更新日:2026年10月2日
高圧・低圧切替およびトランス・コンデンサ撤去工事
東京都内のビル屋上で、高圧から低圧への切替工事を先に行い、不要になったキュービクル内のトランスと高圧進相コンデンサ(PCB含有)を撤去した事例です。PCBの検査、処分業者との委託契約、処分の手配に合わせて切替と撤去を分けた工程、クレーン作業の安全対策までを紹介します。
高圧・低圧切り替え工事の対象になる施設や工事の流れは、サービスページでまとめています。
工事の概要|法人向け高圧・低圧切替およびトランス・コンデンサ撤去
- エリア :東京都内
- 施設種別:ビル屋上
- 工期 :1日
- 停電時間:3時間
- 費用レンジ:100万円以下
2024年7月、弊社ホームページを通じて、東京都内の企業様より「高圧・低圧切替工事」および付帯する機器撤去作業のご依頼を頂きました。切替工事は同年11月に完了し、それに伴い不要となった屋上キュービクル内のトランスおよびコンデンサ(PCB含有)の撤去を行いました。
今回の記事では高圧から低圧への切替工事及び付帯する機器撤去の流れや注意点をまとめています。
一級電気施工管理技士/第一種電気工事士
高橋 宏武
処分手配に合わせて、2024年11月に切替工事を先行し、2025年3月に撤去工事を実施する工程をご提案し、施工いたしました。
撤去当日はビル屋上からの吊り下げ作業となるため、現地状況に合わせた最適なラフタークレーンを配備。作業帯の確保や立入禁止区域の設定に加え、交通誘導員を2名配置して周囲の安全管理を徹底いたしました。撤去した機器はそのまま収集運搬業者の車両へ車上渡しし、無事に許可施設へと運搬・処理を完了させています。
契約電力が下がって高圧受電を続けるか迷っている、古いキュービクルの機器にPCBが含まれているか分からない、といった段階からご相談いただけます。
手順・スケジュール
Step0:現地確認・PCB検査・電力会社申請(約2か月)
お客さまより撤去のご相談をいただいた後、まずはお電話にて現状をヒアリングします。続いて現地確認を行い、以下のポイントを確認します。
- キュービクルの設置場所・大きさ・構造(屋外型/屋内型)
- 引込ケーブル・高圧機器の構成
- クレーン車・搬出経路の確保状況
- 周辺環境、安全条件、解体時のリスク
これらを踏まえ、撤去方法・工程計画・必要車両・人員手配を行い、停電が伴う場合は電力会社と日程調整を進めます。
Step1:低圧用現場配線工事を実施し、低圧使用への切替え工事を行う。
低圧の送電開始日までに、建物側の低圧受電設備の工事を完了させる必要があります。新たに設置した低圧幹線や分電盤、配線は、低圧で使い始める前に試験・検査を行い、安全に使用できる状態であることを確認します。低圧契約(低圧電力/低圧電灯)の準備が完了した状態で受電開始日になると、電力会社が建物への低圧送電を開始します。
Step2:高圧受電の停止、高圧部材の撤去
低圧への切替完了後に、高圧受電停止日を電力会社が正式決定し、高圧受電設備の廃止工事を行います。電力会社立会のもと、受電を停止し、安全が確保されたことを確認して作業を開始します。
まずキュービクル内部の高圧機器(VCB、LBS、変圧器、保護継電器盤など)について撤去を行い、続いて高圧ケーブルの撤去・端部処理を行います。内部が空になったら、キュービクル外郭(鋼板製BOX)を解体し、搬出します。
電力会社の担当者によって高圧計器(電力量計)の最終検針も行われ、この時点で電力会社から見た高圧契約は停止完了となります。
Step3:基礎の撤去または整地
必要に応じて、キュービクル基礎(コンクリート基礎)の撤去を行います。設備跡地を使用者の希望に合わせて整地し、周辺清掃を行います。
Step4:産廃処理・報告書提出
撤去したキュービクルと内部機器を産業廃棄物として適正に処理し、お客さまへ「工事報告書・試験結果書」を提出します。PCBを含む機器は、通常の産業廃棄物とは別の手続きで扱います。すでに撤去して保管している低濃度PCB廃棄物は、現行のPCB特措法の処分期間である2027年(令和9年)3月31日までに処分(処分業者への委託を含む)を終える必要があります。2026年に成立した改正法での扱いは、後半の「低濃度PCB廃棄物の処分期限と2027年4月からの制度」で説明します。
恒電社の3つの特長
