更新日:2026年10月5日

高圧ケーブル柱上更新前

高圧ケーブル柱上更新後

キュービクル内高圧ケーブル更新前

キュービクル内高圧ケーブル更新後

コンデンサ用LBS更新前

コンデンサ用LBS更新後

動力トランス用LBS更新前

動力トランス用LBS更新後

電灯トランス用LBS更新前

電灯トランス用LBS更新後
埼玉県伊奈町の食品工場で、経年劣化した高圧ケーブルと、コンデンサ用・動力トランス用・電灯トランス用の3台のLBS(高圧交流負荷開閉器)を1日で更新した事例です。2つの工事を同じ日に行った工期1日・停電6時間の工程、交換の手順と試験、高圧ケーブルとLBSの更新推奨時期を紹介します。
高圧ケーブルの更新工事の対象範囲や進め方は、以下のページで紹介しています。
工事の概要|法人向け高圧ケーブル更新&LBS更新工事
- エリア :埼玉県伊奈町
- 施設種別:食品工場
- 工期 :1日
- 停電時間:6時間
- 費用レンジ:101〜500万円
埼玉県伊奈町にある食品関連工場様より、経年劣化による事故防止を目的とした高圧ケーブルおよびLBS(高圧交流負荷開閉器)の更新工事の依頼を受け、施工が完了しました。
LBSは長期使用により絶縁性能の低下や開閉動作不良が発生しやすくなります。また、食品工場・倉庫では電力停止が冷蔵・冷凍設備や調理機器に直結し、製品の品質や事業継続性に重大な影響を及ぼします。
今回の工事に至った背景、経年劣化によるリスクに加え、交換工事の流れをご紹介します。
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士
高橋 宏武
高所でのケーブル交換作業にあたっては、現地環境に適したサイズ・仕様の高所作業車を選定して施工いたしました。作業時には明瞭な標識の設置と作業帯の確保を徹底し、周囲に立入禁止区域を設定することで、資機材の落下事故や車両事故を未然に防止。徹底した安全管理のもと、無事に作業を完了させています。
手順・スケジュール
Step0:現地確認・電力会社申請(約2か月)
お客さまからご相談をいただいた後、お電話にて現状の聞き取りをさせていただきます。その後現地確認にて、LBSの設置状況を確認いたします。
LBSが主遮断装置として使用されている場合は、電力会社へ更新の申請が必要です。また、停電を伴う工事のため、電力会社との日程調整も併せて行います。
Step1:受電停止・既存LBS撤去
電力会社立会のもと、受電が確実に停止したことを確認して作業を開始します。
まず安全措置(接地線取付、表示ロックアウト)を確保したうえで既設LBSの撤去に入ります。一次側・二次側の高圧ケーブルを慎重に開放し、LBS本体を取り外します。撤去後は盤内の清掃や端子状況の点検も行い、新設準備を整えます。
※高圧ケーブルの更新も必要であれば、ここで更新作業を行います。
Step2:新LBS設置・結線・試験
新しいLBSをキュービクル内に設置し、レベル調整・固定を行います。続いて、一次側・二次側ケーブルを正確に結線して端子部などの締付を確認し、以下の試験を実施します。基準を満たし、安全性が確保されていることを確認します。
- 絶縁抵抗測定
- 導通試験
- 操作機構の動作確認(開閉動作のスムーズさ)
- 保護要素との連動確認(ヒューズ連動、トリップ条件の確認)
Step3:復電作業・最終点検
電力会社にて受電再開を行い、LBSが正常動作しているか以下の項目で最終チェックを行います。問題がなければ復電完了となります。
- LBSの開閉操作
- 負荷側電圧の確認
- キュービクル内の温度・異音・振動の確認
- 表示ラベル・安全表示のチェック
Step4:産廃処理・工事報告書提出
撤去した旧LBSやケーブル端材を産業廃棄物として適切に処理します。最後にお客さまへ以下を提出し、工事完了です。
- 工事報告書
- 絶縁抵抗値・導通結果などの試験成績書
- 使用機器の仕様書
- 今後の保守点検のご案内
恒電社の3つの特長
導入背景・課題・解決
- 背景:高圧ケーブル・LBSの経年劣化による事故リスク減少のため、更新工事を実施しました。
- 課題:LBSの絶縁劣化・高圧ケーブル劣化による短絡・地絡事故のリスクが大きいことと、停電で稼働停止した場合の損失の大きさが課題でした。
- 解決:更新工事により、劣化によるリスクが減少し信頼性を向上させました。
ルール・法律・更新目安
LBSと高圧ケーブルの更新推奨時期
LBSと高圧ケーブルは、受変電設備の中で電気の開閉と送電を担う機器で、いずれも経年劣化による事故のリスクがあります。日本電機工業会(JEMA)の「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(改訂版、2023年3月)では、LBSを含む高圧交流負荷開閉器の更新推奨時期を、屋内用は「15年又は定格負荷電流開閉回数200回」、屋外用は「10年又は定格負荷電流開閉回数200回」としています。
