しましょう。
以上が工事前日までの準備段階です。
❸ 工事当日の作業
10)関係者による最終打ち合わせ【お客様+電気工事会社+主任技術者+電力会社】
いよいよ工事当日です。まず作業開始前に、オーナー様(設備担当者)、工事会社の作業員、電気主任技術者が、当日の作業手順や安全管理、各自の役割分担を再確認します。電力会社の作業員が立ち会う場面では、電力会社側の作業との順番もあわせて確認します。
この場では、工事計画書に沿って当日の流れを確認し、特に安全確保について念入りに確認します。停電の手順(どの順序で開閉器を操作するか)、作業箇所、非常時の連絡系統などを打ち合わせます。
使用工具・保護具や高所作業車の点検、道路使用許可証の携行なども確認し、準備が整ったら停電作業に移ります。
11)高圧受電設備の停電措置【電力会社+主任技術者】
事前に確認した操作手順に従い、建物側では電気主任技術者の立会いのもとで主遮断装置など受電設備側の開閉器を開放し、電源側では電力会社が停電のための作業を行います。東京電力パワーグリッドの資料では、PAS取替の場合の電力会社側の作業は、電力会社の引込用開閉器があればその開閉器の操作、なければ引込線の切断・接続とされています。電源側と受電設備側の両方を切り離すことで、作業する区間に電気が来ない状態にします。
- 停電の確認と安全措置:労働安全衛生規則では、高圧の電路を開路して作業するときは、開路に用いた開閉器への施錠や通電禁止の表示(または監視人の配置)、残留電荷による危険のおそれがある電路の確実な放電、検電器具による停電の確認、短絡接地器具による短絡接地を行うよう定めています。これらの措置を終えてから交換作業に入ります。
※恒電社では安全のため、主任技術者による停電操作に担当者が必ず同席し、停電が確実に行われていることを目視確認します。
12)既設機器の撤去【電気工事会社】
停電と安全措置を確認したら、古いPAS・UGS・UAS(交換対象機器)の取り外し作業を行います。
- 高圧線の取り外し:PASの場合は電柱上で、UGS・UASの場合は高圧キャビネット内で、事前に確認した施工範囲の高圧線・ケーブルの接続を外します。電力会社が行う引込線の切断・接続とは、作業範囲を分けて行います。
- 設備本体の取り外し:PASなら固定金具を外し、クレーンや高所作業車で慎重に吊り下ろします。UGS・UASの場合はキャビネット内での固定を解き、機器を取り外します。
- 古い機器の搬出・処分:取り外した既設機器は工事会社が搬出し、産業廃棄物として適切に処理します。
13)新しい機器の据付・結線【電気工事会社】
続いて新しいPAS・UGS・UASの設置を行います。基本的には撤去の逆の順序で進めます。
- 新機器の据付:PASならクレーンや高所作業車で電柱上部まで吊り上げ、所定の位置に据え付けます。UGS・UASならキャビネット内に機器を設置します。恒電社のPAS交換の施工事例では、既設のPASを取り外したあと、地上で耐圧試験を行ってから新しいPASを取り付けています。
- 固定:PASは取り付け金具で柱上の腕金などに確実に固定し、増し締めも行います。UGS・UASもキャビネット内に確実に固定します。
- 高圧ケーブル・高圧線の接続:事前に確認した施工範囲の高圧線・ケーブルを新しい機器に接続します。接続後、増し締めと目視点検を行い、緩みや異常がないことを確認します。
- 付属機器の接続:SOG制御装置との制御線や接地線も結線します。
14)試験・点検の実施【電気工事会社+主任技術者】
据付・結線が終わったら、送電を再開する前に試験と点検を行います。新しい機器が正常に動作するか、安全に使用できる状態かを確認する重要なステップです。
- 外観点検:機器の外観や取付状態をチェックします。ボルトの締め忘れがないか、端子カバーが正しく装着されているか、異常な傷がないか確認します。
