更新日:2026年10月5日
工事の概要|高圧ケーブル・PAS更新工事、キュービクル内部品交換
- エリア :埼玉県 蓮田市
- 施設種別 :物流センター
- 【1回目】高圧ケーブル更新 PAS更新工事(2か所)
- 【2回目】キュービクル内部品交換(VCB、コンデンサ、VT・CT交換)
- 工期 :2日(日曜日に2日に分けて実施)
- 停電時間 :5時間程度
- 費用レンジ:101~500万円
埼玉県蓮田市の企業より、同社の持つ物流センターにおける高圧受電設備の全面的な更新(高圧引込ケーブル、PAS、キュービクル内部品)工事のご依頼をいただきました。
電力会社との立会いの調整が必要な工事を1日に集約し、自社完結できる内部作業を別日に設定。これにより、2026年の年次点検に合わせた工事が実現したため、お客様側の調整コストや、複数日にまたがる電力会社への手数料負担を最小限に抑えることができました。
また、物流拠点という特性上、完全停電が困難な部署には臨時発電機を設置し、業務への影響を最小限に食い止める体制で施工いたしました。どのような工夫をしながら施工したのかをまとめています。
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士
高橋 宏武
1回目の工事では2班体制を敷き、2箇所のPAS・ケーブル更新を半日で完了させることで停電時間を大幅短縮しました。
キュービクル内作業では、VCB(真空遮断器)、コンデンサ(高圧進相コンデンサ)、VT(計器用変圧器)、CT(計器用変流器)の交換を行いました。VT・CTの二次側配線など細かな接続が多い箇所ですが、誤接続防止のマーキングを徹底して施工しています。
工程完了後は耐電圧試験をはじめとする自主検査を入念に実施し、接続部の緩みや絶縁不良がないことを厳格に確認をしたうえで、安全に受電を再開しました。
PASやUAS(UGS)は交換作業そのものが短時間でも、電力会社との調整と停電日程の確保に時間がかかり、工事日が見通せないことがあります。恒電社は電力会社への申請と停電日程の調整を含めて更新工事を進めます。
一般的なPAS更新工事の手順・スケジュール
Step0:現地確認・電力会社との手続き
お客さまからご相談をいただいた後、まずはお電話にて現在の状況をヒアリングします。続いて現地確認を行い、PASの設置位置、引込状況、周辺の安全条件、既存機器の状態などを詳細に調査します。
PASの交換では、引込線の切断・接続など電力会社側の作業が必要になる場合があります。交換に必要な電力会社側の作業と手続きを確認し、必要な申込みと停電日時の調整を進めます。
Step1:停電・既存PAS撤去
当日は事前に確認した手順に従い、電源側は電力会社が停電作業を行い、建物側は電気主任技術者の立会いのもとで受電設備側の開閉器を開放します。開路に使った開閉器には施錠や通電禁止の表示などの措置をとり、検電器具で停電を確認します。高圧ケーブルなどに残留電荷による危険があるときは、安全な方法で放電させます。また、高圧の電路は短絡接地器具で確実に短絡接地します。こうした安全措置を行ったうえで、既設PASの接続を外し、本体を撤去します。
Step2:新PASの据付・結線
新しいPASを電柱に取り付け、取付位置や固定状態を確認したうえで、事前に確認した施工範囲の接続を行います。GR付のPASでは、SOG制御装置との間の制御線も接続します。必要に応じて、取付金具などもあわせて交換します。
Step3:試験・復電
据付・結線が完了したら、絶縁抵抗測定や耐圧試験、SOG制御装置の継電器試験などを行い、結果を電気主任技術者が確認します。問題がなければ、作業者に感電の危険がないことと短絡接地器具を取り外したことを確認したうえで、事前に確認した手順に従って電力会社が電源側の送電を再開し、復電します。
Step4:産廃処理・報告書提出
撤去したPASや付帯部材を産業廃棄物として適切に処理します。最後にお客さまへ以下の書類を提出し、工事完了となります。
- 工事報告書
- 試験結果書
恒電社の3つの特長