- 段取り・推進力:工事現場を熟知した営業担当・電気工事士が窓口となり、今やるべきことと今はやらなくてもよいことを整理してご提案します。
- 先読み・先回り力:電力会社や関係各所への申請、書類作成、関係者との日程調整を、電気工事士と専任サポートチームが先回りして進めます。
- 価格適正力:お客さまとの直接契約を基本にし、中間マージンを抑えます。
工事以外の申請や関係者との日程調整をどのように進めているかは、恒電社の特長のページで紹介しています。
導入背景・課題・解決
- 背景:高圧から低圧への切替に伴うキュービクル撤去工事をご希望でした。
- 課題:キュービクル内に設置されている機器がPCB含有製品か不明でした。
- 解決:PCB検査を実施した結果、基準値を上回り検出されたため、ご依頼主の企業様に、廃棄物処理委託契約ならびに廃棄物収集運搬委託契約を書面で締結いただき、適切な廃棄処理を行いました。
ルール・法律・更新目安
切替の判断基準と更新の必要性
高圧受電設備は点検・保守や機器更新などの維持コストがかかるため、負荷が減少した施設では高圧受電を続けることが非効率になる場合があります。使う電力が小さくなった施設で、受変電機器が更新を考える時期を迎えた場合は、機器を更新せずに低圧受電へ切り替えることで、受変電設備の更新費用や維持管理の費用を抑えられる場合があります。
更新を考える時期の目安として、日本電機工業会(JEMA)は高圧進相コンデンサを15年、油入変圧器を20年としています(製造者の保証値ではなく、通常の保守・点検をして使った場合に新品と交換したほうが経済性を含めて有利と考えられる時期)。
また、東京電力パワーグリッドの託送供給等約款(2026年10月1日実施版)では、契約設備電力の合計が50キロワット未満のときは原則として低圧(標準電圧100ボルトまたは200ボルト)、50キロワット以上のときは原則として高圧(標準電圧6,000ボルト)で供給するとされています。
50キロワット以上でも、契約者が希望し、電気の使用状態や同社の供給設備の状況などから同社が技術上または経済上低圧での供給を適当と認めたときは、低圧で供給することがあります。低圧へ切り替えられるかは、これらの条件を一般送配電事業者と確認して判断します。
電気料金は高圧と低圧で契約の種類や単価が変わるため、切替後の料金は契約する小売電気事業者の料金で試算します。施設の使用電力の推移、設備の老朽度、契約電力を総合的に見て、切替を検討することが重要です。
高圧受電と低圧受電の違いや50キロワットの基準、切り替えの流れをくわしく知りたい方は、高圧受電と低圧受電の違いと切り替えの流れの解説をご参考ください。
法令上の手続きと高圧設備撤去の注意点
高圧から低圧への切替では、小売電気事業者との高圧の契約を終えて低圧の契約を申し込む手続きと、一般送配電事業者(東京都内では東京電力パワーグリッド)との受電方法の変更(低圧での引込み・計量)の手続きが必要になり、受電方式や計量方法が変わります。
あわせて、電気事業法上の手続きも行います。高圧の受電設備がなくなり、低圧で受電する電気工作物だけになれば、原則として「一般用電気工作物」となり(電気事業法第38条。一定の発電設備がある場合などを除く)、自家用電気工作物で必要だった電気主任技術者の選任や保安管理業務の外部委託は不要になります。
一方で、自家用電気工作物を設置する事業場を廃止したときは、電気関係報告規則第5条により、遅滞なく管轄の産業保安監督部長へ報告します。
主任技術者の選任・解任は、電気事業法第43条第3項により届出が必要とされています(同条第2項の許可を受けて選任した場合を除く)。選任の形態に応じた手続きや、保安管理業務を外部委託していた場合の委託契約の終了を、選任している電気主任技術者や委託先と確認しながら進めましょう。
撤去機器の産業廃棄物処理
古い変圧器やコンデンサには、PCBが含まれている可能性があります。環境省は、出荷時点で微量のPCBに汚染されている可能性がある電気機器の製造時期を、絶縁油の交換ができる変圧器等は平成5年(1993年)以前、絶縁油を封じ切ったコンデンサーは平成2年(1990年)以前としています。銘板で製造年を確かめ、採油できる機器は絶縁油を採ってPCBの濃度を測定します。