- 絶縁抵抗測定:絶縁抵抗計で高圧回路の絶縁抵抗を測定し、十分な絶縁が保たれていることを確認します。
- 開閉動作とSOGの動作確認:開閉器の投入・開放を試し、スムーズに動作するか確認します。あわせて、SOG制御装置の継電器試験(リレー試験)で、設定どおりに動作することを確認します。
試験結果は電気主任技術者が確認し、送電を再開してよいかを判断します。
15)送電再開(復電)【電力会社+主任技術者】
短絡接地器具を取り外し、作業員の安全を確認したうえで、工事会社・主任技術者から電力会社へ準備が整ったことを伝えます。その後、事前に確認した手順に従って、電力会社が電源側の送電を再開します。
各開閉器の開閉状態と操作順序は、事前に確認した手順に従います。電力会社と電気主任技術者が役割を確認し、安全を確認しながら送電・受電の操作を進めます。
16)最終確認と設備引き渡し【主任技術者+電気工事会社】
通電後、新しい機器が正常に機能しているか最終確認を行います。主任技術者と工事会社担当者が協力し、電圧計や表示灯で正常に受電できていることや、異音・異臭・発熱がないことを確認します。
確認が終われば全工程完了です。工事会社はオーナー様に対し、工事が完了したことを報告し、取扱説明書や試験成績書、工事報告書などを引き渡します。
停電時間は、機器の種類や同時に行う工事、現場の条件で変わります。先ほどの久喜市の事例(PAS・LBSの交換と高圧ケーブルの張替え)では、テナントの通常業務に支障が出ないよう休日の昼間に工事を行い、停電時間は4時間でした。
PAS・UGS・UASの施工事例
実際の工事の規模や流れは、恒電社の施工事例で確認できます。PAS・SOG制御器の交換、PASと受電設備内の機器・ケーブルをあわせた更新、地中引込のUGS交換の事例です。
❹ 工事完了後の対応
17)工事費用+主任技術者への立会い費用のお支払い【お客様】
工事完了後、工事会社から請求書が発行されますので、契約時に取り決めた支払い期日までに工事費用を支払います。
見積書の金額から追加費用が発生した場合(追加工事や不測の事態への対応費用など)は、事前の合意に基づき清算されます。請求内容を確認し、不明点があれば工事会社に問い合わせます。
また、電気主任技術者への工事立会い費用が、月次・年次点検の委託料に含まれるかどうかは契約によって異なります。事前に確認し、必要に応じて別途支払います。
まとめ
PAS・UGS・UASの更新工事は、相談・現地確認・見積り、電力会社との手続きと停電日の調整、当日の停電・撤去・据付・試験・復電、完了後の支払いという順で進みます。PASの交換作業自体は条件が揃えば2〜3時間程度で完了することが多いという現場の声がある一方、電力会社との手続きや停電日の調整に時間がかかるため、更新推奨時期(屋外用の負荷開閉器は使用開始後10年など)が近づいたら早めに準備を始めることが大切です。
工事は電気工事会社が、電源側の停電・送電は電力会社が、建物側の停電・受電の操作や保安の確認は電気主任技術者が担います。オーナー様の役割は、点検記録や図面の準備、工事日の決定、テナントへの周知などの意思決定と連絡調整が中心になります。
停電を伴う工事の範囲や、電柱・引込線の条件によって工事の内容は変わります。高圧ケーブルの更新時期もあわせて確認したい方は、高圧ケーブルの種類・耐用年数と更新時期の目安を、PASやUGS・UASのどこから先がオーナー様の管理範囲になるのかを確認したい方は、責任分界点の決まり方と確認方法をご覧ください。
この記事を書いた人
岩見啓明
近隣の事故のたびに自社だけ復電しない、古い建物で区分開閉器が付いていないといった状態が気になる段階でもご相談いただけます。現地で引込の状況を確かめ、更新や新設の進め方をご説明します。