屋内用・屋外用は設置場所ではなく、屋外での使用を前提とした構造かどうかという機器の仕様による区分なので、銘板や仕様書で確かめます。LBSと組み合わせて使う高圧限流ヒューズの更新推奨時期は、屋内用15年・屋外用10年です。これらの年数は、製造者が性能を保証する値や法律で決まった交換期限ではなく、通常の環境の下で通常の保守・点検をしながら使った場合に、新品と交換したほうが経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期です。税法上の法定耐用年数とも別のものです。年数は使用開始後の目安で、遮断器や開閉器は、消耗部品・摩耗部品を保守・点検の状況や製造者の推奨する条件に従って適宜交換することが前提です。
高圧CVケーブルについては、日本電線工業会の「高圧CVケーブルの保守・点検の手引」(2024年8月版)が、更新推奨時期を水の影響がある場合10〜20年、水の影響がない場合20〜30年としています。
ただし経済産業省は2025年6月、高圧ケーブルの絶縁破壊に伴う波及事故のうち、製造から15年未満のケーブルの割合が2019〜2023年度に増加傾向にあり、こうした比較的新しいケーブルの絶縁劣化の主な原因として水トリー(外導トリー)が確認されているとして、定期点検で劣化の兆候が見つかった場合は更新推奨時期に満たなくても速やかに更新するよう注意を呼びかけています。
いずれも、使用年数と、電気主任技術者による点検の結果の両方を見て更新を計画します。更新の時期が重なる場合は、設備の構成や施工の条件に応じて工程を調整し、本事例のようにLBSと高圧ケーブルを同じ日に更新することで、停電を1回にまとめられる場合があります。
高圧ケーブルの種類や劣化の仕組み、点検・診断の方法は高圧ケーブルの耐用年数と更新時期の解説で、LBSの役割や仕組みはLBSの役割と仕組みの解説で詳しく紹介しています。
停電の計画
LBSの交換と高圧ケーブルの交換は、どちらも高圧の回路を止めて行います。本事例では2つの工事を同じ日に行い、停電時間は6時間でした。操業スケジュールや、冷蔵・冷凍設備など止めにくい設備への影響を踏まえて工程を組み、停電日は電気主任技術者と調整します。停電時間の決まり方と短くするための準備は、停電時間を最短化するための事前準備と現場対応を解説した記事で紹介しています。
技術基準に適合させる施工と、撤去時のPCBの確認
LBSと高圧ケーブルは高圧受電設備を構成する機器で、キュービクルなどの事業用電気工作物を設置する者は、国の技術基準に適合するように維持しなければなりません(電気事業法第39条)。交換工事もこの基準に適合するように施工し、交換後は試験で安全を確認してから受電を再開します。工事の日程や停電・試験の段取りは、保安の監督を行う電気主任技術者と事前に打ち合わせて進めます。
負荷開閉器には、電流を切るときのアークを消す方式によって、気中・真空・ガス・油入の種類があります(JEMA)。電気事業法では、絶縁油がPCBに汚染されている可能性がある電気工作物として、変圧器・電力用コンデンサー・開閉器・遮断器など12種類が告示で定められています。撤去する開閉器が絶縁油を使う形式かどうかを銘板などで確かめ、絶縁油を使う機器でPCBの有無が分からない場合は、採油できる機器であれば絶縁油を採ってPCBの濃度を測定します。本事例で新たに設置したLBSは気中負荷開閉器です。
PCBを含まない機器も、撤去した機器の運搬・処分を他人に委託する場合は、法令上の例外を除きマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して管理します。
PCBを含む機器は、通常の産業廃棄物とは別の手続きで処分します。低濃度PCB廃棄物の処分期間は、現行のPCB特措法では2027年(令和9年)3月31日までです。2026年6月に成立した改正法(PCB特措法の改正部分は2027年4月1日施行予定・2026年10月時点)のもとでも、この期間内に保管・届出された低濃度PCB廃棄物は、2027年3月31日までに処分(処分の委託を含む)する必要があります。
一方で、使用中の低濃度PCB使用製品が「2027年3月で一律に使えなくなる」わけではありません。改正後は、使用中の製品の届出・管理(電気工作物のうち政令で定めるものは電気事業法の定めによります)や、2027年4月以降に使用を終えたもの・低濃度PCB廃棄物と判明したものの処分の期限を、使用の終了や判明の時期に応じて定める仕組みになります(具体的な期間などは政令で定められます)。
期限と改正法の内容は、PCBの処理期限と2027年4月からの新制度を解説した記事で詳しく紹介しています。
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仕様・条件
- 型番 :高圧ケーブル CVT38 ×3 EEケーブル、気中負荷開閉器 200A LBS‐6A/200
- 施工条件:高所のケーブル交換には高所作業車を使用しました。
- 安全対策:高所作業を行う際は、現場環境に応じて最適なサイズ・仕様の高所作業車を選定します。周囲には立入禁止区域を設定し、落下物や車両の転倒事故を防ぐため、作業帯の確保と標識設置を徹底しています。
点検報告書で高圧ケーブルの絶縁抵抗の低下やLBSの不具合を指摘された、設置からの年数が分からない、といった段階からご相談いただけます。ケーブルの経路やLBSの用途を現地で確認し、まとめて更新する範囲と停電日の組み方をご提案します。
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