導入背景・課題・解決
- 背景:
2025年夏に、電気主任技術者様経由で「翌年の年次点検に合わせて高圧機器を更新したい」とのご相談をいただきました。対象範囲がPAS、ケーブル、キュービクル内機器(VCB・コンデンサ・VT・CT等)と多岐にわたるため、効率的な施工計画が求められました。 - 課題:
本事例の高圧ケーブル更新工事では電力会社との連携(封印解除や接続確認等)が必要で、これを複数回に分けると、その都度お客様側で申請や調整の費用が発生する状況でした。また、24時間稼働に近い物流センターのため、停電範囲と時間の最小化が必須条件でした。 - 解決:
工事を「電力会社連携が必要な工事(1回目)」と「自社施工の工事(2回目)」に分離。1回目は2班体制を敷き、2箇所同日のPAS・ケーブル更新を半日で完了させることで停電時間を大幅短縮しました。また、停電を許容できない区画には個別に発電機を供給しながら、完遂しました。
ルール・法律・更新目安
動作不良を招く経年劣化と更新時期
PASは「Pole Air Switch」の略で、電柱上に設置される高圧気中負荷開閉器です。地中線で受電する建物では、主に電力会社の高圧キャビネット内に、SF6ガスを使うUGS(Underground Gas Switch)や、気中式のUAS(Underground Air Switch)が設置されます。
いずれもSOG制御装置と組み合わせ、構内で地絡が起きたときは開放し、短絡のときはいったんロックして配電線が無電圧になってから開放することで、周辺の建物まで停電させる「波及事故」を防ぐ機器です。
日本電機工業会(JEMA)の報告書では、更新推奨時期の目安を、高圧交流負荷開閉器の屋外用は「使用開始後10年、又は定格負荷電流開閉回数200回」、屋内用は「使用開始後15年、又は定格負荷電流開閉回数200回」、GR付開閉器の制御装置は「使用開始後10年」としています。
本事例で交換したキュービクル内の機器について、同じJEMAの報告書は更新推奨時期を、高圧交流遮断器(VCB)で20年又は規定開閉回数、高圧進相コンデンサと計器用変成器(VT・CT)で15年としています。
これは通常の環境の下で、通常の保守・点検を行って使用した場合の目安です。屋内用・屋外用は機器の構造による区分のため、設置場所だけで判断せず、対象機器の仕様を確認します。製造者の保証値や法律で決まった交換期限ではありませんが、責任分界点などに設置された負荷開閉器が故障すると建物が全停電し、配電線への波及事故になれば他の需要家も停電するおそれがあるため、更新推奨時期を目安にした計画的な更新が大切です。
JEMAは更新推奨時期を設定した背景として、気中開閉器では接触部が空気中の水分や酸素、じんあいなどの影響で酸化・腐食して接触抵抗が増え、通電による発熱で劣化が進むこと、ガス開閉器ではガスケットの劣化などによってガス漏れを生じる可能性があることを挙げています。電柱上の開閉器は外箱が外気の影響を直接受けるため、底面や側面の錆がひどい場合は早めの更新が望ましいとしています。
PAS・UGS・UASの役割や更新推奨時期、交換工事の進め方をもう少し詳しく知りたい方は、次の記事で解説しています。
- PAS(高圧気中負荷開閉器)の役割・SOGとの関係・交換時期の目安:
PASが責任分界点で配電線から自社設備を切り離す仕組みと、SOGとの関係を解説しています - UGS・UASの役割と、UGSとUASの違い、PASとの違い:
地中線で受電する建物のUGS・UASの役割と違い、PASとの違いと更新時期を解説しています - PAS・UGS交換工事の手順と流れ(見積りから停電・復電、費用の内訳まで):
PAS・UGSの交換を見積りから停電・復電、支払いまで段階ごとに整理しています - 高圧ケーブルの種類・構造と、耐用年数・更新時期の目安:
高圧ケーブルの種類と構造、水トリーなどの劣化の仕組みと診断方法を解説しています - 高圧進相コンデンサの役割と、交換時に確認すること
- VCB(真空遮断器)の更新時期と交換工事:
VCBの更新推奨時期と劣化サイン、受電を止めて行う交換工事の流れを解説しています
停電計画と更新による安全性向上
PAS・UGS・UASの交換は受電を止めて行うため、操業スケジュールや夜間・休日作業の可否、冷蔵設備やIT機器などへの影響を事前に確認し、業務への支障を抑えられる施工計画を立てることが重要です。