使用中の自家用電気工作物でPCBが基準(0.5mg/kg)を超えて検出され、PCB含有電気工作物に該当すると判明したときは、電気関係報告規則第4条の2に基づいて管轄の産業保安監督部長へ届け出て、その機器を廃止したときも届け出ます。PCB廃棄物に該当する撤去機器は、PCB特措法に基づいて管轄の自治体へ保管の状況などを届け出たうえで、処分を委託します。PCBが含まれていない場合でも、撤去した機器を産業廃棄物として処理するときは、マニフェスト(産業廃棄物管理票)で処理の流れを管理します。
低濃度PCB廃棄物の処分期限と2027年4月からの制度
現行のPCB特措法では、低濃度PCB廃棄物の処分期間は2027年(令和9年)3月31日までです。2026年6月に成立した改正法(令和8年法律第44号、2026年6月19日公布)のうち、PCB特措法の改正部分は2027年4月1日に施行される予定です(2026年10月時点)。改正後も、この期間内に保管・届出された低濃度PCB廃棄物には従来の処分期間が適用されます。すでに撤去して保管している低濃度PCB廃棄物は、2027年3月31日までに自ら処分するか、処分を委託する必要があります。
改正後は、使用中の低濃度PCB使用製品について、所有・使用の状況や使用の場所、使用終了の見込みなどを都道府県知事に届け出て、政令で定める基準に従って管理する制度が新設されます(改正後の第8条・第9条)。ただし、電気事業法の電気工作物のうち政令で定めるものは、この届出・管理の規定ではなく電気事業法の定めによります(同第11条)。
改正後の第8条第1項に基づいて届出をした製品の使用を終えたときは、使用を終えた日の属する月の翌月末日までに、低濃度PCB廃棄物としての保管の状況や保管の場所などを都道府県知事に届け出て、使用を終えた日から5年を超えない範囲で政令で定める期間が経過する日までに、自ら処分するか処分を委託することになります(同第12条)。
そのため「2027年3月を過ぎると一律に使えなくなる」わけではありませんが、具体的な期間や管理の基準は政令で定められるため、最新の情報を確認してください。
PCB含有機器の扱いをテーマ別に知りたい方は、次の記事もご参考ください。
- 自社の変圧器やコンデンサがPCB含有か確かめる手順:PCB含有機器の見分け方と判定方法
- 調査から処分完了までの流れと届出:PCB含有製品の処分方法と進め方
- 処分期限と改正法の確認:PCB含有機器の処分期限の解説
- 期限を過ぎた場合の扱い:PCB処分期限を過ぎた場合の解説
- 処分にかかる費用の考え方:PCB処分の費用の解説
- ほかのトランスやコンデンサの実例:PCB検査・処理の事例集
PCB検査についてよく寄せられる疑問は、Q&A形式の記事でまとめています。

仕様・条件
- 型番 :撤去作業のため、なし。
- 施工条件:キュービクル内機器のPCB検査を実施し含有製品であることが判明しました。環境大臣認定または都道府県知事等の許可を受けた施設での処分が必要になるため、2024年11月末に高圧・低圧切替工事を、2025年3月に撤去工事を施工しました。ビル屋上にあるキュービクルの撤去のため、ラフタークレーンを使用しました。
- 安全対策:クレーン作業を行う際は作業帯の確保と立入禁止区域の設定を徹底し、交通誘導員を2名配置したうえで施工しました。現地状況を踏まえた最適な重機選定と安全管理を徹底します。撤去日は、廃棄物収集運搬業者へ車上渡し→処理場へ運搬していただきました。


撤去した高圧進相コンデンサは1978年7月製造でした。環境省が微量PCB汚染の可能性があるとしている製造時期(絶縁油を封じ切ったコンデンサーは1990年以前)にあたるため、PCBの検査を行いました。
※低濃度PCB廃棄物の処分期間は、現行のPCB特措法では令和9年(2027年)3月31日まで(改正法の扱いは上の「低濃度PCB廃棄物の処分期限と2027年4月からの制度」を参照)
廃棄物収集運搬業者のトラックにて廃棄物処理業者へ搬入してもらい処理をしてもらいます。
処分の手配に合わせて切替と撤去の時期を分ける工程づくりや、屋上からのクレーン撤去の段取りもご相談ください。キュービクル撤去工事の内容はキュービクル新設・更新・撤去・修繕工事のページでもご確認いただけます。
他の施工事例も見る
キュービクルの撤去・更新・新設の事例を、設置場所や工事の規模とあわせてご覧いただけます。