劣化した機器を計画的に新しくすることは、故障による全停電や波及事故のリスクを抑えることにつながります。新しい機器を選ぶときは、構外(電源側)で起きた地絡による不要な動作を抑える方向性SOG付きの機種があることも、選定のポイントになります。なおJEMAは、責任分界点の負荷開閉器を取り替える・新設するときは、過電流ロック形(SOG動作形)の採用を推奨しています。
法令遵守とPCB確認を含む撤去時の注意点
受電設備のような事業用電気工作物は、電気事業法第39条により、国の省令で定める技術基準に適合するよう維持することが求められます。交換工事では、電気主任技術者と工事の範囲や停電・復電の手順を事前に確認し、工事後は試験で正常に動作することを確かめます。
PASの交換とあわせて撤去する機器のうち、変圧器やコンデンサなど絶縁油を使う古い機器には、絶縁油に微量のPCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれている可能性があります。銘板の製造年・型式、メーカーへの照会、メンテナンスの履歴などで確認し、判断できない場合は絶縁油を分析します。封じ切りのコンデンサのように、採油すると使えなくなる機器もあるため、採油の可否や方法、分析の時期は機器に応じて確認します。
低濃度PCBを含む機器のうち、すでに廃棄物として保管しているもの(使用をやめた機器など)は、保管の届出をしたうえで、2027年3月31日までに処分(処分の委託を含む)しなければなりません。2026年6月に成立した改正PCB特別措置法は2027年4月1日に施行される予定ですが(2026年10月時点)、施行前に保管の届出をした低濃度PCB廃棄物には改正前の規定が適用され、この期限は変わりません。施行後は、使用を終えた時期や低濃度PCB廃棄物と判明した時期などによって扱いが変わります。使用中の機器の届出・管理を含めた期限の区分は、PCBの処理期限と2027年4月からの新制度を解説した記事で整理しています。なお、高濃度PCBの処分期間はすべての地域で終了しており、新たに見つかった場合は管轄の自治体へ連絡します。
PCBを含まない場合も、撤去した機器は産業廃棄物として処理し、運搬や処分を他社に委託するときは、法令上の例外を除き、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して管理します。PCBの確認方法や処分期限の区分を詳しく知りたい方は、次の記事もご参考ください。
関連記事
仕様・条件
- 型番:
高圧ケーブル(6600VCVT38 E-E)、高圧コンデンサ(53.2Kvar)、高圧気中開閉器(PAS 300A VT/LA内蔵 方向性)、過電流継電器(OCR K2OC-ACN)、真空遮断器(HA12AC-H5)、計器用変圧器(PD-50HF 6600/110V)、計器用変流器(CD-25NB 60/5A) - 施工条件:
日曜も稼働している物流センターですが、一部の施設が休みとなる日曜日のタイミングを活用し、工事を実施いたしました。2回目のキュービクル内作業では、VCB(真空遮断器)コンデンサ(高圧進相コンデンサ)VT(計器用変圧器)CT(計器用変流器)の交換を行いました。
VT・CTの二次側配線など細かな接続が多いため、誤接続防止のマーキングを徹底しました。 - 安全対策:
2日目はコンデンサ、VCBを先に交換し、続けてVT・CTの交換を行いました。工程の完了後には「耐電圧試験」をはじめとする自主検査を入念に実施。特にキュービクル内機器の更新後は、接続部の緩みや絶縁不良がないか極めて厳格に確認を行ったうえで受電を再開しました。

VCB更新前

VCB更新後

コンデンサ更新前

コンデンサ更新後
PAS・高圧ケーブルとキュービクル内の機器の更新をまとめて検討したい、停電できる日が限られている、という段階でもご相談いただけます。恒電社が現地で設置状況を確認し、電気主任技術者の点検結果も踏まえて、電力会社との手続きや停電日の調整を含めた工程をご提案します。
他の施工事例も見る
PAS・UAS(UGS)の工事の事例をほかにも掲載しています。施設の種類や工事の規模が近い事例を探す際の参考にしてください。









